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高熱

「38.9度……。結構高いね」


 今現在、火曜日の朝。

 俺は体調を崩して寝込んでいた。


「ここのところいろいろあったし……それで体調崩しちゃったのかな」


 ここ最近の疲労が祟ったのか、高熱を出してそのまま寝込んでしまったのだ。

 頭が重い。ふらつく……。百花ちゃんも体調が悪いのか黙ったままだった。


「とりあえず寝てなよ? おとなしくね。私は学校に行くから……」


 そういってそそくさと出ていく千智ちゃん。

 それと入れ替わりで部屋に入ってくる道彦さん。


「具合は……どうだ?」

「まだ全然悪いです……」


 体がだるい。

 意識を保つことはできるものの、起き上がる気力はなかった。道彦さんはそれっきり黙り込んでしまう。あれから千智ちゃんとの間に軋轢が生まれてしまっているらしく、会話をしていないらしい。

 まぁ……千智ちゃんはものすごく気にしそうだからなぁ。それを多分ずっと引きずると思う。


 道彦さんはそれを望んでないだろうし……。俺が何かしてやれることはないだろうか。

 何か考えたいが考える気力が……ない……。


「悪かった……」

「俺はいいですよ……。気にしてないです……」

「そうか……」


 道彦さんはゆっくりと部屋を出ていった。

 あぁ、眠い。ちょっと寝るとしよう。


 俺はそのまま目をつむり意識を投げ出したのだった。

 いくら時間が経過したんだろう。誰かが入ってくる気配を感じ、目が覚めた。


 道彦さんがまた来たんだろうか。スマホを触って今の時間を確認してみると午前10時。あまり気分はすっきりしてないが、それでもよく眠れたと思う。

 ああ、でもまだ辛い。


 俺は入ってきた扉のほうを向く。


「大丈夫か……?」

「んん……ユキだぁ……」


 ユキの声が聞こえる。

 いや、でもユキは今学校に……。じゃあ目の前にいるのは誰なんだろう……。まぁ誰でもいいや……。道彦さんでも香織さんでも誰でもいいや……。

 俺は起き上がり、汗でべたついた服を脱ぐ。


「な、何してんだ!?」

「汗で不快だから拭いて……」

「い、いや俺は……」

「減るもんじゃないんですし……」


 拭いてくれるのを待っていると、背中に詰めたい感触が当たった。

 気持ちいい。濡れたタオルで体を拭いてもらうのがちょっと気持ちいい……。あまりの心地よさにそのまま倒れこみ、また再び意識を投げ出したのだった。

 

「じゃ、俺は行くから……」

「だめぇ……。いっちゃだめぇ……」


 今にも行ってしまいそうなユキの手をつかみ、体重をかける。

 このぬくもりはユキだ……。安心するぬくもりだなぁ。安心してぐっすり眠れそう。


「ユキ……。また昔みたいにばかやって遊びたいねえ」

「……ああ。そうだな」


 昔みたいにいろいろと遊びたい……。

 今の大人びたユキじゃ周りの目を気にしてできないかもしれないけど、いつか二人きりに慣れるときがあったのならしたいね……。











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