平民の子どもたちが乱入
バンッッ!!!
大広間の扉が勢いよく開き、
場の空気が揺れた。
「マリアンヌお姉ちゃぁぁぁぁん!!」
甲高い声が響く。
次の瞬間、小柄な影がどどどどっと雪崩のように入り込んできた。
——学園近くの孤児院の子どもたちだった。
会議室に似つかわしくない、元気いっぱいの数十名の子どもたちが
わらわらとマリアンヌの元へ突撃する。
マリアンヌ「わあっ!? ちょ、ちょっと!? 今断罪イベント中なんだけど〜!」
しかし子どもたちにそんな事情は関係ない。
子供A(6歳・鼻水まみれ)
「お姉ちゃんがボクに水魔法教えてくれたんだよ!
そしたら雨の日でも遊べるって言ってくれて!」
子供B(7歳・髪ボサボサ)
「読み書きも教えてくれた!
それで……えへへ、壁の落書きがちゃんと文字になったの!」
教師席の誰か
「(やめてくれ…教育的には間違ってはいないが……!)」
子供C(5歳・元気のかたまり)
「スライムで遊んだの! すごーく伸びるやつ!
お姉ちゃんが“ついでに掃除にもなるよ”って言ってた!」
王太子ルネ
「(スライム……掃除……?そんな応用、誰が考えるんだ……?)」
教師陣
「(っていうかそんな活動いつしてたんだ!?)」
ヒロイン・エリス
「えっ……? えっ……??
ちょ、ちょっと待って!? そんな……そんなサブイベント、どこにも……!!」
孤児院の子どもたちは、次々とマリアンヌの足や腕にしがみつく。
「お姉ちゃん、今日も遊んでくれるよね!?」
「また水の玉でキャッチボールしたい!」
「今度は空飛ぶ紙で遊ぶやつ教えて〜!」
マリアンヌは頭を抱えつつも笑っていた。
「もう〜……今日は断罪なんだけどぉ?
……まあ、終わったら遊ぼっか♡」
観客席の空気が完全にひっくり返る。
「え、これ……断罪どころじゃないのでは……」
「なんでこんなに支持されてるんだ……?」
大広間の雰囲気は、
もはや断罪イベントではなく——
“カリスマ保育士の感謝祭”
のようになっていた。




