修繕職人までも味方に
続いて、妙に筋肉質で、無駄に胸を張った男が前に出た。
腰の工具袋がガチャガチャ鳴り、観客席がざわつく。
司会教師
「え……えー……では、次は城の修繕職人長、バルトン氏による証言を」
マリアンヌ
「あ、バルトンだ〜。いつもありがとう!」
バルトン(職人長)
「お嬢様……! その温かいお言葉だけで、ワシらは今日も生きとります……!」
まずい、既に感極まっている。
バルトンは堂々と胸を張り、会場全体に響く声で語り出した。
バルトン
「確かに!
確かに被害は多かった!!!」
王
(やっぱり来たか……)
バルトン
「城壁のひび!
花壇の崩壊!
屋根の陥落!
謎の落書きによる柱の損傷!!!」
王
「(ぜ、全部覚えてる……)」
肩を落とし、今にも泣き出しそう。
観客は
「うわぁ……」
と気まずい空気に。
しかしバルトンの目には、なぜか希望の光が宿っていた。
バルトン
「だがッ!!」
会場
「!?」
バルトン
「おかげで!!
我々の仕事は増え!!
技術は磨かれ!!
若手は育ち!!
城の耐久性は前年より三割向上したぁぁぁ!!!」
観客
「なんで!?」「うそでしょ!?」
バルトン、拳を突き上げる。
バルトン
「つまり!!
マリアンヌお嬢様は……我々修繕職人の“守護神”なのです!!」
修繕職人団
「「お嬢様、ありがとうございまーーーーす!!!」」
王
「(守護神?? 予算が……予算が飛んでいくのだが……)」
教師A
「(技術向上……なるほど、確かに修繕が早かったわけだ……)」
生徒たち
「(修繕職人さんたち元気すぎる……!)」
ヒロイン・エリス
(いやおかしい!! 断罪! 断罪の空気どこ行ったの!?
みんなで主人公の味方をするターンじゃないのに!!)
その横で当のマリアンヌは、ぽかんとしながらも笑顔。
マリアンヌ
「みんなありがとう〜!
じゃあ今度、もっと楽しく遊べる場所つくろうね♪」
バルトン
「ぜひお願いしますお嬢様ァァァ!!」
会場は大爆笑と混乱の渦に包まれた。




