表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
60/118

ユキの婚約者

 ここ最近、いろいろあった。

 八重津に俺のことがばれたり、千智ちゃんが暴れたりなどなど。そのせいかもしれないが……。


「テストの点数めっちゃ悪いな」


 わかっていたことだ。

 桐羅の中間テスト。9月の終わりに開かれた中間テストで赤点ギリギリの点数だった。レベルが高いというのもあるが……いろいろありすぎて復習とか怠っていた。

 赤点はぎりぎり回避できたとは言え、ここまで悪いのは普通に恥ずかしいもんだな。


「これは帰って復習しないとなー……。ここ最近いろいろあって本当に……」


 桐羅ではテストの順位が掲示板に張り出されるようだ。

 1位はまぁ想像できていた通りユキ。5教科500点満点のテストで498点というバカみたいな数字。1問しかミスしてないのもすごい。

 2位は……井達くん。外部生だからかほとんど外部生の名前がずらりと並んでいた。


「さっすが帝王様だなー……」

「井達惜しかったなー」


 と、外部性がやいやい騒いでいた。

 それを面白くなさそうに見る内部生。俺の順位ははるか下のほうだった……。千智ちゃんは4位に名前があったっていうのに恥ずかしいっ!


「生意気ね」

「これだから外部のやつらは」


 と、内部生がぶつくさ文句を言っていた。

 やれやれ。軋轢はいまだ健在。というかなくなるわけがない。だがしかし……てっきり千智ちゃんとか見に来てるもんだと思ってたけど見に来てないのか。

 というかどこにいるんだろ。もしかしてサロン? サロンは俺は入れないしな。


「ん?」


 俺は窓の外を見ると、ユキが誰かと話している姿が見えた。ユキは嫌そうにしているが無理に追い返そうとはしていない。

 相手は……この学校の女の子ではなく、純白の制服に身を包んだ女の子だ。珍しい。ユキが普通に会話を続けるのは千智ちゃんぐらいだってのに。いったい誰だろうか。

 

 まぁ、それは俺にはどうでもいいこと……。

 ユキがちょっと嫌そうにしているあたりあまり得意な人物ではないのは確かなんだが……。


 ……助けに行ってやるか。ユキは女嫌いだしな。


 俺はカバンをもって校門のほうに向かう。

 

「ユキ」

「ん? 音子」

「どうしたの?」

「いや、なんでも……」

「あら」


 と、白い制服を着た女の子が俺を見定めるかのように全身を見てきたかと思うと鼻で笑っていた。


「初めまして。私は聖凛せいりん女学園に通っております伊佐波いさなみ 優里亜ゆりあといいます」

「あ、私は……万 音子です」

「万……。あの万家のものですか。へぇ。そうですか」


 なんか嘲笑っているような感じがする。なんつーかめちゃくちゃ感じ悪い。


「ではわたくしはこれで。幸村様、また今度一緒にディナーでも」

「あぁ……」


 といって伊佐波は車に乗って去っていった。

 いやな奴……というのが第一印象だが、そんな嫌な奴を追い返そうとしなかったユキが気になる。ユキも俺のその気持ちに気づいているようで、重々しく口を開いた。


「……元婚約者で、俺の父とあいつの父が親しくしているから無下にできん」

「なーる……婚約者!?」

「意外か?」

「婚約者ってマジでいるとは思ってないから……」

「そうか。そういう世界じゃないところで生きてきたからな。まぁ、そういうやつなんだ。嫌な奴だろアイツ」

「……品定めされてるのがどうも気に食わん」

「だろ」


 あんな奴ともう関わりたくない。










評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ