表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『悪役令嬢に転生したら、今度こそ全力で遊びます!』 ――中年おじさん、完璧令嬢をやめて小学生男子ムーブに全振りする。  作者: 南蛇井


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/98

気弱な風精霊の登場

庭の隅、古い噴水のそばで、かすかな風の渦が小さく揺れていた。

その中に、身長わずか手のひらほどの小柄な風精霊が潜んでいる。淡い青緑の体を光らせ、微かに震えている。


「……あぁ……またお嬢様が……」


風精霊は、普段は王城の庭の風を管理しているだけ。ところが、今日の庭はいつもと違う。


マリアンヌが風船スライムの上で跳ねるたび、つる草ウルフで駆け回るたび、庭の空気がざわつき、風がぐるぐると巻き上がる。小屋の屋根や花壇の植え込みまで、無秩序に舞い上がる始末。


「こ、こんな……こんなことになるなんて……!」


風精霊は必死に抵抗する。だが、マリアンヌが天真爛漫な笑顔で声をかけた。


「ねぇ、手伝ってくれたらもっと楽しいよ! 一緒に遊ぼう!」


小さな体で風を操る精霊の胸は、戸惑いと恐怖でいっぱいだった。しかし、マリアンヌの輝く瞳に押され、仕方なく協力することに。


「……ええと……わ、わかりました……」


風精霊が微かに手をかざすと、風が庭全体に柔らかく流れ始める。スライムやつる草ウルフの動きをサポートし、マリアンヌの空中アスレチックをよりスリリングに演出。


しかし、制御が完全ではないため、時折風が暴走。花壇が宙に舞い、小屋の屋根がひっくり返る。騎士や侍女は慌てふためき、修繕職人は泣きながら駆けつける。


「す、すみません……ちょっと……手が……!」


それでも、風精霊の心の奥には小さな喜びが芽生えていた。

「……この子たちと一緒に……遊んでいる……?」


こうして、気弱な風精霊はマリアンヌたちの仲間となり、以降の協力プレイの伏線として、王城の小さな混乱を影から支える存在となるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ