歴史謎解き都市ゲーム → 王都全体宝探しゲーム化
王都歴史博物館・特別会議室。
普段は古文書の扱いでピリつく学芸員たちが、
今日ばかりは妙なざわつきに包まれていた。
その中心には、もちろん――
椅子の上にあぐらをかいているマリアンヌ。
マリアンヌ
「謎解きもいいけどさぁ……
宝探しのほうがワクワクしない?」
学芸員たち
「……た、宝……?」
「宝と聞くと……なんか……心が……」
「いやしかし、我々は文化を……」
「でも宝探しは浪漫が……」
全員、揺れていた。
誇り高き知識人のはずなのに、
「宝」という単語の破壊力に完敗していた。
マリアンヌ
「じゃあさ!王都全部を使って宝探ししようよ!」
学芸員
「王都……全部……?」
マリアンヌ
「うん!!ぜーんぶ!!」
その瞬間――
大の大人たちが、子どもの頃に戻ったように目を輝かせた。
◆王都全体を巻き込む“魔法宝探しイベント”開催!
準備は驚くほどスムーズだった。
学芸員も魔術師も商人ギルドも騎士団も、
なぜかマリアンヌの提案には抗えない。
そして――開催当日。
■屋根の上に浮遊宝箱が点在
町人A
「あれ見ろ!浮いてる宝箱だ!!」
町人B
「どうやって取るんだこれ!?梯子届かねぇ!」
子供たち
「魔法ジャンプ使えー!!」
■路地裏には、時限魔法の迷路
冒険者
「な、何だこの路地!?さっきまで真っ直ぐだったのに!」
魔法で道が入れ替わるミニ迷宮。
迷った者ほどワクワクして戻ってくる。
■騎士団は“宝の番人”役
騎士団長
「……まさか我々が町中で追いかけっこをする日が来るとは」
騎士見習い
「団長!あの子、宝箱持って走ってます!」
騎士団長
「よし、追え!!礼儀正しくな!!」
町人
「礼儀正しい鬼ごっこ始まった!!」
■商人ギルドはスポンサーに
商人ギルド会頭
「優勝者に大賞金だ!お祭りだぞ!!」
宿屋主
「観光客が……観光客が押し寄せて……」
「儲かる……儲かるぞーーーー!!」
市街地のあちこちで歓声、悲鳴、笑い声が混ざり合う。
王都は一日で“巨大な遊園地”と化していた。
■その中心には、やはりマリアンヌ
彼女は宝探しに参加するでもなく、
宝を隠し続けるでもなく――
ただ、屋根の上から楽しそうにみんなを見ていた。
マリアンヌ
「すごーい!ねえルネ、宝探しって楽しいね!!」
ルネ(息を切らしながら)
「君が始めたんだろう……!!」
マリアンヌ
「ね!また明日もやろ!」
ルネ
「ま、待て……王都が……疲弊……」
しかし王都は疲弊どころか、
観光客の増加で経済は急回復。
誰もが口を揃えた。
「遊びこそ……国力だ」と。
そして、その中心には――
今日も笑顔で新しい遊びを思いつく少女、マリアンヌがいた。




