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『悪役令嬢に転生したら、今度こそ全力で遊びます!』 ――中年おじさん、完璧令嬢をやめて小学生男子ムーブに全振りする。  作者: 南蛇井


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誰も真相を理解していない

封印核の光が落ち着きを取り戻し、

魔王級モンスターが再び沈黙すると――

ダンジョン最深部には、妙な静寂が広がった。


兵士たちはしばらく呆然とし、

学者たちは互いに顔を見合わせ、

精鋭隊の誰もが「何が起きたのか」を理解できなかった。


学者A

「……封印が……勝手に……再起動した?」


学者B

「あり得ん。あの規模の魔力衝突があったのだぞ……?」


軍務官

「しかし魔王級は再び封じられている。

 これは……成功……ということか?」


精鋭たち

「何が……どうなった……?」


全員が“成功した事実”だけは見ている。

だが、その因果を誰も説明できない。



丸石ゴーレムはというと、

壁にめり込んだ姿勢からむくりと起き上がり、

まるで誇らしげに胸(?)を張っている。


風船スライムもぷるぷる跳ねながら、

「上手くいったよ!」とでも言いたげに揺れていた。


だが大人たちには、それがただの混乱にしか見えない。


兵士

「……もしかして……彼らが?」

学者

「いや、いやいや……偶然だろう……?」

兵士

「偶然で……魔王級が……?」

学者

「考えるな……混乱する……!」



そんな中で、ただ一人――

王太子ルネだけが、震える手で顔を覆っていた。


ルネ(心の声)

(……違う。

 わかってる。

 わかってるけど……認めたくないだけだ……)


思い返せば、

魔王級が覚醒しかけた“あの瞬間”。

すさまじい速度で飛来した巨大物体。

その軌道。

その衝撃。


どう考えても、原因はひとつしかない。


――マリアンヌの巨大スリングショット。


ルネ(心の声)

(あれが……世界を救った……?

 そんな……そんな馬鹿な……)


だが、

本人はゴーレムの頭を撫でながら、


マリアンヌ

「見て見てルネ!成功!成功だよ!」


と、無邪気に笑っていた。


ルネ

「成功……か……

 いや……違う……違わないけど……違う……!!」


結局――

精鋭隊の誰も、王国の学者たちも、

ただの一人も“真相”を認識できなかった。


ただし、ルネだけはうっすら悟り始めている。


最も恐るべきは――

あの少女の“遊び”だ。

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