ダンジョン調査 → マリアンヌ、当然のように同行
世界の異変の核心を探るため、
王国はついに“精鋭調査隊”を結成した。
選りすぐりの騎士、魔術師団の上位メンバー、そしてその指揮官としてルネ。
緊張感は張りつめ、武器の音すら慎ましい。
ルネ
「よし、全員聞け。今回のダンジョン変質は前例がない。
慎重に――」
マリアンヌ
「いってらっしゃ~い♪ 気をつけてねー!」
裏庭から手を振るマリアンヌの声に、隊員は一瞬ほほえむ。
だが次の瞬間――
マリアンヌ
「あ、やっぱ行く!」
ルネ
「来るなぁぁぁぁ!!」
……ダメだった。
彼女はスキップしながら隊列に自然合流し、
さらに後方から――
ぽよん、ぽよん、ぽよん。
丸石ゴーレム部隊(ぽよぽよ中隊)。
巨大風船スライム(転がるたびにキラキラ光る)。
さらには避難してきた小型魔物たち。
次々に列へ加わっていく。
騎士A
「……これ、本当に精鋭調査隊ですよね?」
魔術師団員B
「ピクニック……なのでは?」
護衛
「マリアンヌ様が来ると、どうしてこう……遠足感が……」
ルネは頭を抱える。
ルネ
「おかしい……。最強の調査任務のはずなのに……
どうして“動物園の移動”みたいになってるんだ……?」
マリアンヌはというと、
すっかり遠足気分でおやつ袋を広げ、ゴーレムたちにクッキーを配っていた。
マリアンヌ
「はいぽよぽよ君、崩れちゃうから落とさないでね!
あ、風船スライムちゃんは甘いの駄目だっけ? こっちは果物!」
風船スライム
「ぷるる~♪(訳:ありがとー!)」
ルネ
「……なぜ魔物と会話が成り立つ……?」
だが、隊員たちはすぐに理解した。
――これがマリアンヌにとって“いつも通り”なのだ、と。
こうして王国最強の調査隊は、
なぜか和気あいあいとしたファンタジーピクニック部隊となり、
変質したダンジョンへ向かうのだった。
(そしてこの“異様な隊列”が、後に重大事件を引き起こす――)




