秘密基地づくり
泥団子や水鉄砲で大暴れした後も、マリアンヌの目はまだ輝いていた。
裏庭の片隅に目をやると、古木の根元が絶好の隠れ場所に見える。
「ふふん……ここなら秘密基地が作れるね!」
小さな手で枝や蔓をかき分け、土を掘り、石や木材を集める。
魔力を軽く使って、材料をぴったりくっつける――いや、むしろ“盛りすぎ”だ。
やがて、秘密基地が完成する。
中は驚くほど本格的で、マリアンヌの“子ども心と前世の知識”が融合した世界になっていた。
石版で作った簡単な地図
小さな手作り机
お菓子の隠し箱
基地の中で得意げに座るマリアンヌ。
外から見守る侍女や騎士は、絶句するしかなかった。
「お、お嬢様……また地盤が沈んでます……」
「こ、これは……お嬢様の……秘密基地です……」
修繕職人はため息をつき、騎士は目を丸くする。
しかし、マリアンヌ本人はまったく気にせず、基地の隅に自分のお気に入りの泥団子を並べてニコニコしていた。
「ふふふ、ここなら誰にも邪魔されず遊べるね!」
裏庭の平和(?)は、秘密基地によってさらに危険な香りをまとったまま、静かに息を潜めている。




