世界規模の問題が“遊び”で解決される
ダンジョンの最奥で再び光が満ちた瞬間、
世界そのものが息を吹き返したようだった。
封印核が完全に安定すると同時に――
外の世界にも、その影響が波紋のように広がっていく。
◆
まず、各地で暴走していた魔物たちが
一斉に動きを止めた。
牙をむき、街道に迫っていた魔獣は、
まるで糸の切れた操り人形のようにおとなしくなり、
やがて静かに森へ帰っていく。
ダンジョンでは、
突然増えていた階層が音もなく縮み、
乱れきっていた魔力濃度が本来のバランスへ戻った。
研究者たち
「ま、魔力線の乱れが収束していくぞ……!?」
「世界規模で整っている……!」
「まさか……彼らが何かしたのか?」
誰一人、真相など想像できない。
いや、本当は想像したくなかった。
◆
他国にも報せが届く。
隣国の王
「王国が……?
魔王級モンスターを……封印し直しただと……?
あの、最近“遊戯国家”と呼ばれ始めた国が……?」
重臣
「信じがたいのですが、事実かと……」
王
「遊び……で世界を救ったというのか……?」
理解不能すぎて震える王。
◆
そして、ヴァルザード帝国――
あの三獣将軍までもが、報告を聞いた瞬間、青ざめる。
ラグナ(虎)
「……また、あの少女の仕業なのか……?」
フェルミナ(鷹)
「遊んで……封印し直したってどういうことよ……?」
グラド(熊)
「水滑り台……魔物チェス……巨石パチンコ……
進化速度が……速すぎる……」
三将軍
「「「もう勝てる気がしない……」」」
彼らは悟った。
戦争を仕掛ければ――
肉体ではなく精神が死ぬ。
◆
世界は困惑し、震え、そして噂する。
――遊戯大国、王国。
――無自覚な少女マリアンヌ。
――世界の危機を、遊びで解決する存在。
誰もまだ気づいていない。
この少女の“遊び”が、
これからさらに世界を巻き込み、
とんでもない未来へと導いていくことを。




