クラスアップ ~やり過ぎたモノ達~
本日第十九話投稿します!
ウィルとアンのAクラス昇級を賭けた(?)戦闘回です!
尤も流血やグロは全く御座いませんので安心してお読みくださいませ。
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ギルマスに水晶地図板追跡盤と言う供物を渡す事でデュークの件を有耶無耶にしたコーゼスト……中々腹黒い。だがこれは果たして良いのか?
「……ギルマス」
「うん? 何だウィル?」
「なぁ、これは不正って言わないのか?」
ギルマスは水晶地図板追跡盤から目を離して俺の方を向き直り
「確かに……コレを俺個人が手にしたなら間違い無く賄賂だな。しかしこれは飽くまでもギルドへの価値有る魔道具の提供であり利益はギルドのみ成らず冒険者全体に及ぶ物だから賄賂には該当しない」
ギルマス、そんなドヤ顔で言われても………… 。
「それに……これは未だ使えないんだろう、コーゼスト殿?」
『はい。こののち最深部まで到達した冒険者の水晶地図板から情報を写す作業と、現在使用されている水晶地図板との同調作業が必要です』
「小難しい話だが……勿論、それも頼んでも良い訳だよな?」
『勿論です。寧ろ私しか出来ない作業ですから』
また面倒な事を安請け合いしやがって…………するとコーゼストが念話で話し掛けて来た。
『マスター。同調作業自体簡単な事ですし最深部までの情報は我々にも益があります。何よりここはギルドやギルマスに恩を売るのが得策です』
───黒い! 黒いよ、コーゼスト先生!?
「まぁ、誰が一番深くまで達してるかは──ルピィ、何日あれば調べられる?」
「そうですねぇ……ん~、2日あれば大丈夫かと……」
ルピィはファウストをモフりながら答える。モフるか仕事するかハッキリしなさい。
「よし! それなら2日後にその作業を頼む、コーゼスト殿、ウィル!」
『わかりました。お任せ下さい』
「……あぁぁ、もう! わかったわかった! やりゃあ良いんだろ、ったく!」
ギルマスの問い掛けに真っ先に答えるコーゼスト。俺は否応なしにやらざるを得なくなってしまった──動き回るのは俺なんだが?! 全く…… 。
「さて、と。それじゃあウィル、アン。お前達に改めて話が有るんだが──」
とりあえず話が纏まったので元の話題に話を戻すギルマス。そう言えばさっきも言っていたな。しかしわざわざ話があるとは……面倒事じゃないのか?
「そう身構えるな……」
ギルマスは笑って話し掛けて来た。その話とは─── 。
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「Aクラスへの昇級試験を受けろって?」
何の話かと思ったら……… 。
「そうだ。この半年で第五階層を突破し第三階層と第五階層の守護者を打ち倒すのみならず使役した。少なくともお前個人の能力はAクラスに匹敵するほど有ると俺は判断した。またお前達パーティーの能力もかなり高いだろうしな」
「まァ、この前話はあったし……ひと月ほど迷宮探索は休もうとアンと話したばかりだし……する事は無いから構わないが………」
「なら決まりだな! 昇級試験の準備はしておくから明日また来てくれ」
何かどんどん話が纏まっていくよなぁ………ん? 待てよ?
「ちょっと待ってくれ。アンも一緒にか?」
「当然だろう? お前達はパーティーなんだからな!」
俺は思わずアンの顔を見る、と満面の笑みを浮かべながら言葉を返して来た。
「問題ありません、ウィル。受けてください」
「………はァ、分かったわかった。明日朝に来れば良いのか?」
「おぅ、そうしてくれ。言っとくが使役してる魔物は使わずだからな?」
「そんなズルはしねぇよ!!」
「ウァハハハハ! それじゃ待ってるからな!」
……全く酷い言われ様である。まぁ当初の目標の第六階層まで達したんだからそろそろかとは思っていたんだがな。それじゃ今日は宿屋に帰って明日の準備をするか……………… 。
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翌朝、早くにギルドに出向きそのまま案内されてギルド本館の裏に有る修練場まで来た。修練場には既にギルマスと試験官であろう冒険者2名と職員数名が待っていた。一体いつから待っていたんだ?
「おぅ──ウィル、アン。待っていたぞ」
「……そんなに待たせたつもりは無いが…………」
「まぁ気にするな。それより早速試験を始めてもいいか?」
俺の軽口は文字通り軽く往なされた。全くノリが悪いにも程がある。
「こっちは準備出来ている。とっとと始めようぜ」
とりあえず往なされた事はおくびにも出さず、そう素っ気なく答える俺。
「……よし、先ずはウィルフレドから始める! 相手はAクラス冒険者のニコラスだ! 予め言っておくが……これは試験であって殺し合いじゃない。念の為試験者にはギルド所属の神官が『光の神壁』を張るので、双方に相手への直接攻撃及び魔法攻撃は許可する。しかし故意に殺傷した場合は失格とする! 相手が失神もしくは戦闘続行不可能とこちらが判断した場合、若しくは降参した場合に終了となる! 多少の怪我はここに待機している治癒士による治療を施すので安心しろ! 双方全力を尽くせ!」
ギルマスの言葉にニコラスと呼ばれた冒険者が前に歩み出る。どうやら俺と同じ戦士職みたいだが獲物は2メルト程有る大剣を背負っている。対する俺は左手にカイトシールド、右手には両持剣の装備である。
「お前が、最近噂になっているウィルフレド・ハーヴィーか……」
相対するとニコラスの方から不意に話し掛けて来た。
「噂って……どんな噂だ?」
「結構有名だぜ? ヘルハウンドとダークエルフを従えた期待の若手ってな」
何だそりゃ? 勝手な噂立てやがって…………俺は無言で構える。そして────
「始め!!」
掛け声と共に大剣を抜き縦一文字に斬りかかって来るニコラスの攻撃をカイトシールドで受け止める!
ツヴァイハンダーとカイトシールドの間に火花が散った! 続けて斬撃を放つニコラスの攻撃を全て受け止め受け流す。時折陽動も織り交ぜられているが、引っ掛かる様なヘマはしない。
やがてニコラスの顔に驚愕と焦りの色が浮かび、更に斬撃の回数が増す──だが俺は全て受け切り往なし切った。やがて疲れたのか、距離を取り呼吸を整えているニコラスに向かって俺は、うんと力を絞った空裂斬を一発放った!
慌ててツヴァイハンダーを正面に構えたニコラスに空裂斬が当たった瞬間、ツヴァイハンダーは弾かれニコラスの体は宙に舞い10メルト後ろの壁まで飛ばされた!
慌てて駆け寄るギルド職員が見たのは胴鎧を凹ませ泡を吹いているニコラスの姿であった。
「──に、ニコラス戦闘続行不可能! よって勝者ウィルフレド!!」
訓練場が沈黙に包まれた──しまった! やり過ぎたか?! しかし従えていると言われ少しムカついたのは事実である──アイツらは大切な仲間だからだ! 後悔はしていない──うん!
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呆気に取られて固まっているギルマスにアンが近付き、つんつんと腕を突きながら声を掛ける。
「あの……ギルマス? 次、宜しいでしょうか?」
「ハッ?! あ、あぁ……そ、そうだな……! 次はアンヘリカの番だ! 相手は同じくAクラスのコーディが務めろ!」
ギルマスの声で二人が前に歩み出た。アンは得意の弓で戦うみたいだ。一方のコーディは俺と同じ正当な戦士職らしく大振りな円盾と150セルトの短槍である。
「では……始め!」
『──風精加護』
アンは短く詠唱し自らに風の精の加護を纏わせる! そのまま掛け声と共に突っ込んで来たコーディの槍撃を躱し素早く距離を取る!
しかし弓矢って手加減出来るのか? そんな事を考えていたらアンが仕掛けた!
「──『制圧矢』」
続け様に素早く矢を番えて連射するアン! 一の矢はコーディが構えた短槍の穂先に命中し弾き上げる!
続いて二の矢が円盾の絶妙な位置に当たりこれも弾き上げた! そしてガラ空きになったコーディの胸当目掛けて三の矢を放った!
良く見ると鏃に濃密な空気が纏わり付いているのが視える!
放たれた矢は真っ直ぐコーディの胸当に当たり──鈍い音を立て胸当てを凹ませながらコーディの体を後ろに弾く! 体勢を崩したコーディの額に番えた矢の狙いを定めたアンが問い掛けた。
「どうしますか? このまま続行しますか?」
「……いや、俺の負けだ……降参する」
コーディは槍と盾を手放し両手を上げて、そう言葉少なに宣言する。
「し、勝者アンヘリカ!!」
審判係の職員が高らかに宣言した! アンも意外と容赦ないな!?
「よし! これにて昇級試験は終了とする! ウィルフレド・ハーヴィー並びにアンヘリカ・アルヴォデュモンドのAクラスへの昇級を認めるものとする!!」
この日、俺とアンはAクラス冒険者としての新たな一歩を踏み出した───── 。
ウィルとアンは無事に昇級を決めました。まぁウィルはコーゼストの所為でチート化してますが……アンさんの能力は天然チートじみてます(笑)
そしてまたもや現れたブラックコーゼスト……(笑)
*制圧矢……鏃に濃密な空気を纏わせた矢で相手を制圧する風属性魔法。気絶効果有り。
宜しかったら評価を御願いします。




