王国、遊びによって繁栄する
王都は、これまでに見たこともないほどの賑わいを見せていた。
大通りには屋台が並び、街角では即席のミニゲーム大会が始まり、
広場では魔物と子どもたちが走り回り――
まるで“毎日が祭り”のようだ。
国家遊戯庁ができてからというもの、
週末には必ず何かしらの遊戯イベントが開催される。
競技魔法の新大会。
宝探しの季節イベント。
魔物チェスの公式戦。
書庫迷宮のタイムアタック。
参加者は大人、子ども、そして魔物まで――境界なく共に笑い合う。
さらに、世界中から観光客が押し寄せ、
宿屋は連日満室、商人たちは笑いが止まらない。
他国の使者たちが口をそろえて言った。
「この国……強い……のか?」
「いや……強いというか……なんだこれは?」
困惑と羨望が入り混じった視線が王国へと注がれる。
■ルネ(心の声)
(……確かに混乱も多い。
毎日のように予想外の事故やハプニングが起きる。
だが――この国は、彼女のおかげで笑っている)
城のテラスから王都を見下ろしながら、
ルネはふっと目を細めた。
その瞬間。
「ルネー!次はね、“城壁を使った大縄跳び”がしたい!」
「やめろと言ってるだろう!?!?!?」
遠くから聞こえてきたマリアンヌの声に、
ルネは即座に飛び上がった。
(頼むから……城壁は跳ばないでくれ……!)
しかし――
広場の技術者たちがもう縄の素材について議論しているのを見て、
ルネは膝から崩れ落ちそうになった。
結び
――遊びは、文化となった。
そして文化は、国力となった。
この王国が、後に“遊戯大国”と呼ばれ、
世界を巻き込んだ大革命の中心となることを――
まだ誰も知らない。




