対外情勢:遊び文化は世界へ
マリアンヌの就任から数年。
王国の“遊び文化”は国内だけでなく、ついに 世界へ波及 し始めていた。
◆鉄血のギゼル帝国、まさかの視察団派遣
かつて対立していた「鉄血のギゼル帝国」。
軍事国家として知られる彼らは、王国の急激な技術発展と文化変容に強い関心を抱き、
ついに正式な視察団を派遣してきた。
王都の創造工房を訪れた帝国の将軍たちは――
「……っ!? なんだあの動きは……!」
木材の迷路で全力疾走する子どもたち。
スライムを抱えてジャンプする魔法使い。
ホッピング喰らいながら空中で戦術議論する学者。
ゴーレムを滑り台扱いする幼児。
「お、おい……王国の子どもは、あれで訓練を……?」
帝国将軍の一人がつぶやく。
「いいえ、遊びです!」
後ろからマリアンヌが元気よく飛び出してくる。
「訓練じゃないよ!遊び!ひたすら遊び!!
いっぱい遊んで、いっぱい笑って、そしたら頭も身体も勝手に強くなるの!」
将軍は言葉を失った。
遊びで鍛えた子どもたちが、
帝国の兵士より反応速度や判断力が上回ることに気づいたからだ。
「……信じられん。だが、結果だけ見れば……
我が国の軍学校より成果が出ている……?」
「でしょでしょー!もっと遊んだらもっと伸びるよ!」
帝国軍の重厚な空気は完全に押し流され、
視察を終える頃には、将軍たちは完全にマリアンヌのペースに巻き込まれていた。
◆帝国、まさかの「子ども研究留学」を始動
数週間後。
「鉄血のギゼル帝国、
“遊び文化交換留学”を正式に要請――!?」
王室会議室がどよめいた。
「帝国から……子どもたちが遊びに来るそうだ。
“創造性向上訓練プログラム”として……」
「訓練って言ってるけど、来るのは遊び目的だよね?」
「まあ……そうだな……」
こうして帝国の子どもたちが続々と王国に入り、
逆に王国の子どもたちも帝国に“遊びの出張指導”へ向かう交流が始まる。
◆世界へ広がる“遊び教育”
帝国の参加を皮切りに、他の国々も次々に視察団を送り込み、
やがて各国で“創造工房”や“共遊地区”が設立されていく。
・剣術国家は「遊び足さばき道場」を開設
・砂漠国家は「スライム水冷装置」を導入
・海洋国家は「巨大海上すべり台祭」を開催
世界はゆっくりと、しかし確実に変わりつつあった。
◆ルネの感想
「……どうして世界規模の文化改革が“遊ぶ子ども”から始まるんだ……?」
「え?遊びはね、伝染するんだよ!」
マリアンヌがにっこり笑う。
「楽しいって、世界を動かすんだよ!」
世界は戸惑いながらも、その言葉に導かれ、
新たな未来へと踏み出していくのであった。




