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なぜか俺のヒザに毎朝ラスボスが(日替わりで)乗るんだが?  作者: 逢坂 蒼
婚約の挨拶、そして波乱を招く結婚式編!
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挙式準備(其ノ壱) 〜本当に身拵えは高くつく〜

気付けば前々回の第220話で丸4年でした! 本日は第222話を投稿します!

 -222-


 さて、挨拶回りも(とどこお)りなく終えて俺は、アン達婚約者の面々と共に、王都ノルベールにある婚約者の1人であるオルガの屋敷に来ていた。今回の目的はズバリ! 結婚式を挙げる為に王都にある大聖堂に行き、大司教と結婚式の段取りやら日取りやらを打ち合わせる事にある。


 大聖堂は幼い頃に一度だけ母に連れて来られたっきりであり、その時に大司教とも一度だけ顔を合わせたきりである。オルガに聞くと大司教は新しく代替わりをしているらしく、彼女曰く「信頼出来る人物」らしい。確か前の大司教はゴテゴテに着飾ってやたら(ふと)っており、血圧が高そうで始終脂汗をかいていた印象しか残っていない。


「前の大司教は厚意で寄せられた御布施や王国から与えられた予算を横領して犯罪奴隷となり、何年か大司教の地位は空白だったんだけど、つい3年ほど前に元冒険者だったヒトが大司教になったんだよね」


 苦笑混じりにそう裏事情を教えてくれるオルガ。その辺は本当に頼りになる。しかしそうか、前の大司教はやはり悪どい事をしていた訳か。あまりヒトを見た目で判断してはいけないが、あのオークみたいな大司教ならやりかねないとは思っていたんだよなァ……ん? 元冒険者だったと言うなら……


「もしかして、オルガはその今の大司教と顔馴染みなのか?」


 ふと思った事を尋ねる俺。何せオルガは冒険者ギルド創設以来ずっと最高統括責任者(グランドマスター)を勤め上げているんだ。知り合いと言われても何ら不思議では無い。それに対してオルガは


「その通り、流石はウィルだね。彼は私の古くからの知り合いさ」


 そう笑顔で教えてくれるのだった。


~~~~~~~~~~


 オルガの屋敷に1泊した翌朝、婚約者達と共に大聖堂へと向かう。王城のすぐ(そば)にある(そびえ)え立つ数多くの尖塔(スティプル)で構成された荘厳な建築物が大聖堂であり、オルガが用意してくれた馬車を横付けしてその中に進み入る俺達。


「これはセルギウス閣下にお連れの方々、ようこそお出で下さりました」


 大聖堂の入口には女司祭(プリーステス)がおり、俺達の姿を認めるとにこやかに声を掛けて来た。


「やぁ、ご苦労さん。此方(こちら)に居られるのはウィルフレド・フォン・ハーヴィー辺境伯閣下でね、約束はしていないけど大司教に会いに来たんだ」


 応対する女司祭(プリーステス)に俺を紹介しながら、ここに来た用件を話すオルガ。


「これはハーヴィー辺境伯閣下、大変失礼致しました。この時間ですと大司教は奥の礼拝の間で朝のお勤めをされていますので、そちらまで私が御案内致しますわ」


 そう言うと先頭に立ち、俺達の案内をしてくれる女司祭(プリーステス)。建物内部は白亜の高い壁と高い天井に、四方のステンドグラスの窓から外の光が差し込み、正に光輝燦然(こうきさんぜん)としており、王城ブリシト城とはまた違った(おもむき)がある。


 やがて奥にある礼拝の間まで案内された俺達。礼拝の間にはこれまた豪華絢爛(ごうかけんらん)な祭壇が設けられており、その最奥には創造神ライゼファの巨大な神像が(まつ)られている。その前で敬虔(けいけん)に祈りを捧げる人物が。その人物に女司祭(プリーステス)が近付き声を掛ける。


「デルバート大司教、ウィルフレド・フォン・ハーヴィー辺境伯閣下とオルガ・ロア・セルギウス閣下がお見えになられました」


~~~~~~~~~~


「これはこれは両閣下、ようこそ大聖堂までお出で下さりました。お連れの方々もようこそ。私がここ王都大聖堂を預かりますデルバート・マーヴィンで御座います」


 女司祭(プリーステス)の言葉に祈りを解いて立ち上がると、これまたにこやかに会釈をする大司教のデルバート・マーヴィン氏。パッと見ると白い法衣さえ着ていなければ、その辺にいる様な人の良い好々爺(こうこうや)に見えるが、なかなかどうして、その笑みを絶やさない細い目の奥には鋭さが垣間見えて、只者では無い事は間違いない。流石は元冒険者、これは油断ならないな。


「御丁寧な挨拶痛み入る。ウィルフレド・フォン・ハーヴィー辺境伯だ。辺境伯などと言っているが、冒険者が本職(メイン)なのでね、礼儀がなってないのは勘弁して欲しい」


 だがそんな事はおくびにも出さずに、笑顔で右手を差し出す俺。差し出した手をしっかり握り返しながら


「閣下のお噂はかねがね。国王陛下やセルギウス閣下から聞き及んでおりますよ」


 にこやかに返事を返してくるデルバート大司教。オルガの話もだが、国王陛下から一体どんな話を聞かされているのか、凄まじく気になるんだが?! そんなデルバート大司教の台詞にただただ顔を引き()らせた笑みを浮かべるしか無い俺。ふと横を見るとオルガが何とも曖昧な笑顔を顔に浮かべていたりする。


 よーしオルガ、君も一体どんな話を大司教に語って聞かせたのか、あとでじっくりと聞かせて貰うからな!


~~~~~~~~~~


 礼拝の間で話すのも何だと言う事になり、場所を応接間へと移して話の続きをする。


「さてと、国王陛下やオルガからどんな話を聞かされているのか分からないが……先ずは彼女達を紹介させて欲しい。オルガは良いとして……此方からマデレイネ、マデレイネは魚人(メロウ)族の女王陛下なんだ。あとアンヘリカ、エリナベル、ルピタ、レオナ、ジータだな。オルガを含め彼女達7人が俺の婚約者だ。それとマデレイネの娘のマーユにコーゼストだ」


 そう彼女らに手を向けて紹介する俺。


「デルバート大司教、初めまして。マデレイネと申します。どうか宜しく御願い致しますわね」


 俺の紹介を受けて、先ずマディがデルバート大司教に挨拶をし、続けてアン達が口々に「宜しく御願いします」と挨拶と会釈をして行く。


「これはこれは御丁寧に有難うございます。皆さんの事も聞き及んでおりますよ。こちらこそ宜しく御願い致します」


 最後にコーゼストが挨拶をし終えると、これまたにこやかに全員に返事を返すデルバート大司教。そして笑みを崩さぬまま


「ハーヴィー閣下が7人の女性と結婚される事は国王陛下やセルギウス閣下本人から聞き及んでおりましたが、実際に目の当たりにするとなかなか壮観なものですね」


 そう意味ありげな台詞を口にして笑みを深める大司教。


 まさかとは思うが、俺の事を漁色家(ぎょしょくか)か好色漢だと思っての笑みじゃないよな? それは飛んでもない誤解だぞ? 気が付いたら嫁さんにする女性が増えていただけだ!


~~~~~~~~~~


 とりあえずデルバート大司教の誤解を解くのに少し手間取ったが(笑)、何とか誤解も解けて改めて話をする事となった俺。ここに来るまでやたら長かった…… 。


「あーっと、改めて……デルバート大司教には結婚式の段取りについて色々と聞かせて欲しいんだが……」


 何せこうした事は初めての経験だからな、当然だけど!


「はい、それではお話させて頂きます。先ずは──」


 俺の質問に段取りについて話し始めるデルバート大司教。それによると──先ず結婚する男女は礼拝の間にて、国王陛下や自分達の親や親類縁者の立ち会いの元、創造神ライゼファに結婚の誓約をし結婚指輪と誓いの接吻(キス)を交わすそうな。その後は大広間に場所を移し披露宴が催される運びとなるとの事だった。まぁその結婚の誓約にしても披露宴にしても色々と手順が細かく定められているらしく、ぶっつけ本番と言う訳にはいかないらしい。なので結婚式本番の前に一度予行(リハーサル)をする事になるそうな。つまりはそのリハーサルも含めて、結婚式の日取りを決めるようなのである。


「──と言った運びになりますね。なので結婚式はその準備期間も(かんが)みて最短で1ヶ月後から2ヶ月後の方がよろしいかと存じます」


 そう言って話を締め(くく)るデルバート大司教。もちろん簡素な結婚式なら今すぐにでも挙げられるらしいが、今回は国王陛下がご来臨される正式な儀式となるので慣例に(のっと)った方が良いのは間違いない。


 本当に貴族ってのは面倒くさいな、と俺は心の奥底でそう小さく悪態をつくのだった。


~~~~~~~~~~


 結局その後もアン達も交えて色々と話し合った結果、結婚式は今日から2ヶ月後と言う話になった。因みに今回の挙式の予算なんだが、なんだかんだで3000万フル掛かるらしい。まぁ前に開催した晩餐会だって1晩で3000万から4000万フル掛かったと、うちの完璧家令(パーフェクトスチュワード)のシモンが言っていたんだから妥当な金額なのだろう──他に比べようも無いが。それに関してはデルバート大司教も


「必ず予算内で収めますので御安心下さい」


 と言ってくれたし、何よりもオルガが信頼している人物なので俺も信じて任せる事にして、とりあえず白金貨3枚を前払いとして即金で支払っておいた。もしも予算オーバーしたならしたで遠慮無く言ってくれとも。まぁ仮にも俺も辺境伯なんだし、ここは金払いが良い所を見せておかないとな。幸い資金も潤沢(じゅんたく)にあるしな。


 デルバート大司教は俺が即金で支払ったのに吃驚(びっくり)していたが、一転真剣な面持ちで「必ず御期待に添えるように致します」と言って(うやうや)しく白金貨を受け取っていたのが印象的だった。またそれとは別に御布施として白金貨1枚を手渡しておいた。


 兎にも角にもこうしてまた結婚に向かって一歩前進をした俺は、王都ですべき最大の目的を達成し終えて、一度オルガの屋敷に戻る事にしたのである。


 あとは全員分の結婚指輪とアン達のウエディングドレスを準備しておかないとな。それと俺の婚礼衣装も。


 何となく此方の方が金が掛かる気がするのは気の所為(せい)……か?


~~~~~~~~~~


 オルガの屋敷で更に1泊してから本拠地(ホーム)のラーナルー市に帰還した俺達。


 本当なら王都で結婚指輪等を購入しようかと思ったのだが、購入するならラーナルー市でと思い直したからである。より正確には結婚指輪はうちの屋敷の侍女(メイド)のレイラの親が経営する宝飾店(ジュエリーショップ)『エムメルス』で、アン達や俺の婚礼衣装はやはりうちの屋敷のメイドのフィリスの親が経営する服飾店(ドレスショップ)『スィームシルキー』で購入しようと言う訳である。そして次いでにこの2つの店も俺のお抱えの商人にしてしまおうと言う腹積もりでもある。


 先ずは手始めに第三層区画にある宝飾店(ジュエリーショップ)『エムメルス』をアン達共々訪れる事にした。


「これはこれはハーヴィー閣下、そして皆さん、ようこそお出で下さりました」


 店先で出迎えるのはレイラの父親であるサロモン・ヘガティ氏。


「やぁサロモン、また世話になりに来たよ」


 それに鷹揚(おうよう)に頷いておく俺。


「それで今日は何をご入用ですか?」


 早速そう尋ねて来るサロモン氏に俺は俺を含め8人分の結婚指輪の注文を話して聞かせる。一瞬驚いた顔をしたサロモン氏だが、そこは商人、すぐさま店の奥から幾つかの結婚指輪の見本(サンプル)を出して来た。そのサンプルにすぐさま集まってキャイキャイと(かしま)しくなるアン達を横目に、俺はあとひとつ、俺ハーヴィー辺境伯のお抱え商人になって欲しい(むね)をサロモン氏に提示する。


 勿論彼の答えは一も二もなく「(イエス)」であったのは言うまでもない。


~~~~~~~~~~


「それでは世話になったな、ガヴィーノ」


「いえいえ、此方こそ色々と有難うございました。そしてこれからも是非ともご贔屓(ひいき)に」


「何をさておいても、急ぎで皆さんの衣装は縫製致しますわ」


 店の玄関まで出てきて俺達を見送るフィリスの両親ガヴィーノ・オーダム氏と奥方のセシルさんと言葉を交わす俺。


 サロモン氏の『エムメルス』を辞した後、次はガヴィーノ氏の服飾店(ドレスショップ)『スィームシルキー』に俺の婚礼用の白の正礼装(モーニングコート)を、それとアン達7人の嫁さん達のそれぞれ好みのデザインのウエディングドレスをオーダーメイドで発注しに来たのだ。


 アン、エリナ、ルピィ、レオナは兎も角、マディ、オルガ、ジータは新たに三位寸法(スリーサイズ)をあっという間に採寸されて驚いていたりする。どんなドレスに選んだのか気になってアン達に尋ねてみたが「出来てからのお楽しみ♡」と言ってはぐらかされたのは言うまでもない。聞く所によると全員の衣装が完成するまで約1ヶ月ほど掛かるらしい。


 それと当然だがガヴィーノ氏にもお抱え商人の話は俺の口から直接語って聞かせたが、彼もまた二つ返事でお抱え商人となるのを快諾(かいだく)してくれた。正直やれやれである。


 兎にも角にもこうして話はトントン拍子に進み、俺はアン、エリナ、ルピィ、レオナ、オルガ、マディ、ジータの7人と晴れて2ヶ月後に王都大聖堂で盛大な結婚式と披露宴を(もよお)す運びとなったのである。良くここまでトラブルも無しに来た事に一抹の不安を頭の片隅に思いながら。


 因みに結婚指輪代で4000万フル、婚礼衣装代で3000万フル支払った。やはり結婚式より高くついたな……やれやれだぜ。



いつもお読みいただき有難うございます!

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