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病み上がり

 熱も下がってきた。

 俺は少し気怠さが残りながらも学校へ向かう。


「おはよー……」

「オハヨーゴザイマス!」


 なんだか聞いたことのある声が聞こえた。

 いや、この声……修学旅行で聞いた。っていうか聞かされた。俺はなんか嫌な予感がして声のほうを向くと。


「オハヨーゴザイマス! ネコチャン!」

「ぶっ」


 桐羅の制服を着たヴィットーリアが着席していた。

 待て、なんでいる? 修学旅行でお別れっていうことじゃないのか? やけにお別れの時すんなりいったなと思ったが……。

 俺の視線に気づいたのか、どや顔でヴィットーリアは説明を始めたのだった。


「日本に来れば、まだネコチャンをユーワクするチャンスがアリマス」

「だからって編入までするか普通!? 国を越えてくるとかなんでだよ!?」


 全然安心した学校生活送れなさそうなんですけど!?

 これがすべて俺の熱による幻覚だと思いたい。そうであってほしいと願うばかりだ。


”ところがどっこい夢じゃありません”


 頭の中では百花ちゃんの声がちょっとうるさいし。どこで覚えてきたそんな漫画のセリフ。


「もうなんでもいいや……」

「受け入れはええなお前」

「熱大丈夫か?」

「うん……。九条君も城前君も心配かけたね……」

「気にするなよ。体調は誰だって崩すもんだから」

「そうそう」


 俺は荷物を置き、そのまま机に突っ伏していた。

 頭が重い。まだ熱による後遺症があるのと……その、昨日のユキの裸がフラッシュバックして落ち着かない。俺は本当に一線を越えてしまったのだろうか……。結局そのネタバラシはなしのまま今に至るのだが……。


「おはようございますわ、音子様。体調のほどはいかがでしょう?」

「まだ万全じゃない……」

「そうですか……。ご自愛くださいませ……」


 俵さんはそのまま去ろうとしていた。

 俺はちょっと聞いてみる。


「俵さん。男女が裸で寝ていたらそういうことしたと思うか?」

「……? そのような状況なら確実に”した”のでは?」

「だよな……」

「あっ! もしかして次の曲でも構想しているんですの? ふふ、楽しみにしていますわ、ニューネオエスケープ!」

「……あぁ」


 そういうことにしておこう。

 そうかあ。シチュエーション的にしちゃったかぁ。


「……ねぇ、大丈夫?」

「赤家さん……」

「その……風邪大丈夫?」

「大丈夫。心配かけちゃってごめんね」

「いいの……。音子様がいなかったとき財前様がとても悲しそうでしたから」

「ユキにも謝らないとね」


 ただ……修学旅行でキスはしたわ、昨日は裸で一緒に寝ていたわ……。顔を合わせづらいことばかり起きている。

 今顔を合わせるのは俺はちょっと避けたい……。なんつーか、すっげえ恥ずかしいっていうかドキドキするし……。


「おはよう」


 と、噂しているとユキが入ってきた。

 ユキと目が合う。俺は反射的に目をそらしてしまう。


「……なにかあったんですの?」

「なにも……」

「はっ……! もしかして財前様が看病しにいらしたんですのね!? 幸せ者ですわねーっ!」

「ちがっ……ちがくないけど!」


 昨日のあの状況がフラッシュバックしちゃうんだよ~っ!












Q.しばらく投稿なかったね? なんで?

A.コロナでダウン。後遺症もひどくしばらく書く気力がなかった

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