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授業中の紙飛行機魔法
魔法授業の日。教室には生徒たちの真剣な空気が漂っている。今日の実技は「浮遊魔法」。皆、呪文を唱えながら石や羽根を微かに浮かせる練習に集中していた。
だが、マリアンヌの目は机の上の白い紙にピタリと止まった。「あ……これ、魔力で飛ばせるんじゃない?」とひらめくと、彼女はささっと紙を折り、小さな紙飛行機を作り上げる。指先に魔力を注ぎ込み、そっと放つと、紙飛行機はふわりと宙に舞い上がった。
教室内を縦横無尽に飛ぶ紙飛行機は、隣の席の生徒の髪をかすめ、教師の帽子を軽く弾く。回転したり、偶然ぶつかってアクロバティックに舞う様子に、他の生徒たちは目を輝かせた。
「お嬢様! 授業中です!!」教師が叫ぶが、顔は叱るよりも呆然とし、紙飛行機の奇妙な舞いにただ見入っている。
マリアンヌはにっこり笑って言った。
「だって飛ぶんだもん、面白いでしょ?」
教室は一瞬の静寂のあと、歓声と笑い声に包まれ、いつの間にか魔法授業は笑いの渦に変わっていた。




