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なぜか俺のヒザに毎朝ラスボスが(日替わりで)乗るんだが?  作者: 逢坂 蒼
怒涛の再調査と新たなる事実編!
303/330

The eleventh level② 〜考察はやはり程々に〜

大変お待たせ致しました! 本日は第286話を投稿します!

 -286-


『──現在第十一階層までの転移陣(ポータル)が使用可能です。使用しますか?』


 大広間(ロビー)に響き渡る管理端末(システムターミナル)の無機質な声。


 此処(ここ)迷宮(ダンジョン)「魔王の庭」の始まりの大広間(ロビー)。ドゥイリオからセレネとニュクスの特注(スペシャル・オーダー)の防具を受け取った翌々日、俺達分隊(チーム)混沌(カオス)』は第十一階層途中からの再探索(リトライ)をする為に、ここ「魔王の庭」に早朝からやって来ていた。


 システムターミナルの水晶(クリスタル)に手を置いた俺が、その無機質な声に答える。


「使います」


『使用要請受領しました──ポータルに入ってください』


 システムターミナルからそう案内(アナウンス)されて、俺とコーゼストそしてファウストを始めとする従魔(フォロー)達が、床に描かれたポータルの中に進み入る。


転移陣機構(ポータルシステム)起動。転移対象確認──座標確認。第十一階層のポータルに送ります』


 その声と同時に足元の転移陣が輝き、俺達の身体は光に包まれ、次の一瞬、目の前の光が薄れて視界が鮮明(クリア)になると、俺達は「魔王の庭」第十一階層の仮の避難所(セーフエリア)へと転移していた。


「良し……コーゼスト、頼む」


 俺の指示を受けて、頭上に複雑な文様の魔法陣(サークル)を複数展開させたコーゼストは


「はい──使用可能の感覚端末(センサー)全起動(フルアクティベーション)動体(モーション)センサー、魔力波(マギアウェーブ)センサー積極化(アクティブ)。『星を見る者(スターゲイザー)情報処理(システムオンライン)。現在位置確認。作成した第十一階層の地図を展開。最短ルートを策定完了。此方(こちら)です」


 そう言って自ら先頭に立ち、道案内を始める。


 流石は『既知世界(この世界)最高の魔道具』と豪語するだけの事はあるな。安心して任せられる。


~~~~~~~~~~


「「グルルルルルゥゥ」」


「マスターウィル、進行方向160メルト先に魔物の反応が複数。各センサーの反応と『星を見る者(スターゲイザー)』の観測だと、目標は黒鉄人形(アイアンゴーレム)岩人形(ストーンゴーレム)の混成群ですね。数はアイアンゴーレムが1体とストーンゴーレム6体です。(レベル)はアイアンゴーレムが71相当、ストーンゴーレムは軒並み68相当。順位(ランク)はアイアンゴーレムがA+、ストーンゴーレムがA。技能(スキル)はアイアンゴーレムが剛力(リィジリィティ)を保有、ストーンゴーレム達はスキル無しです」


 第十一階層を歩き始めてから少しして、ご存知ファウストの警戒の唸り声と同時にコーゼストから警告が発せられる。ストーンゴーレムは兎も角、アイアンゴーレムはこの階層では初めて遭遇する魔物である。それでもまぁ俺とコーゼストとファウストは、アイアンゴーレムと「魔王の庭」第五階層の守護者(ボス)部屋で戦った経験はあるが。


「良し……皆んな戦闘準備だ。隊列(フォーメーション)はいつも通りで行くぞ」


 コーゼストの台詞を聞いて、そう短く指示を発する俺。


「「ヴァンヴァンッ!」」


「ヴ……マスター、了解でス」


「分かったわ! 私に任せておいて、御主人様(マスター)!」


「もうヤトったら……そんな事言って足元を(すく)われても知らないから…… 。御主人様(ダーリン)、ヤトよりもこのセレネにお任せ下さいね♡」


「くふ、主様(ぬしさま)。ヤトやセレネだけでなく、(わらわ)も居る事をお忘れなきよう」


 俺の指示を聞いて、途端に色めき立つファウストを始めとする俺の従魔(フォロー)達。


 いやはや、お前達は本当に揃いも揃って戦闘狂(バトルジャンキー)だな?!


~~~~~~~~~~


「「グゥルル──ヴァオォォォォォォォォォォーーーン!」」


 第十一階層の通路に響き渡るファウストの破滅の咆哮(ルイン・ロア)! 文字通りの破滅の咆哮を浴びせかけられて、見る間にその身体を崩して行くアイアンゴーレムとストーンゴーレム達! 破滅の咆哮(ルイン・ロア)のあまりの破壊力に、堅牢(けんろう)なダンジョンの壁や床にも無数の(ひび)割れが走る! これでもファウストはかなり加減をして破滅の咆哮(ルイン・ロア)を放っているのだが、それでもその威力は半端ないな!? 俺がそんな事を考えていると


『物思いにふけっているところ申し訳ありませんが、次の指示をお願いしますね? マスターウィル?』


 俺の後ろに控えているコーゼストから、真逆のツッコミが入る──無論念話で。


『よし! ファウストは破滅の咆哮(ルイン・ロア)を止めろ! あとは他のメンバーと共に露出したゴーレムの真核(マスターコア)を破壊しろッ!』


 コーゼストのツッコミを華麗に無視(スルー)して、やはり念話で全員に指示を与えると同時に、アイアンゴーレムのマスターコアを手に持つ『天照(アマテラス)』で串刺しにする俺! 次いでファウストの爪撃破(そうげきは)が、デュークの金属槍(メタルランス)が、ヤトの薙刀(グレイヴ)が、セレネの鋼鉄鉤爪(アイアンクロー)が、ニュクスの戦鎌(ウォーサイズ)が、コーゼストの雷撃槍(ボルテックスランス)の魔法が、マスターコアを破壊して行く!


 とその時、アイアンゴーレムの破壊され鉄の瓦礫(がれき)と化した体と割れたマスターコアが、泥人形(マッドゴーレム)自動人形(オートマトン)やストーンゴーレムの時とは違い、いつもの通りに光の粒子になって消えて行く。


 チョットマテ、この階層のゴーレムは大量生産品で再利用しないんじゃなかったのか!?


~~~~~~~~~~


「おいおい、コーゼスト! これはどう言う事だ?!」


 光の粒子になって消えて行くアイアンゴーレムを前に、我知らずコーゼストに詰め寄る俺。


「ふむ……これは多分に私の推測になりますが、幾ら大量生産品とは言ってもアイアンゴーレムを構成する鉄やマスターコアの魔水晶(クリスタル)は、中級(ミドルクラス)の品質なので再利用の為に回収したのでは? 恐らくはこの辺が回収するしないの境界線(ボーダーライン)だと思われます」


 対するコーゼストは慌てること無く、実に淡々と自身の推測を口にする。まぁ多分それが事実なんだろうけど……


「……それにしたって、()(この)みが激しいな?!」


 まるで何処かの誰かを見ているかの様だな!? 口に出して言わんけど!


「……何ですか? その妙に含みのある物言いは?」


 俺の台詞を聞いて、ジト目を向けてくるコーゼスト。


「いや何、誰かさんみたいだなぁ、と思っただけだが?」


 そんなコーゼストに対して、しれっと(とぼ)ける俺。


「ほほう……マスターは私に喧嘩を売っているんですね?」


「 誰もお前の事だとは一言も言ってないが?」


 コーゼストの尖り声に、俺は更にすっとぼける。俺の台詞と態度にコーゼストは


「マスターはそう言いますが、ここに居るメンバーの中でそれに該当する者は私しかいないんですが?」


 そう言ってジト目を深める。


「……と言う事はお前も自分で自覚はあったんだな?」


 その圧に負けずに俺がそう言って睨み返すと、今度は思いっきり視線を逸らされた。やはり自覚はあった様である──やれやれ。


~~~~~~~~~~


「それはそれとして──」


 俺の視線から思いっきり目を逸らしながら、話題転換を図るコーゼスト。華麗に無視(スルー)するにも程がある。


「──これでこの第十一階層で未だ遭遇していないのは、「動く鎧(リビングアーマー)」だけになりましたね」


 だがそんな事にはお構いなく、とっとと話を進めるのはコーゼスト先生。今度は俺が彼女にジト目を向ける番である。


「上手く話を逸らしやがったな……だがまぁそうだよなぁ、俺もずっと前に冒険者ギルドの魔物図鑑(ライブラリー)で読んだだけだから、リビングアーマーと実際に戦うのは今回初めてなんだよなぁ」


 ジト目を向けながら、コーゼストの振った話題に乗る俺。彼女に文句をまだ言い足りないが、実際リビングアーマーとの戦闘は未経験なのもまた事実なのだからな。


「そんな貴方(マスター)に朗報があります。私の記憶領域(ストレージエリア)にはリビングアーマーについての情報(データ)があります。お聞きになりますか?」


「是非とも聞かせて下さい、コーゼスト先生!」


 彼女の言葉にジト目を向けるのを止めて、俺は即座に頭を下げる。虫がいいと言うなかれ、事前に手に入れられるこうした情報はとても貴重なのだ。何せ目の前に居るコーゼストは、あらゆる魔物のデータを、 属性や弱点も含めて知り尽くしているからな──等と、俺が1人で納得していると


「その前に……先程からずっと無視されているファウスト達に何かありませんか?」


 彼女から真逆の指摘(ツッコミ)である。そういやファウスト達がすっかり空気だった!


~~~~~~~~~~


「あーっと、皆んなスマン!」


 コーゼストの指摘(ツッコミ)を受け、ファウスト達に頭を下げる俺。


「「ヴァンヴァン!」」


「大丈夫デす、マスター」


「うん、御主人様(マスター)がコーゼストと話し込むのは、今に始まった事じゃないから大丈夫!」


「そうよねぇ、御主人様(ダーリン)ったら何かあるとコーゼストと話してばかり。本当に()けちゃうくらい」


「くふっ、ヤトもセレネもそんな事言っては駄目ですわ。何せコーゼストは妾達よりもずっと前から主様と一緒に居るのですからね。妬いてみても仕方ないですわ」


 ファウストやデュークは兎も角、ヤトやセレネやニュクスからはそんな言葉が聞かれる。こうして魔物娘’Sの話を聞くにつけて、ヤトよりもセレネ、セレネよりもニュクスの方が理知的に感じるのは俺の偏見か?


 そんな考えが頭をもたげるが、()えて気にしない様にする俺。何となくだが、気にしたら負けのような気がしなくも無い。


「えへん! まぁ、その、なんだ! ヤト達も俺と一緒に、コーゼストからリビングアーマーについて情報を聞こうじゃないか?」


 俺はわざとらしい咳払いをひとつすると、ヤト達に向かってそう言葉を掛ける。


「え〜っ、う〜ん、教えてくれるなら聞かせてもらうけど……」


「もうヤトったら……私はキチンと聞かせていただきますよ? 御主人様(ダーリン)♡」


「くふふッ、妾も是非ともお聞かせ願いたいですわ」


 俺の言葉にそれぞれに聞く姿勢をとるヤト達魔物娘’S。やれやれである。


~~~~~~~~~~


 第十一階層の通路での話はまだ続いていた。


「私の記憶領域(ストレージエリア)にあるリビングアーマーの情報(データ)ですが、先ずその成り立ちから記憶されています。普通にある重甲冑(フルプレートアーマー)に低級霊や亡霊の霊体──魂が憑依したモノがリビングアーマーとなります。当然の事ながらその中身は()()()()()で、アーマーが有る状態では物理的ダメージは与えられますが、アーマーが破壊されると物理的ダメージは無効化されてしまいますね。そうなると唯一ダメージを与えられるのは、必然的に魔法攻撃のみとなります。唯一の弱点はアーマーの何処かに刻まれている魔法陣(サークル)ですね。それを破壊されると霊体はアーマー本体に憑依していられなくなりますから。あとは霊体が憑依しているアーマーの素材の強弱が、そのままリビングアーマー自体の耐久力(デュラビリティ)になります。(アイアン)なら良いですが、星銀(ミスリル)緋緋色金(ヒヒイロカネ)剛鉄(アダマンタイト)だったりすると、苦戦を()いられるのは必至です」


 俺やファウストやデューク、そしてヤト達魔物娘’Sに向けて、立て板に水の如く、蘊蓄(うんちく)を傾けるコーゼスト。今日も絶好調である。


「はァ……話を聞く限りだとかなりの難敵だな、リビングアーマーってのは」


 コーゼストの話に、つい弱気な愚痴が口を()いて出てしまう。


「まぁ実際はミスリルまでだと思いますよ? ヒヒイロカネやアダマンタイトはまず有り得ないかと」


 一方でコーゼストは実に淡々としている。


「どちらにしても実際に戦ってみない事には分からない……か」


 どちらにしても(うつ)なのには変わりない──はァ。


~~~~~~~~~~


 兎にも角にもまずは先に進もう、と言う事になり「魔王の庭」第十一階層の通路を奥へと進む、俺達分隊(チーム)混沌(カオス)』。


 あれから何日か経ち、俺達は更に十数度、マッドゴーレムとストーンゴーレムの、(ある)いはストーンゴーレムとアイアンゴーレムの混成群と戦闘を繰り広げていたが、第十一階層の奥に近付くに従って、確実に遭遇する魔物が強くなって来ている。コーゼストが言うには遭遇した魔物のレベルは平均で75程、ランクはどれもAからA+となっているとの事だった。


「……と言う事はつまり、第十一階層最奥部には……」


「はい。マスターウィルの想像通り、この第十一階層の最奥部、つまり第十二階層への下降口(アプローチ)が在る部屋に、この階層(フロア)守護者(ボス)が居ますね、確実に」


 俺の独り言に近い呟きにそう答えるコーゼスト。彼女(いわ)く、最奥部の部屋は『星を見る者(スターゲイザー)』による観測が特殊な結界に妨害(ジャミング)されていて、確認が出来ないらしい。何でも見通せる『星を見る者(スターゲイザー)』を寄せ付けない結界の存在は、彼女が言う通り間違いなく守護者(ボス)が居る証拠になる。これはもう嫌な予感しかしない。


「大丈夫よ、御主人様(マスター)! どんな魔物でも私が倒すから!」


「ヤトったらそんな安請け合いしちゃって……ヤトだけでなく私も居ますから任せて下さいね、御主人様(ダーリン)♡」


「くふ、ヤトやセレネだけでなく妾もおりますからどうかご安心を、主様♡」


 俺とコーゼストの会話を聞いていた魔物娘’Sは、そう言って色めき立つ。


 そんな事を言い合いながら、俺達は更に最奥部へと歩を進めるのであった。



ここまでお読みいただき有難うございました!


次回は2週間後になります!


それではお楽しみに!!

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