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VRMMO始めました。  作者: 星野すばる(旧:★すばる★)
第二章 俺と魔族とドラゴンと
33/64

#32 簡易店舗

「大変だぞ、響!」

「朝から賑やかな奴だな。朝ごはん、出来てるぞ」


翌朝、翔がうるさいです。

昨日は疲れて晩御飯が作れなかった負い目があるから、あまり文句は言えないが。


「とりあえず、落ち着け。な?んでもって朝ごはん、食べようぜ」

「お、おう…そうだな。今日の朝飯はなんぞ?」

「ハムカツサンド「いよっしゃぁあああああ!やったぜWRYYYY‼︎‼︎」…限りなくアウトに近いぞ…?」


昨日の夜に作るつもりだったトンカツの材料に少し手を加え、今日の朝はハムカツサンドとなったワケだが。

…少し遅すぎやしないか?真美菜の奴。

いつもならこの辺で「響、ご飯!」と、おはようを言うより早く食い意地を張るのだが。

…っと、二階から足音が聞こえて来た。


「響っ‼︎」

「今日の朝ごはんはカツサンドな」

「いや、まぁ、それも大事だけど。そんな事より!」

「…⁉︎」


そんな事より…だとっ⁉︎

真美菜が食い意地を張らずに何かを進めるなど…ありえん…


「真美菜、熱があるんじゃないのか?」

「え、なんで?」

「いや、真美菜が食い意地を張らないのが信じられないんだ…」

「え⁉︎あたし、そんなに腹減りキャラだったの⁉︎」

「ん?だって真美菜って、まみなだろ?」

「なによ、その‘‘腹減りキャラ=まみな,,みたいな比喩単語は……まぁ、いいわ。っと、それより大変よ響」


なんだ、真美菜もか?

翔も言ってたな、そんな事。

…って事は、やっぱりCDO (がら)みなのか?


「大変よ、響!」

「おう、そうだぞ! (もぐもぐ)」

「食いながら喋るなよ…んで?何が大変なんだ?」

「あのね、響。よく聞いて?」

「よく聞け、響 (もぐ、ごくん)」


「ついに、イベントが開催されるわよっ‼︎」

「料理スキルが実装されるぞっ‼︎」


同じタイミングで違うことを()かすなっ‼︎

聞き取れんだろ⁉︎


「お前ら…」

「お、なんだ?」

「ん、なによ?」

「…もう、朝ご飯食べてからその話しようぜ、な…?」


そう言って、今日この日、この朝だけは、二人を可哀想(かわいそう)な物を見る目を辞めることが出来なかった。


▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎


青とも緑とも言えない電子の海を越えて、俺はCDOの土を踏む。

数週間前まで、新鮮な感覚だったのに、今ではもう懐かしさを感じるから、不思議。


「で?料理がスキル化したって聞こえたけど?」

「おう、そうだぞ。んでもって、料理スキルを保持しないと、料理そのものを作れないんだ。つまり、CDOの中でスグルの料理が食べられなくなる」

「ん、それで?スキルってどうやって取るんだ?料理スキルって、どう考えてもユニークスキルだろ?あのチケットみたいなやつの」


俺の、この【鷹の目:Lv57】もユニークスキルのはずだ。

レベルが上がっているのは、料理を作る時に集中してしまい、それに【鷹の目】が反応して、ほとんど無意識に使っていたらしい。

マミナがそう言ってた。


「よく知ってるな…って、スグルは一つ持ってるんだったな。その通り、ユニークスキルはチケットを破る事で初めて使用可能になる。問題は入手方法だが…」


降り立った場所、もとい〈カフェ・スグル〉の前から、ショウは(きびす)を返して歩き出す。

背中越しに、ついて来いと手招(てまね)きするのを忘れずに。


「歩きながら話すか。ユニークスキルの入手方法は幾つかある。(もら)う、交換(トレード)、買う、ガチャる。大きく分けてこんなもんだ」


ガチャ…る?

ガシャポンの事か?


「おっと、ここに寄るのを忘れちゃならねーな。スグル、5Mくらいおろして来てくれ。Mってわかるか?500万って事だぞ?」

「いきなりなんだ、銀行なんぞに連れて来やがって。銀行強盗かと思ったぞ?って言うかなんで500万C(コイン)も…?」

「つべこべ言わずに、財布に詰め込めェ‼︎」

「お前に聞いた俺がバカだった」


まぁ、多分だけど。

買うんだろうな…

素直におろして来るか…


▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎


銀行からおろした後、ショウとの長ったらしいネタと雑談を省くと、まともな説明になる。

そのことから俺なりの解釈を加えると、だ。


・各プレイヤーは、簡易店舗を無料で開くことが(条件付きで)出来る。


・流行りにも寄るが、ガチャの中身を格安で入手出来る。


・ガチャを行うには、モンスター討伐で入手するCではなく、現実のお金をゲーム内のコイン、R(リアル)C(コイン)で回すことが出来る。


…と、こんな感じ。

RCは買いたくないし、銀行のCも消費法を考えてた所だ。

丁度良いと言える。


「なぁ、ショウ。いろいろ分かったが、その簡易店舗ってどこにあるんだ?」

「まぁ、そう焦りなさんな?今にわかるからよ…」

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