#17 響の手料理④
サカキさんに案内され、大通りから小通り、そこから先にどんどん進み、路地に入っていく。
街の中心から離れ、人の声か遠のき始めた。
「着きましたよ。ここが貴方の土地です」
「「………こいつぁひでえや」」
俺もショウも、愕然とした。
雑草と聞いていたから、せいぜい膝丈までの長さかと思っていたが、甘かった。
そこだけジャングルになったような、俺たちの身長を軽く超える雑草が生えている。
奥に見えているの、既にもう草と言うレベルを超えて木になっているんだもの。
誰だって驚く。
「…いかがなさいますか?お客様。今ならまだ引き返せますよ?」
「そ、そうだな。おいスグル、別の土地探そ「…すげぇ」…ん?」
「すげぇよショウ!めちゃくちゃ楽しそうじゃん!見ろよ!奥に木が生えてるぜ⁉︎こいつぁすげぇや‼︎ありがとうございます、サカキさん!こんなに良い土地貰って良いんですか?」
「はい!喜んで貰えましたか?」
「そりゃもちろん!」
「では、契約成立ですね。あ、これを忘れる所でした」
俺は設置型ミニポイントを貰った。
「それをお好きな所に設置すると、登録した方のみですが、転移ポイントから直接来ることが出来るんです」
「ありがとうございます!」
俺はサカキさんに深く頭を下げ、しっかりとお礼の握手をし、サカキさんと別れた。
「いやー、良いもの買ったな。そう思うだろ?ショウ」
「しらん」
…ん?
あれ?俺、なんか悪い事したっけ?
「なぁ、俺なんかした?だとしたら謝りたいんだけど」
「別に怒ってるワケじゃ無い。ちょっとスグルがバカに見えただけだ」
なにそれひどい。
「で?どうする、スグル?先に草刈りするか?それとも不動産に行くか?」
うーん、どうしようか。
草刈りを先にやっちゃってもいいけど、家を買っても設置するために草は刈らなければならない。
「ショウは、どっちがいいと思う?」
「俺か?俺は先に不動産…って言うかあと三十分でマミナが帰ってくるから、草刈りはマミナに任せればいいと思うぜ?」
あぁ、なるほど。
魔法で切るなり燃やすなりしてもらえば良いのか。
「そっか。じゃ、不動産でオナシャス」
「…分かった。スグル、本当にパソコンもケータイも持ってないんだよな?」
「おう」
一体どこからそんな話が出て来たのか。イミガワカラナイヨ?
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うぅ…見つからないよぅ…
「絶対この地帯にある…はずなんだけどなぁ…」
スグルと分かれて、あたしが珈琲の木を探すことになったんだけど。
「野生の珈琲の木は熱帯林の日陰に生息しているって、調べたら出て来たのに…全然無いじゃない!」
そろそろ帰ろうかな…
いや、あたしが見つけるって言っちゃったんだ!
これはもう何が何でも帰るワケにはッ‼︎
【メッセージを受信しました】
「もう、誰よこの忙しい時に。ショウか。えーっと…あぁ、スグルの土地、買えたのね」
ふむふむ、設置型ミニポイントを近くに設定しておいたから、草刈りよろしく…って、ふざけんじゃ無いわよ。
こちとら珈琲の木を見つけるまで帰らないと誓ったのよ。
「…ん?草刈り範囲図?って、ただのSSじゃ………あぁっ⁉︎」
あたしは、写真を拡大していき、ある一点を見つめる。
「…こっ…これはっ……」
すぐさま携帯型ポイントを使用して、スグルの土地まで飛んだ。
「まさか、こんな事があるなんてね。まったく…スグルは運が良いんだか悪いんだか」
邪魔な草を風魔法で切って行き、それを手に取って確認する。
一番奥の、一本だけ生えていた木。
【アイテム:生の珈琲豆】
「はぁ…疲れたなぁ…」
吐出した岩に腰掛け、青空をあおぐ。
「…よしっ!やるか!」
気合を入れ、あたしは草刈りを始めた。
コーヒーの木を、またもやググった無知の作者です。
そろそろサブタイトル変えないと…ね。




