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野生児ミロの登場
つる草ウルフの背に乗ったマリアンヌは、城下町の石畳を風のように駆け抜けていた。尻尾の長いウルフのスピードに、追いかける騎士たちは手も足も出ず、ただ翻弄されるのみ。
そんなとき、森の茂みの陰から何かが飛び出した。
「うわっ!?」
思わず声を上げたマリアンヌの目に飛び込んできたのは、泥だらけの服をまとい、野生の匂いを漂わせる少年だった。肩までの黒髪はぼさぼさで、瞳は好奇心に輝いている。
「すごい……! 一緒に遊ぼう!」
少年は迷うことなく駆け寄り、ウルフの背に飛び乗った。まるで幼い獣たちが一緒に遊んでいるかのような軽やかさだ。
マリアンヌの顔に笑顔が広がる。
「わあ、仲間が増えた!」
ウルフの背で二人は息を合わせ、街中を駆け回る。ミロは魔物との遊びに長けており、マリアンヌの無茶なアクロバットも難なく対応。
騎士団は再び翻弄され、ただ呆然とするしかなかった。
「この子……最高の遊び仲間かも!」
マリアンヌの瞳は、冒険心と楽しさで輝いていた。




