表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『悪役令嬢に転生したら、今度こそ全力で遊びます!』 ――中年おじさん、完璧令嬢をやめて小学生男子ムーブに全振りする。  作者: 南蛇井


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

37/98

ヒロインの焦りと空回り

ヒロイン・エリスは、ついに耐えきれず壇上で叫んだ。


エリス

「ちょ、ちょっと待ってください!!

 なんで誰も怒らないんですか!?

 本来ここ、断罪する場面でしょう!?

 悪役令嬢が支持されるなんておかしいでしょう!?

 台本どこ行ったのよ!!!」


必死の形相。

ほぼ泣き叫ぶような声が大広間に響く。


しかし——


会場は、すでに全く別の空気に包まれていた。


平民の子どもたちはマリアンヌの周りに群がり、

風船スライムは浮かびながら「ぷる~♪」と回転し、

つる草ウルフは落ち着かず尻尾をバタバタさせ、

丸石ゴーレムは会場の柱に新たにラクガキを始めていた。


教師たちは「そろそろ授業に活かせるか…?」と真剣に議論し始め、

修繕職人たちは「この大広間も強度上げよう!」と勝手に計測している。


ルネ王太子でさえ、腕を組んだまま考え込んでいた。


ルネ(心の声)

「……楽しそうだな……」


エリス

「だから! 聞いてくださいってばぁぁぁ!!

 あなたたち、悪役令嬢に味方するの反則でしょ!?

 私、正ヒロインなのよ!?

 なんでイベントが崩壊してるのよぉ!!」


だが、誰も振り向かない。


観客席の生徒たちは——


「ねぇ、次マリアンヌ様どんな遊びするんだろ?」

「ウルフに乗ってみたいな〜!」

「スライム可愛い〜!」


完全にマリアンヌ応援ムードである。


エリス

「うそ……私の断罪イベント……

 どうして……どうして誰もセリフ通りに動かないの……?」


視線をさまよわせるエリスの横で、マリアンヌはぺこりと微笑む。


マリアンヌ

「なんかごめんね?

 わたし、みんなと遊んだだけなんだけど……」


エリス

「そういうとこが一番おかしいのよーーーー!!」


その叫びは、大広間の天井に虚しく響き渡った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ