表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『悪役令嬢に転生したら、今度こそ全力で遊びます!』 ――中年おじさん、完璧令嬢をやめて小学生男子ムーブに全振りする。  作者: 南蛇井


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

70/98

黒幕の決断

薄闇に沈んだ大広間。天井近くまで届く魔導管が低くうなり、紫の光が壁面を脈打つように走る。

 その中心に立つ男――アレクシオンは、報告書を握りしめたまま、静かに息を吐いた。


「……元凶は――少女マリアンヌ」


 その声は低く、しかし確かな怒気よりも“確信”の冷たさを帯びていた。

 側近たちは息を呑み、互いに視線を交わす。

 遊戯文化――いま世界を席巻しつつある、あの不可解で、しかし人々を熱狂させる新しい潮流。

 それが、たった一人の少女から始まったというのか。


「アレクシオン様……。しかし、その少女はまだ十にも満たないとか……」

 恐る恐る告げる側近の声。


「年齢は関係ない」

 アレクシオンの瞳が射抜くように光る。

「秩序を揺るがす火種であるなら、芽のうちに摘む。それが世界を守る者の務めだ」


 その言葉は、迷いではなく決断。

 世界の流れを変えはじめた、小さな遊戯文化。

 それが人々を自由へと誘う一方で、彼のように“制御”を重んじる者には、恐るべき混乱の始まりに映っていた。


「拘束し、遊戯文化の拡散を止める」


 アレクシオンは宣告する。

 その場の空気が凍りつくほど、冷たく、絶対的な声で。


「……ただの遊びに、ここまでなさるのですか?」

 思わず漏れた側近の言葉。


「“ただの遊び”が、最も危険なのだ」

 アレクシオンは静かな笑みを浮かべた。

 それは慈悲ではなく、支配者の確信に満ちた微笑。


「人は自由を覚えた瞬間、もう二度と檻に戻らない。ならば――その自由が形になる前に、砕くのみ」


 光のない大広間で、彼の宣告は不気味なほど響き渡った。

 こうして、マリアンヌを巡る運命の歯車が、音もなく動き始めるのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ