スキーに行こう!
俺は今、長野に来ていた。
「っつーわけで! 今日は俺らの貸し切り! 目いっぱい遊ぼうぜ!」
銀太郎がスキーウェアを着てはしゃいでいた。
なぜ長野にいるのか。それは俵さんからお誘いがあった。銀太郎が友人を集めてスキーに行きたいといっているらしく、銀太郎の家が所有しているスキー場を貸し切って遊ぼうという話だった。
俺も友人の一人としてカウントされてるらしく、スキーのお誘いが来るかもということで待ってたら来た。なので、ユキと一緒に参加することにした。
「スキーか。小さいころやって以来だな」
「私一度も滑ったことないよ?」
「千智ちゃんはダメだなあーっ! もうちょっと遊ばないと!」
「……運動は別にそこそこでいいし、本を読んでるほうが好きだし」
千智ちゃんはスキーを滑ったことはないらしい。
「音子様はあるんですの?」
「うーん、私もない、かな」
実は一度だけある。
高校の時、スキー旅行という行事があって長野に一度行ってスキーを滑っている。俺はすぐに滑れるようにはなったが、スキーなんてやったことがない都会っ子が多くものすごく転んでいた人が多い印象がある。
ただ、それを言うと俺の事情を何も知らない銀太郎と城前が困るのでしたことないにしておく。
「見えてきたぜスキー場!」
「さすがというべきか、窓の外の景色気にしたことなかったけど一面銀世界だね」
「雪の量も問題なさそうだな! じゃ、各自着替えて来いよーーーっ!」
そういうので、俺はロッジでレンタルのスキーウェアとスノーボードを借りた。
「そっちにするんですの?」
「うん。音助だったときには一度もしたことないからチャレンジ」
「あぁ、したことないというのは嘘でしたのね……」
「城前と銀太郎は俺のこと知らないんだからね。仕方ないでしょ」
「それもそうですわね」
着替えてロッジの前に出る。
男どもはすでに準備ができてるらしく、ゴーグルもつけて準備万端なようだった。ユキはスノーボードを片手に立っている。
やっぱユキはスノボを選んでたか。
「んじゃ、まずはリフト乗って頂上へ行こうぜ!」
「つってもたくさんあるけどどれに乗るの?」
「一番上に行くのはあのゴンドラだね。ほかは途中で降りるから。あの椅子に座るやつとかは」
「そうそう!」
「私初めてだからゆるやかな斜面でまず練習したいんだけど」
千智ちゃんはそういうが。
「頂上でやったほうが上達速いぜ!」
と馬鹿なことを言っている。
「馬鹿! お前ならまだしも千智さんに何かあったらお前責任取れねえだろ! まずは練習してから頂上に来させろ! 俺が教える。俺と千智さんでまずはゆるやかなところ行こう」
「助かるよー……。ちょっと怖いからさ」
「慣れたらそんなんでもないさ。行こうか」
千智ちゃんをエスコートしリフトに向かっていった。
「むぅ……。じゃ、残りで頂上へ行こう!」
「音子はいけるか?」
「まぁ、大丈夫でしょ。いきなり頂上っていうのもスリルがあっていいじゃない」
「そうか。まぁ、あまり無理はするなよ。俵のほうはどうだ?」
「いけますわ! 準備万端ですの!」
「やる気満々だな……」
ということで俺らはゴンドラに乗り込んだのだった。
ゆっくりと上昇していくゴンドラ。
そして、頂上に着く。
外に出て、俺はスノボを足にはめた。
「じゃ、行こうぜ!」
「応!」
斜面を滑っていく。
スノボって案外ムズイ……。だがしかし、百花ちゃんの体の運動神経も合わさって難なく乗れていた。
『私のりたい! 交代して!』
と、百花ちゃんが言う。
「いいけど、銀太郎にはばれないようにしろよ? 知らないんだから」
『りょ!』
ということで、うるさくされても困るので百花ちゃんと変わることにしたのだった。
俺は停まり、目を閉じる。体の感覚が失われていっているような感じがする。そして視界が開けると、体が動かなくなっていた。
動かす主導権が百花ちゃんになっているから当たり前なのだが。
「スノボ! スノボっ!」
『ケガするなよ……』




