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バレンタインはもうすぐ!

 千智ちゃんと八重津をくっつける作戦が開始したのだった。

 動くとするならまずは今から……とは行かない。こういうのは急激に距離を詰めたら逆にきもがられる。それは直虎が実証している。


「次の恋愛イベントって言ったら……」

「2月14日、バレンタインだね」

「よし、じゃ、それとなく剣にチョコを渡すようにやってみる」

「できる?」

「千智の性格を利用したら行ける」


 剣は半信半疑のようだった。

 実際、冬休みが明けてすぐにバレンタインがやってくる。俺ももちろんユキに本命チョコを渡すつもりでいる。

 あとバレンタインまで1か月もない。俺もユキにどんなチョコを渡すか考えないといけないな。


 剣と作戦会議を終えて千智と一緒に戻る。


「そういやあと一か月もしないうちにバレンタインだけど千智は誰かにチョコあげたりするの?」

「しないよ? だって面倒だし、渡す相手ってわりかしチョコもらえたりするから逆にいらないでしょ私からって」

「あー」

「渡すとしたら幸村ぐらいでしょ」


 たしかに千智はそうだ。


「あとは義理として女子の友達に渡すってぐらいだけど、友チョコだしなぁ」

「そっか。今年は幸村とかにも渡したらいいじゃん」

「えー」

「去年、幸村に迷惑かけてるんだからさ」

「うっ、それを引き合いに出されると弱い……」

「そん時、幸村だけじゃなくて剣とかにも迷惑かけちゃったんだからお礼として渡さないと」

「うーん、それもそっか。でも迷惑じゃない? どっちも結構チョコもらうでしょ」

「自分の友達からもらうチョコと友達じゃないやつからもらうチョコって違うもんだよ?」

「経験あるの?」

「いや、世間一般として」


 経験があると思うなよ。

 俺がもらったことがあるチョコの数は妹と母親からだけだ。アーモンドチョコ一個というしょぼくれたチョコレートだけだぞ。

 俺の顔は良くもなく悪くもなく普通だったのであまりもらう機会が……。いや、俺の話は置いておいて。


「そーいうもんかぁ。じゃ、今年は作ってやるかなぁ二人に。でもいいの? 剣はともかく、幸村は音子の彼氏でしょ。彼氏がほかの女からもらうの嫌じゃない?」

「姉妹だからいいんだよ。それに千智はユキに友達としての好意しかないの知ってるし、ユキが今更千智に乗り換えるとは思えないし」

「うおお、どちらの信頼も厚い……」


 千智はどうやら作るつもりになったようだ。

 まずは渡すように促す作戦成功。俺の演技力ってわりかしすごくね?


「うーん、やっぱこういうのって手作りがいいの?」

「俺は手作りにするよ」

「そっかぁ。でもユキは私の手作り食べないしなー。既製品でいいかな」

「……手作りにしようよ、俺は千智と一緒に作りたい」

「えー」

「ユキには俺に手伝ってもらったって言えばいいって」


 俺はそう言って、運転手さんに財前家の前で降ろしてもらうように告げた。


「あれ、なんで? 家に帰らないの?」

「ユキと約束があるんだよ。先帰ってて!」

「おっけー。わかった」


 よし。

 とりあえずこの作戦にユキを巻き込もう。あいつの親友なんだ。ユキがわけわかんなくていろいろ聞かれたらボロが出る。

 俺がユキの帰りを待っていると目の前に高級車が止まり、ユキが降りてくる。


「あれ? 音子どうしたんだ?」

「話が合って」

「……別れ話か?」

「いや、そんな後ろ向きな話じゃなくて」

 

 ユキと別れるわけないだろう俺が!








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