ローマのきゅーじつ ①
全ての道はローマに通ずという言葉があるように、俺がローマに来たのは偶然でもなく、必然。
「やっとついたぁ……。飛行機に半日かそこらぐらい乗ってたんじゃなかろうか……」
空港で飛行機から降りて、キャリーバッグを転がし大きく背中を伸ばす。
修学旅行が早くもやってきて、俺はイタリアのローマにやってきていた。ローマといえばなんだろうか。法王とか?
名前こそ知ってはいれど知識に関してはまるっきりない。
「ローマ久しぶりに来たな。今回は学校の行事でだが……。あとで一緒に周ろう」
「頼むよー。本当に私来たことないから」
「ああ、大船に乗ったつもりで任せておけ」
ローマのことはとりあえず任せておいて。
まずはバスに乗って本日宿泊するホテルに荷物を預けるらしい。バスに荷物を積み込み、ホテルに向かって、荷物を下ろす。
そして、少しの説明を受けた後、まずは班行動。俺らの班は九条、城前、財前の男子三人、俺、千智ちゃん、俵さんの女子三人、計六人の班。
ローマの市内を回り、観光名所を巡る。
「うーん、美味しー!」
「うま……」
ローマのスイーツに舌鼓をうっていた。
レモンの香りが爽やかに鼻を抜けていく。なんつーかすげーレモンの味が心地いい。
俺がスイーツを食べていると。
金髪の女の子と目が合ったのだった。金髪の女の子はこちらをじーっと見ていて、俺と目が合ったかと思うと笑顔でぱーっと笑う。そして、とてとてと駆け寄ってきたのだった。
「ブラーヴァ!」
「ブラーヴァ?」
「ニホンジン、の、ビジョ!」
「……私のこと?」
「じゃないか?」
「こほん……。ワタシ、ニホン、好き。可愛い、女の子、もっと好き。可愛かったから、声を、かけました!」
と、俺の手を握り、ぶんぶん上下に激しく振るイタリア人の女の子。右腕には包帯が巻かれ、左目には黒い眼帯をしてあったのだった。
これってその痛々しい病気だった利するのだろうか……。
「ワタシ、は、ヴィットーリア! ヨロシク、ね!」
「え、あ、私はネコ……」
「音子、ちゃん! 可愛い名前……ふふん」
と、なんかとてもいい笑顔を浮かべていた。
いきなりなんなんだお前は。
「……ヴィットーリア? 下の名前はなんていうんだ?」
「ディ・カプア。ヴィットーリア・ディ・カプアと申しマス!」
「おいおい……」
「知ってるの?」
「俺も取引させてもらってる海外ブランドの社長の娘じゃねえか」
「うえっ!?」
「おぉ、ご存じなのデスね!
そ、そんなにすごい人の娘なんですか?
話を聞いてみると、その、ヴィットーリアの家はとてつもなくデカいらしく、世界的にも有名な化粧品メーカーの創設者の孫。
俺も聞いたことはあるような名前の会社名だった……。
「ネコチャン。ローマに何の用デスか?」
「ん、ああ、修学旅行で……」
「……私が案内してサシアゲマショウ!」
そういって、俺の手をがしっとつかんだかと思うと思い切り引っ張られていったのだった。
あまりにも突然なことで、抵抗むなしく俺はヴィットーリアの家の車に乗せられていく。そして、すぐに車が発信されたのだった。
え、何が起きてるんです?
俺はぽかんとヴィットーリアさんを眺めると。
「ふふ……。私の運命見つけました……!」
なんか変なこと口走ってる。




