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#24 過去ー???編ー

6月6日

誕生日にパパからにっき帳をもらった。

だから今日からかくことにする。


6月7日

パパはつよい。

せかいいちつよい。

まいにちやって来るこわーいおじさんとおばさんを追い返すくらいつよい。

ウチはそんなつよいパパがだいすきです。


6月8日

きょうもこわい人たちがたくさん来た。

でもパパはすぐに追い返した。

きっと明日も来るけど、パパが追い返すから大丈夫。


6月9日

きょうはとくべつすごかった。

なにがって、パパが始めてまほうを使ったから。

まえに一度、どうしてあの人たちは負けるって分かってて来るのか聞いたことがある。

パパはただ笑って、パパにもわからないって言った。


6月10日

今日はこっそり家からそとに出た。

すっごくおもしろかった!

パパに、そとは危険がいっぱいだってめちゃくちゃ怒られたけど、ぜんぜん危なくなかった!


6月11日

今日はパパが【じょうたいいじょう】になった。

からだがヒリヒリして、おひさまに焼けたみたいになるんだって。

どんなかんじか、ウチはねる前におひさまを見たけど、ぜんぜんそんな事なかった。


6月12日

今日は珍しくこわい人たちが来なかった。

パパは、めんてなんすだからだよって言ったけど、めんてなんすって何のことだろう?

パパは久しぶりのおやすみが来て、大喜びしてた。


6月13日

今日の午前中は、めんてなんすだったから、ママと一緒にピクニックに行った。

いつもおおきなからだでこわい人たちを追い返してるパパが、今日はめずらしく小さくなってママとオニギリを食べた。

楽しかった!


6月14日

今日はこわい人たちがとってもたくさん来た。

一対多数はひきょうなのに、パパはるーるだから仕方ないよって言った。

そんなひきょうなるーるなんてなくなればいいのに…


6月15日

今日はママも一緒にたたかった。

パパが剣できられるたびに、ママがなおしてくれる。

ウチもはやくおとなになってパパやママと一緒にたたかいたいな。


月 日











6月17日

ママがころされた。

こわい人たちにころされた。

パパをまもってころされた。

こわい人たちの【いちげきひっさつ】を受けてしんだ。


6月18日

パパが話してくれなくなった。

こわい人たちを追い返さなくなった。

かわりにひとりずつ【くえすとりたいあ】させて、にどと来れないようにして行った。


6月19日

だんだんこわい人たちが来なくなった。

かわりにおうちがおおきくなって、パパはおしろのおうさまになった。


6月20日

パパは、しすてむが勝手にはんだんしたからおうさまになったんだよって言った。

ひさしぶりにパパとはなした。

ママも生きてたら、いっしょにおきさきさまになったのかな?


6月21日

今日はこわい人たちじゃなくて、パパの仲間が来た。

こわい人たちのせかいをこわして、新しいせかいを作るんだって。

そのために仲間がいっぱい必要だって。


6月22日

今日、ウチはお姫さまになった。

アモンって言う人がウチの身の回りの世話役なんだって。


6月23日

今日はアモンに起こされた。

いつもよりはやい時間に起こされた。

りゆうをきいたら、まほうの練習をするからだって言われた。

いやだって言ったらパパのお願いだからって言い返された。


6月24日

お庭でまほうの練習をした。

アモンはやみまほうを教えたがっているけど、ウチはべんりなかぜまほうとみずまほうを覚えたいって言った。


6月25日

今日もいっぱい練習した。

わき水とそよ風をまほうで作れるようになった。

そしたら、アモンが地味なつちまほうを教えてくれた。

たくさん覚えて悪いことないから、ついでに覚えた。


6月26日

今日もまほうの練習をした。

はじめは嫌だったけど、どんどん出来るようになって楽しい。

パパは今日もこわい人たちの世界を壊すための会議をしてる。


6月27日

今日はまほうの練習をおやすみした。

パパがこわい人たちの世界を壊しに行くから、その見送りをするためにおやすみした。

パパはとってもかっこよかった!


6月28日

パパはまだ帰ってこない。

パパが帰ってきたらすごいまほうでおどかしてやるために、いっぱい練習することにした。


▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎


うー…今日もつかれたなぁ…

でもまぁいいか!

まほうはけっこう覚えたし、それに合わせまほうを見せたらパパ、驚くかな?


6月29日

今日はアモンに合わせまほうを見せてもらった!

アモンのまほうはけっこうすごかった。

ひまほうとかぜまほうで【ふれいむすとーむ】ができるんだけど、お庭の草がぜーんぶこげちゃった!

ウチもはやくあんなまほうができるといいな。


「うん!これでよし!…ふぁ…今日はもうつかれたから、ちょっとはやいけどねよっと」

ウチはパパからもらったもふもふの人形と一緒に、夢のせかいへ行くことにした。


夢のせかいでウチは死んだママとパパ、アモンやみんなで、ウチは人形を持ってピクニックに行っている。

「オイ、オキロ」

んもーだれよ。

せっかくいい夢なんだから。

ウチは起きないからね?


「オイ、オキロ。オイ、オキロ」

「あーもー、うるさい。だれよさっきから」

辺りをみわたしても、パパとママが楽しそうにおしゃべりして、アモンやほかのみんなはお酒を飲んだりうたた寝したりと、ウチに話しかけているようすにはみえない。

「ココダ、ココダ。オマエノウデノナカダ」

「え?」

…人…形?

「きゃっ⁉︎…しゃべった…?」

「ベツニフシギデハナイダロ?マリョクデウゴイテイルカラナ」

「まりょく…で?」


「ソウダ。ソンナコトヨリオキロ。シニタイノカ」

人形はウチの後ろをさす。

人形にけいかいしながら、後ろをふりむけば、こわい人たちがたくさんおそって来ていた。

「…どうして⁉︎ここはウチの夢なのに⁉︎」

「アレハ、オレガオマエニミセテイルマボロシダ。ダガ、モウスグゲンジツニモオコルゾ。ハヤクオキテニゲタホウガイイ」

…逃げ…る?

じょうだんでしょ?


たとえ夢だとしても、ここにはパパもママもいるの。

ウチが守らなくちゃいけないの!

「ナニカスルツモリナラヤメテオケ。オマエニハムリダ」

「どうして⁉︎やって見なきゃわからないじゃ「オマエニハムリダ!アイツラハスデニオマエノオヤジヲコロシテイル‼︎」……ウソでしょ?」

そんな…パパが…あんなにつよいのに?


「…どうして、あなたにはパパが死んだってわかるの?」

「カンタンナハナシダ。オレハオマエノオヤジガシンデ、オマエニイノチノキキガセマッタトキ、オレハオマエヲニガスタメニウゴキ、ハナスヨウニツクラレタカラナ…ット、ムダバナシガスギタ。ジカンガナイ、オマエヲムリヤリオコスゾ」

人形の手が青白く光り、ウチはいしきを失った。


「…ん?」

なんだかへんな夢を見た。

人形がしゃべりだすとか、バカみたい。

「ワルイガユメジャナイゾ?」

「なっ⁉︎」

こいつ…ちょくせつ現実に…⁉︎

「スデニジョウモンハトッパサレテイル。イソグゾ」


人形はてくてくと本棚の方へ行き、なにやら呪文をとなえはじめた。

〈トキハキタ…ワレノイシトメイヤクニモトヅキ、イマトビラハヒラカレン〉

カタカタと本棚がひとりでに歩きだし、一冊一冊が鳥のように羽ばたき始め、本棚の裏にまほうじんが彫られていた。

「ゲートガヒライタ。ムコウデ、アモンガマッテイル。ココカラニゲロ」

戸惑っていると、廊下の方からさわがしい音が聞こえてくる。

「ヤツラガキタ!オマエタチ、ヘヤノトビラヲオサエロ‼︎」

それに呼応するように、本棚と本たちは必死でとびらをおさえている。

もう、迷ってなんかいられない。


ゲートの向こうは、大きくなった家の一番上、塔の上の隠し部屋だった。

「お待ちしておりました、我らが王よ」

「ヒサシイナ、アモン」

…?

…我らが王?

なにを言っているの、アモン?


「姫さまも、ご無事で何より」

「シカシアモン、ワレノムスメハキタイシテイタマホウト、コトナルケイトウヲオボエタヨウダガ?」

「それについては弁解のしようがありません。このアモンの力量が足りなかったせいであります」

「マア、イイ。サイゴニムスメノセイチョウガミレテ、オモイノコスコトナドナクナッタ」

…なにを……言っているの?

「ねぇ、人形さん?あなたは一体何者なの?ウチの事を娘って呼んだり…まるでパパみたい」

まさか…本当に?


「そんなことより、姫さま!こちらに…今逃走の準備をしますから、窓の方に行ってください!……【()(タモ)()・アモン】…第一形態【(ハート)(カラ)(フル)(ストーン)】………」

アモンの手の中に、小さな結晶石の首飾りができた。


「姫さま、これを肌身離さずお持ちになって下さい。これは姫さまに敵対心を示せば示す程赤く染まります。信頼出来るものかを見定める時の目安に」

何と無く、じたいが今更になって飲み込めてきた。

きっと、もうアモンや人形さんと会うことはない。

「我らが王よ、準備が出来ました。いつでも行けます」

「アモン、ナニモオマエガシヌコトハナイノダゾ?」


「我らが王よ、アモンは既に貴方と共に生き、死ぬと決めたのです。野暮なことはよして下さい」

「ソウカ…デハワガムスメヨ、サキノシツモンニコタエルトシヨウ……〈トキハナテソノチカラ…ワガチカラヲカイホウシ……カミヲコロセ〉…」

となえ終わるやいなや、人形の周りを黒い魔法陣がおおい、破裂したり折れたりを繰り返して。


「…………パパ」

「おぉ…我らが王よ…」

黒い魔法陣が消えた後には、懐かしいパパの姿があった。

ここ数日間、沢山言いたいこと話したいこと、いっぱい出てきたのをぐっとこらえて。

「……パパ、ウチ…全部分かったよ…これからウチがどうなるのか、どうするべきなのか……どう、あるべきなのか」

「そうか…分かってくれてうれしいよ」

「でもね、パパ。最後に一つ、ワガママ言ってもいい?」

「なんだ?言ってごらん?」


溢れる涙を押し殺し。

「ウチね、パパがパパで幸せだったよ?ママが〈人間〉だって事も知ってたし、毎日やって来たこわい人たちも〈人間〉で、ウチたちは〈悪魔〉だって。でもね、パパ?ウチ、悪魔とか人間とかもうどうでもいい。パパの娘だって事だけで、ウチはもう世界一の幸せ者だよっ!だから、最後にギュッてして?今まで一度だってされたこと無いもん」

「……………………………………あぁ、あぁ、ギュッて、ギューッてしてあげる」

「パパ、変なの。泣きながら笑ってる。それにツノがゴツゴツ当たって痛いよ」

もう、二度と会えない。

最後にギュッて出来て良かった。

これでパパは、ママにお土産話持って帰れるね。


「…我らが王よ、そろそろ………」

「あぁ、そうだな。そうだったなアモン…よろしく頼む」

「おおせのままに………【(エクス)(トリーム)(マジ)(ック)(エア)()(ワー)()】…」

ウチの周りを風が取り巻き、ウチの身体を浮かす。

「じゃあ、またね?パパ」

「あぁ、またな」

ウチはそのまま窓から風に乗って高速で飛ばされ、パパの最後を見ることは無かった。


▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎


ウチはそれから三日三晩飛び続け、小さな街の手前に降り立った。

「…うぅ…流石になにも食べないと体力続かないなぁ…」

ふらふらと、あっちに行ったりこっちに行ったり。

大通りから小通り、そして裏路地へとひと気の無い所へ行ったあげく。

「…ここからいい匂いがする…〈カフェ・スグル〉…」

もう、食べ物がありそうならどこでも良かったので、とりあえずこの家の二階にお邪魔することにした。

久々の超大作です。


前回の後書き通り、詳しい解説をさせていただき…ません。


もう、殴ってくれて結構です。

黙って作者の顔に拳を貸してください。


読者-_-)っっ)´Д ` )

読者-_-)っっ)Д ` )

読者#°Д °)っっ))Д `)ぐぼぁ

オラオラオラ

オラオラオラ


ちゃんと説明しますはい。

本当は響と翔、真美菜の三人の過去編第一部である意味区切りをつけるつもりでした。

今回出て来た彼女はそのうち出すつもりでしたが、出した後での過去編を書くより、今書いた方が良さげだったので、このようなことになりました。


つまり、今回の過去編は作者の気まぐれと言うことです。

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