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校庭の木の上に秘密基地
校庭の隅にそびえる大樹に、マリアンヌは目を輝かせて駆け寄った。
「ここ……いい感じ!」
枝の間を見渡し、魔力を使って軽く補強すると、あっという間に小型の机や手作りの椅子、お菓子を隠す小箱を設置できた。さらに、古い紙を切り貼りして作った地図を掲げると、それだけで秘密基地らしい雰囲気が漂う。
下から教師や生徒会の監視の目が光る。
「お嬢様、その木の上は禁止です! 危険です!!」
「降りなさい、すぐに!!」
だが、マリアンヌは顔色ひとつ変えず、にこにこと笑うだけだ。
「大丈夫だって。ここなら自由に遊べるの!」
数日後には、秘密基地は密かにクラスメイトたちの遊び場となった。マリアンヌが枝から手を振ると、友達も忍び足で木を登り、小さな秘密の王国が校庭の空中に広がっていった。
監視役たちの「危険!禁止!」の声も、どこか遠くでかすれるばかりだった。




