表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
VRMMO始めました。  作者: 星野すばる(旧:★すばる★)
第二章 俺と魔族とドラゴンと
34/64

#33 ヴェルたんが料理をするそうです

「ふぉお!すっげェ‼︎」


街の中心から少し東に位置する大通り。

簡易店舗のみが建ち並ぶ商店通りだ。


「簡易店舗って言うからもっと小さいのを想像してたけど、かなりの数だな!」

「まぁ、全プレイヤーが無料で開く権利を持ってるからな。MOBのレアドロップも売れるしな。さて、マミナは何処だ?」


辺りを見回すが、それらしき人影は見当たらない。

いや、そもそもマミナが一箇所に(とど)まる方が珍しい。

期待するだけ無駄か…

そう思い、俺は心の中で小さくため息をつく。


「お、いたぞスグル!あそこだ」


ショウが指を指した位置に、マミナがいた。

なにやら、激しく口論している様だ。


「あんたさぁ、一体何がしたいの⁉︎」

「は、はぁ…」

「もうね、全っ然ダメ!商品の並べ方は汚いし、価格も適当すぎ!」


…あぁ…これは完全にスイッチ入っちゃってるよ…

ショウに至っては、事を察して頭を抱えている。


「あんた、コレが何か分かってる?そこらのスライムが落とす〈青いジェル〉よ⁉︎それをどーして100Cも出して買わなきゃならないの⁉︎こんなの1Cの価値も無いわ」

「お、お前に何が分かるんだよ!俺がどれだけ苦労して採って来たかも知らないのに‼︎」

「あんたの苦労なんて、()()()には関係無いわ。()()()になりたいなら、せめて、それ相応の価格にする事ね」


あまりに現実的過ぎて、相手が半泣きだ。

そろそろ、連れて行くか…


「マミナ」

「あ、スグル…と、ショウ」

「おっかしーなー?呼びかけたの、ショウって言うプレイヤーなんだけどなー?」


話しかけていない俺が先に出て来るとは、これいかに…?


「ちょっとショウ聞いてよ!この店最悪なのよ⁉︎たかがスライムのレアドロで100Cも取るのよ⁉︎」

「あー、ハイハイ。そーだねそーだね」

「本当にごめんなさい。お兄さんのお店に口出して…」

「…あ、あぁ」


その後、お兄さんの店で〈青いジェル〉を10個買い、精一杯の謝罪をしておいた。


▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎


「あんなの、買う必要無いのに」

「そうは言ってられないだろ?あれだけ(ののし)っといてトンズラは出来ないだろ?」

「罵って無いわ。アドバイスよ」

「心をズタズタに殺っといてアドバイスなもんかよ…」


俺だって、この豆腐メンタルで真面(まとも)にマミナと口論したら……考えるだけで心が折れる。


「ところでショウ【料理】のユニークスキルって、何処で売ってるんだ?」

「さぁ?それを今から探すんだよ」

「探すったって、簡易店舗は見たところかなり多いぞ?見つかるのか?」

「いや、普通に探したら見つからないだろうな」

「え、じゃあ…」

「まぁ、慌てなさんな。な?マミナ」

「えぇ」

「……?」


▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎


「あぁー…だりぃー…」


何で今日に限って店番なんか…


「うるさいですよ、先輩。ノルマ達成したら、今日は閉めて良いって、ギルマスに許可撮ったんですから」

「そーだけどさぁー?あと一時間で2Mとか、無理ゲーだろ」

「そうでも無いですよ?スキルチケット2枚売ったら終わりですからね」


って言ってもなぁ…

スキルチケットをわざわざ買いに来る客なんていないだろ。


「大体さ、一体誰が【料理】スキルなんて欲しがるんだよ」

「えー…料理人…とか?」

「じゃあ、ブラウン。お前の知ってる料理人、言ってみ?」

「えぇと…スグルさんと…スグルさん?」

「俺の知る限り、スグルって言う奴は一人しか知らねーんだが?」

「う、うぅ…」


そもそも、CDOの世界で料理人が圧倒的に少ないんだよ。

もうちょっと、買う奴が多ければ良かったのに…


「…なぁ、ブラウン。俺さ、こっそり抜けても良いか?」

「ダメです。そのうちお客さんが……あ」

「ん?どうしt……」


▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎


「……ゲシュタルト、なぜお前がここにいる…?」

「……ラッシャーイ (何の用だ)」

「…まぁ、無いとは思うけど。一応、聞くわよ?【料理】スキルってある?」

「ゴチュウモンノシナハゴザイス(絶対買えよ?出すから買えよ??)」

「…おいくらですか?」

「ソウガク2Mトナリマス(はよ買え。1Cも負けねぇからな)」


…嘘、着いてるな。

ショウとマミナは騙せても、俺は騙せねぇぜ?


「先輩、値段偽装はダメです。ごめんなさいスグルさん。チケット一枚1Mなの。買いますか?」


1M…か。

本当は一枚で足りるんだが…


「二枚くれ。合計で2Mだ」

「ちょ、スグル⁉︎二枚買ってどうするの⁉︎」

「一つは俺で、もう一つはヴェルの分だ。ヴェルにはそのうち厨房を手伝って貰いたいからな」


そうすれば、俺がいなくても多少はお客さんを捌けそうだし、何より俺が助かる。


「ほほー、愛しのヴェルたんがお料理とな?これは俺に手料理を振る舞うフラグですなっ‼︎」

「もうお前、死んだ方がいいよ」

「あ、それは私も思います。そろそろ先輩は、おまわりさんに捕まって死刑になるべきかと」

「救いは無いんですか⁉︎」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ