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『悪役令嬢に転生したら、今度こそ全力で遊びます!』 ――中年おじさん、完璧令嬢をやめて小学生男子ムーブに全振りする。  作者: 南蛇井


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王城の修繕

風船スライムの被害

マリアンヌは満面の笑みで風船スライムの上に立っていた。ふわふわと宙に浮かぶスライムは、まるで空中アスレチックのように跳ね返り、彼女の無邪気な歓声に合わせてぴょんぴょんと跳ね上がる。


しかし、その弾力は予想以上。ふとした弾みで、巨大なスライムが城壁にぶつかり、微細な亀裂を走らせた。騎士団が慌てて駆けつけ、飛び跳ねるスライムを押さえながら亀裂を確認する。


「お嬢様、また城壁に……!」騎士Aは青ざめた顔で叫ぶ。


マリアンヌは笑いながら手を叩いた。「わぁ、跳ね返ると面白い!」


騎士団が必死に押さえても、スライムはぴょん、と跳ねて再び宙を舞う。城壁の亀裂は拡大せずとも、大人たちのため息が風に混ざって吹き抜けた。


丸石ゴーレムの被害

広場で丸石ゴーレムに落書きを始めたマリアンヌ。石の表面に顔や模様を描くたび、ゴーレムはプイッと怒り、足を踏み鳴らした。


突然、ゴーレムの力強い体当たりで近くの城の装飾彫刻に直撃。ひび割れた美術装飾の破片が床に散らばる。騎士団は慌てて駆けつけ、ゴーレムを止めようとするが、その巨大な石の塊はなかなか言うことを聞かない。


マリアンヌは魔法を使い、ゴーレムの体をほんの少し柔らかくして、怒りを鎮めつつもお絵描き遊びを続行する。


職人は頭を抱えながら呟く。「こ、この装飾……修復費が……!」


マリアンヌは楽しそうに笑い、ゴーレムに話しかけるように言った。「ふふ、ゴーレムもお絵描き楽しいでしょ♪」


ゴーレムは少し不満そうに唸るが、次の絵を描かれるときには、仕方なく付き合う羽目になる。


つる草ウルフの被害


つる草ウルフの背に乗ったマリアンヌは、城下を縦横無尽に駆け回る。尻尾を振り、足を蹴り上げるたび、花壇の植え込みや小屋の屋根にぶつかり、小さな破壊が次々と起こる。


追いかける騎士たちは必死で制止しようとするが、ウルフの驚異的なスピードに翻弄され、右往左往。


さらに庭の風も巻き込まれ、葉や小枝が舞い上がる軽い嵐状態に。風精霊は顔を引きつらせながら必死で制御しようとする。


騎士B「ちょっと待てぇぇぇ!!」


風精霊「……ひ、ひぃぃ……!」


それでもマリアンヌは高笑いを上げ、ウルフと一緒に街中を爆走する。城下は騒然としていたが、マリアンヌの楽しそうな顔に、誰も完全には怒れない。



修繕職人と騎士団の奮闘


修繕職人たちは、飛び回る風船スライムや暴れまわる丸石ゴーレム、つる草ウルフによって荒れた城内外を、今日も忙しなく駆け回っていた。砕けた装飾を接着し、ひび割れた城壁を補強し、庭の花壇を修復する。


騎士団もまた、城の安全確保に追われ、あちこちで転がる泥団子や跳ねるスライムを止めようと奔走する。彼らの疲れた顔は、いつしか「またか……」という諦めに満ちていた。


会議室では日々の被害報告が行われる。


職人長「中庭西側の彫像、また破損しました……」

騎士団長「地下の封印扉も、ほぼ毎日ずれております……」


王妃は微笑みながらため息をつく。

王妃「まあ、でも子どもたちは楽しそうね」


王は頭を抱え、涙を浮かべる。

王「……もう予算が追いつかん……(涙)」


それでも、マリアンヌの無邪気な笑顔を思い浮かべると、怒ることもできず、職人も騎士も半ば諦めの中で今日も奔走するのだった。


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