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VRMMO始めました。  作者: 星野すばる(旧:★すばる★)
第二章 俺と魔族とドラゴンと
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#35 準備②

しばらくすると、ノヴァが戻ってきた。

もちろん、ヴェルを連れて。


『遅れてすまん』

「とんでもねぇ、待ってたんだ」


…また、ショウがくだらない(ネタ)を出して来た。

もう、いちいちツッコミするのはやめておこう。


「ヴェル、怪我しなかったか?特に刃物とかで…」

「え?別に怪我なんかしてないよ?」

「そうか。なら良かった…んで?後ろのその袋は?」


いつ聞こうかと思ったが、ヴェルの背中には、大体ヴェルの身長と同じくらいの風呂敷包みが背負われていた。


「ん?これ?お鍋とかフライパンとか…スグルに頼まれたやつだよ?」

「…なんでアイテムBOXに入れなかったんだ?」

「あいてむ……あ、空間魔法のアレ?うん、入れようと思ったんだけど、なんでかな?食器類しか入らなかったんだよね」


空間魔法…?いろいろ気になるが、おそらくそれはヴェルがNPCゆえに、だろう。

まぁなんにせよ、怪我が無くて良かった。


「じゃ、ヴェル。早速で悪いが、コレを破ってくれるか?」


そう言って、ヴェルに料理スキルのチケットを渡す。

ヴェルは、それくらい自分でしろと言いたそうな目をしたが、俺の目を見て、そういう意図が無いのを確信すると、チケットを破ってくれた。


「よし、じゃあもう一度、調理器具類を…空間魔法…だっけ?の、中に入れてくれるか?」

「うん……おぉ?入ったぁ!ウチ、もしかして天才⁉︎さっきは入らなかったのに!全部ウチの中に入ったよ!」


喜んでいるヴェルに、真実を伝えるのはあまりにも酷なので黙っておくことにした。


「さて、と。ヴェルも来たし、そろそろ行くか?」

「おぅ、俺はいつでも準備万端だぜ‼︎」

「あたしも、イケるよ」


▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎


町の中心は、思った通り。

初のイベントなだけあって、沢山のプレイヤーで埋め尽くされていた。


「おぉー…すごい人の数だなぁ…」

「スグル、ここにいる人達みんなお祭りに参加するの?」


ヴェルは沢山のプレイヤーに興味を示しまくっている。


「あぁ、多分な。ヴェルは、こんなに沢山の人達を見るのは初めてか?」

「うん、お店にいっぱい人が来たときよりも、もっと多いもんね!」


そりゃそうだ。

カフェに来た人数はせいぜい50人が良い所だろう。だが、今町の中心に集まっているのは、文字通りケタが違う。

おそらく、余裕で5千人を超えている。


「スグル、そろそろ始まるわよ。ヴェルちゃん、あそこの大きな写し鏡は見えるかしら?」

「うん、見えるよ」


"写し鏡"と言っても、正確には宙に浮く大きなディスプレイだ。

ヴェルが知らないと思って、似ている魔法道具にでも例えたのだろう。



──イベント開始まで、あと、1分。

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