表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『悪役令嬢に転生したら、今度こそ全力で遊びます!』 ――中年おじさん、完璧令嬢をやめて小学生男子ムーブに全振りする。  作者: 南蛇井


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

84/98

魔物たちの参戦 ― “遊び仲間”の絆

遺跡へと続く巨大階段が揺れた。地響きとともに、王国軍の背後から影がぞろぞろと現れる。


 ――魔物たちだった。


 丸石ゴーレムは、山のような身体を揺らしながら前へ出る。


「オォ……守ル(任セロ)」


 その声音は低く、しかし確かな決意があった。


 続いて、ぷよん、と跳ねながら風船スライムが転がってくる。


「ピュルル〜!(クッションになるね!)」


 ルネは思わず目を瞬く。


「ま、魔物が……味方に?」


 マリアンヌは当然のようにうなずいた。


「うん! この子たちね、昔ここで一緒に“迷路大運動会”したんだよ。

 段差の落とし穴とか、風抜けトンネルとか、全部使い方知ってるの!」


 言い終えるより早く、丸石ゴーレムが遺跡内のせり上がる石柱を――まるで合図したかのように――叩き折った。


 轟音と共に崩れた石柱が新たな通路を作り出す。


「通路……? いや、まさか計算して……?」


 軍人が絶句したその上を、風船スライムがふわりと飛び、罠の床の上に広がった。


 ぱん、と音を立てて丸く膨らみ、罠の穴を完全に塞ぐ。


「ピュル〜ン!(これで安全!)」


 王国兵たちは、ただただ驚愕するしかなかった。


「ど、どういう連携だこれは……?」


 その問いに、冗談のような答えが返ってきた。


「彼女と遊んだ者は、皆“戦友”になるのさ!」


 声の主はザハード。つい先日まで敵国の将軍だった男が、盾を構えて歩み出る。


 その顔は戦場の猛将ではなく――まるで、昔馴染みの兄のように優しく笑っていた。


「遊びってのはな……本気でやりゃ、心が繋がる。

 こいつらはそれを知ってる。だから迷わず助けに来たんだ」


 マリアンヌが照れたように頬をかく。


「えへへ……だってみんな、いい子なんだもん」


 遺跡内の風が一瞬やみ、奥から低い機械音が響く。


 ――機神オルド・ガイアが、完全に覚醒しつつある。


 それでも。


 王国軍、魔物族、かつての敵国将軍。

 “遊び”で繋がったものたちが、今ここに集結していた。


 誰一人、マリアンヌを見捨てる者はいなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ