魔物たちの“援護証言”
そのときだった。
――ゴゴゴゴ……
大広間に、不穏なのか間抜けなのか判別不能な振動が走る。
ヒロイン・エリス
「え……な、なに……?」
観客席もざわつき始めたその瞬間。
バシャァンッ!!
校庭側の巨大な窓ガラスが、
明らかに“内側からではなく外側から”押し開けられた。
窓枠の隙間から、ぷよんと丸いものが覗く。
風船スライム
「ぷるるる!!(マリアンヌ、イイヤツ!!)」
次いで、草のツタがわさぁっと伸びてきて——
つる草ウルフ
「アソビ、タノシイ!! マリアンヌ、スキ!!」
場内
「「「えっっっ!!?」」」
そして、最後に“どすん”という地響きとともに、
窓の向こうに巨大な影が立つ。
丸石ゴーレム
「……ラクガキ……ワルクナイ……!」
低い声で、心の底から訴えるように。
— 会場、静寂。
— そして、爆発。
観客
「魔物だあああああああーっ!!」
「窓から頭が出てる!?入ってくるな入ってくるな!!」
「あのゴーレム、城の装飾壊したやつだろ!?なんでここに!?」
教師A(震える)
「ま、魔物が……しゃべっている……だと……!?
この国の魔法生態学、根底から覆るのでは……!?」
教師B
「ていうか対話できるならもっと早く言えーーッ!!」
ヒロイン・エリス
「えっ、えっ……??
断罪イベントって……こんなカオスだったっけ……??」
王太子ルネは、額に手を当てながら呟く。
ルネ
「……やはり、彼女は“規格外”だ……。
でも……なぜだろう。全部が楽しそうに見える……」
マリアンヌはというと——
窓から身を乗り出す魔物たちに、手を振って笑っていた。
マリアンヌ
「みんな、ありがと〜♡
でも今、断罪中だからおとなしくしててね〜」
風船スライム
「ぷるっ!(ワカッタ!)」
——と言いながら、ぷよぷよと窓枠を押し広げてる。
教師C
「やめろぉぉぉ!! 窓がぁぁぁ!!」
会場の“秩序”は、
完全に魔物たちによって粉砕された。




