Unlimit Shine of Accelerate
今回ちょっと短いです
季節は冬を迎えていた。
東京は雪こそ降らないが、気温もものすごく下がり、外を歩くときはコートが必須となっていた。
俺はコートを羽織りマフラーを首に巻き秋葉原を歩く。
「以前、来た際はご迷惑をおかけしましたね」
「結構前の話だけどね……。あんときは疲れたよ」
俺は自分が好きで聞いているロックバンドのCDが今日発売だということで店に来ていたのだった。
ロックバンド”Unlimited Shine of Accelerate”というロックバンド。ファンからはUSAと呼ばれている。四人組のロックバンドで、激しさと静かさの高低差がある音楽を良く作ってくれる。
人気アニメ”DON PIE”のEDや”戯曲回閃”のOPも歌ったことがある実力派ロックバンド。
俺だけじゃなく、直虎や仁たちも好きで今日発売のシングルは買うんだろう。
「私にお任せしてくれたら買いに行きましたのに」
「いいんだよ。こういうのは自分で買いに行くからいいんだ」
CD屋につくと、なにやらすごい騒ぎが起きているようだ。
行列ではなく、店を囲むように人間が壁となっている。
「な、なんだ?」
「人気バンドならこのくらいは当たり前だと思いますが」
「いや、人気だけどここまで人だかりが出るほどじゃ……。マナーいいファンばかりだし行列になるのは覚悟してたんだけど……。すいません、なにかあったんですか?」
「今な、とある男性を探してるっつー人気バンドのUSAが来てんだ!」
え、マジすか。それでこの人だかり……。
いや、SNSもフォローしてるけどそんな情報なかった。第一こんな場所で探して何に……。
「ちなみに誰を探してるとか言ってます?」
「今年の夏、事故で死んだ榎本 音助を知っている人だってよ」
えっ。
その情報に思わず俺は伊佐波さんと目を合わせる。
「……知り合いなのですか?」
「いや、こっちが一方的に知ってるバンドなんだけど」
「じゃあなぜあなたの情報を……」
俺たちが困惑していると、人ごみをかき分け、俺がテレビでよく見ている四人組の姿があったのだった。
俺らは目が合い、ボーカルである釘宮 友理奈と目が合う。
「いた……!」
「…………」
「音助、さん……!」
ちょっと待て。なんでこの姿の俺を知ってるんだ……?




