混乱と笑いの余韻
大広間は――もはや“断罪場”というより“縁日の後”のようだった。
子どもたちが走り回り、
魔物たちが興味津々に天井の装飾をつつき、
生徒たちは笑い、
教師は頭を抱え、
職人は壁のヒビを見て「また直せるな」と満足げにうなずく。
混乱と笑いが渦巻く、完全なるカオス。
その中心で、マリアンヌは晴れやかな笑顔を浮かべていた。
マリアンヌ
「ねぇルネ、断罪って終わり?
じゃあ次は外で遊んでいい?」
ルネは思わず顔を赤くし、眉をひそめる。
ルネ
「……君という人は……本当に……」
叱るような声音なのに、
どこか愛おしくて仕方ない色がにじんでいた。
マリアンヌは首をかしげて笑う。
その姿に、王太子は胸の奥がひどく熱くなるのを感じた。
周囲はまだざわつき、混乱し、笑い続けている。
――だが。
本来の物語ルートは完全に崩壊した。
運命は、予定された筋書きから静かに外れていく。
だがその中心で無邪気に笑う少女こそ、
この国に“新しい未来”をもたらす存在だった。
そしてルネもまた、
その未来に足を踏み入れる覚悟が――
すでにできつつあった。




