最終攻撃:水鉄砲 vs 古代兵器
遺跡最奥――赤熱した大地が波打ち、空気そのものが悲鳴を上げていた。
暴走兵器《機神オルド・ガイア》がコアをむき出しにし、真紅の光柱を天へ突き上げる。
それは、世界の終わりを告げる“脈動”。
将軍
「迎撃態勢……最大出力……!
い、今から核融合級の熱線が来るぞ! 構えろ!!」
魔物も人間も身を固くする。
もはや王国軍の魔導砲すら歯が立たなかった相手だ。
この一撃を受ければ――確実に蒸発する。
そんな中で、ただ一人――
マリアンヌだけが、
泥まみれの顔を上げて、晴れやかに笑っていた。
ルネ
「マリアンヌ……本当に、いけるのか?」
マリアンヌ
「うん! だってね――」
両手で巨大水鉄砲のグリップを握りしめ、
彼女は満面の笑顔で答えた。
「これは“冷やす遊び”なんだよ!!」
◆最終攻撃 ― “びしゃあああああ!!”
暴走兵器の口腔が赤く光った瞬間。
マリアンヌが、
超絶巨大水鉄砲の引き金を――引いた。
――――ド オ オ オ オ オ オ ン ッッッ!!!!
火山噴火の逆流か、
津波を一点に圧縮したかのような、
暴力的な水流が解き放たれる。
風船スライムのタンクから絞り出された超高圧の水が、
魔力冷却ノズルを通り、
巨大な氷の奔流となって赤熱コアに叩きつけられた。
コア
「バチッ……! バチバチバチバチィィ!!!」
急激な冷却が起こしたのは、
金属悲鳴と魔力の悲鳴が混ざった破壊音。
《警告……温度低下……臨界……機能不整……》
機神がよろめく。
マリアンヌ
「せーのっ! もっと冷やすよおおお!!」
ザハード
「なぜ楽しそうなんだこの少女はァ!!」
ルネ
「もう何が起きてるのか分からない……!!」
◆崩壊
赤熱していた巨大コアに
蜘蛛の巣状のヒビが走り――
――パキィィィィィン!!!
世界に響く決壊音。
《機能停止……理由:……不明……
遊戯行動……判定……不能…………》
その声を最後に、
機神オルド・ガイアは膝をつき、
ゆっくりと――砂のように崩れ落ちた。
地鳴りが止む。
赤い光も消える。
空の震動が静まる。
世界から、終わりの音が消えた。
ルネ
「……止まった……本当に……止めたのか……?」
職人
「遊具で……古代兵器を……?」
風船スライム
「ピュル〜♪(やったぁ!)」
丸石ゴーレム
「オォ……(勝利)」
マリアンヌ
「ね! 『びしゃーっ!』ってしたら冷えるって言ったでしょ!」
ルネ
「いや、そんな軽い理屈で世界が救われてたまるかあああ!!」
――しかし、確かに救われたのだった。
世界は、静かになった。
そしてその中心には、
泥と笑顔にまみれた、一人の少女が立っていた。




