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#19響の手料理⑥

〈前回のあらすじ〉

人命救助をしたら滅多打ちにされました。


▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎


「…そんなわけで、あれが探してたコーヒーの木よ」

へぇ、これがコーヒーの木ですか。

俺の肩程の高さとは、随分と小さいんだな。

「それで、なんでまだ残してあるんだ?苗木は採取したんだろ?」

「…ショウ、あんた一回でいいからコーヒーの木について調べてみなさい。そしたら、あれを刈り取る気にはならないから」

ショウには後で調べて貰うとして、家を設置する。

幸いと言うか、コーヒーの木が生えているのは畑 (予定地)の角に位置しているために特に支障は無かった。


「おー、すっごいオシャンティじゃん。スグルの建築センスはんぱないの!」

「おいおい、色は俺の成果だぜ?」

「ヘーソーナンダー」

「なんでスグルは褒められて俺は何も言われないんだろ。理不尽にも程があるよな、スグル?」

「…あぁ、うん」

俺の作った店はレトロをベースにしており、客席はカウンターとテーブル、それから屋外に設置してあり、気分に合わせて選べるようにした。


お店のキッチンはレンジから石窯、果ては食器洗い機まで一般的なものから専門的なものまで各種取り揃えておいた。

おそらく一人できりもりするだろうし。

自宅である二階部分には、4LDKと、それから風呂トイレはもちろんのこと。

店側からは見えない位置にテラスを設けてある。

正面に出したらテラス席と勘違いされそうだったし。

裏には井戸と畑 (予定地)、それから野生のコーヒーの木なんかがある。


「やっぱりあたし、スグルはセンスのカタマリだと思うな。どうやったら豆腐建築から抜け出せるの?」

「知らん。それより、お店のメニューはどうしよう?珈琲は確定だとしても、値段だって決まってないし」

材料とかってどうやって手に入れるんだろうか。

やっぱり八百屋みたいなのが存在してるのか?

もし、育てられるんだったら出来るだけ自給自足でやりたいんだけど。


「値段…かぁ…どうなんだろう。牛乳1ℓが100Cだから…リアルの牛乳の値段と比較して…えーっと……そうすると1Cが…………」

なんだかブツブツ考えているようで。

こういう事に、こんなに真剣に考えてくれる奴は恐らく、今後の人生出会うことは無いんだろうな。

「珈琲一杯、大体10C位かな?1Cが2円だと仮定すると、20円ね。たった一杯で高いかもだけど、こっちの手間を考えると良心的だと思うな」

そんなもんかな?

まぁ、商売のプロだったマミナの価格設定だ。

間違いないだろう。


「他のメニューとしては、フレンチトーストから始めれば?さっき見たけど畑のスペース、無駄に広いから簡易的な養鶏場なら出来そうよ?卵があれば大体の料理は作れるでしょうし。スグルなら、ね?」

それもそうだ。

卵があれば大体いける。

色々と卵料理を想像していると、ショウのお腹が鳴った。

「あぁ…朝飯の話してたら腹減ったぜちくしょう」

「なら、一度ログアウトして朝飯にするか?食パンと卵があるから今日はハムエッグトーストとフレンチトーストを出そう。あと珈琲も」

「「あざーっす‼︎」」

そうして、俺たちは一度ログアウトすることにした。

卵があれば大体の料理が作れます。


今日はフレンチトーストでも食べてみては?

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