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『悪役令嬢に転生したら、今度こそ全力で遊びます!』 ――中年おじさん、完璧令嬢をやめて小学生男子ムーブに全振りする。  作者: 南蛇井


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秘密基地で作っていた“巨大スリングショット”が登場

マリアンヌが走り込んだ先――

それは、誰も存在を知らなかった“ダンジョン内臨時基地”だった。


巨大な木枠と金属支柱が組まれ、

洞窟の天井いっぱいに伸びるゴム紐。

床には、丸石ゴーレムがぎゅうぎゅうに並び、

風船スライムがぷかぷか浮いてクッション代わりになっている。


ルネ

「……な、なんだここは……!?

 こんな施設、いつの間に……!」


マリアンヌ

「えへへ、ちょっと前に“遊びの実験場”として作ったんだよ!

 巨大パチンコの試射用にね!」


ルネ

「試射!? 試射という単語がこの状況と噛み合わない!!」


魔物用の巨大ゴムは、

ゴーレムを射出するために特注された“魔力強化獣皮”。

ゴムの両端を保持するのは、

丸石ゴーレム特大サイズ――二体である。


魔法陣は薄く光り、風属性の補助魔術が渦巻いていた。

発射の瞬間、加速をさらに押し上げる仕様だ。


マリアンヌはすでにコントロールレバーに手をかけ、

子どものようにわくわくした笑みを浮かべる。


マリアンヌ

「ずっとやってみたかったんだ!

 “丸石ゴーレム弾”の実戦投入!!」


ルネ

「実戦に投入するための道具じゃないだろそれはぁぁぁ!!」


だが止める暇などなかった。


マリアンヌ

「それじゃあ――」


彼女は勢いよくレバーを引き下ろす。


マリアンヌ

「せーのっ! 発射ぁぁぁ!!」


ゴオォォォンッッ!!!


洞窟全体が震えた。

空気が押し潰されるような重圧と共に、

巨大な丸石ゴーレムが、弾丸のように射出される。


丸石ゴーレム

「オォォオオオ!!(完全にノリノリ)」


風船スライムたち

「ぷぎゃー!!(歓声らしきもの)」


魔物たち

「ワアアアァァァ!!(謎テンションで応援)」


精鋭騎士団

「な、何の現象だこれは!?!?

 魔術でも兵器でもない……新種の災害か!!?」


学者

「いや、これは……遊戯……? 遊戯なのか……?」


そして。


高速で飛翔する丸石ゴーレムは、

まっすぐに――

目覚めかけの魔王級モンスターの額へと吸い寄せられていった。


この瞬間、世界は知らなかった。

ふざけて作られた“巨大遊具”が、

歴史を書き換える一撃となることを。

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