君の虹色瞳に完敗?
本日は第181話を投稿します!
東方大陸から帰還し、ウィルもようやく落ち着きを取り……戻しません(笑)いつものドタバタした日常です! 先ずはルストラ師匠との鍛練からスタートです!
-181-
魚人族の女王であるマディと守護者のジータ、そしてグラマスのオルガを歓待してから10日後──
「ハァーーッ!」
気合一閃、神鉄で拵えた刀で斬りかかる俺! 相手はやはり神鉄で拵えられた戦杖で俺の斬撃を軽く往なす! 即座に連続の斬撃を繰り出す俺! 相手に隙を与えないが如くに!
「フッ! フッ! ハッ! ハッ! フッ! ヤァーーッ!」
「そう! そうよっ! その調子ッ!」
俺の鋭い連撃を戦杖で受け止め、或いは往なし、紙一重で躱して行くのはルストラ師匠! 俺の連撃は唯の一度も師匠へと届く事は無い。
ここは俺の屋敷の裏庭を改造して造った修練場、俺は師匠から刀を使いこなす為の刀術を叩き込まれていた。既にこの鍛錬も大詰めである。
「お父さァーん、師匠さぁーん、がんばってぇー!」
そしてそれを見学しているのは俺の娘(仮)であるマーユ。彼女は西方に遊学と言う形で、マディを最初にラーナルー市に呼び寄せた日から俺の屋敷で一緒に暮らしているのだ。一緒にアン、エリナ、レオナ、ルアンジェ、スサナ、コーゼスト、ヤト、セレネの8人も見ていたりする。
それ以外のメンバーはと言うと、ルピィはギルドの仕事へ、ベルタ達はスクルドと共に分隊『戦乙女』として「魔王の庭」に潜っていた。特にベルタ、ユーニス、ルネリート、アリストフの4人は旅に出ていたメンバーと格に差がついてしまい、それを少しでも近付ける為にらしい。なのでフェリピナとマルヴィナは支援に徹するとの事だった。
そんな事を頭の片隅で考えながらも、休む事無く師匠に向かって斬撃を繰り出し続ける俺。そっちも気にはなるが、今は師匠との鍛錬に集中しないとな!
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もはや日常となった師匠との鍛錬を終えた俺は、午下は今居るメンバーとマーユを連れて王都ノルベールへと来ていた。今回東方大陸の『黄昏の城』の施設で入手した2メルト級のゴーレム6体を始めとした、回収した様々な魔道具類をオルガに引き渡す為である。
回収した物の一部は今回の報酬とは別に貰う事にはなっているが、まだ所有権はオルガにあるからだ。それなので今回はオルガに欲しい物、要らないモノを取捨選択してもらう事にした。無論その中には王国に提供する分も含まれるが。
「ウィルッ! それとマーユと皆んなも! 良く来てくれたねッ!」
転移陣部屋から二階の執務室に向かうと笑顔で出迎えてくれるオルガ。今は流石に公務中なので控えているみたいだが、今にも俺に抱き着きそうな勢いである。
「さて、それでは早速裏の修練場に行こうか? 何しろ凄い量の魔道具があるからねッ!」
そう言うが早い、椅子から立ち上がり俺達の先頭に立って案内してくれるオルガ。その辺は流石、伊達に冒険者ギルドの最高統括責任者を長年務めている訳じゃないな。
但し──どさくさに紛れて俺の手をしっかり握っていたりするが!
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庁舎裏にある修練場までオルガに案内されて来た俺達。大体俺の屋敷裏の修練場ぐらいの広さがある──と言うか、ここを参考にうちのを作ったんだけどな!
「うん、このぐらいの広さが有れば大丈夫かなッ?!」
修練場奥を見て空いている場所を指差すオルガ。修練場には何人かの冒険者と職員が居て、何事かと此方に視線を向けている。ついでに言うと俺達の後ろにも何人かの冒険者と職員が付いて来ていたりするんだが──キミタチは暇なのか?
思わず近くに居た職員の1人を捕まえて尋ねると、「何の前触れも無く女だと判明したグラマスと唐突に婚約した冒険者がギルドに来たらしい。しかもその冒険者がギルマスに沢山の貢物を持ってきたらしい」との噂がギルド内に飛び交っているらしく、皆んなで事の真偽を確かめに来たらしい──ナンジャソリャ? どうやら俺とオルガとの噂が1人歩きをして話に尾鰭がついたみたいである。
俺は思わず苦笑いを浮かべるとオルガが指定した場所に、預かっていた魔道具類をコーゼストの無限収納から次々に出して並べて行く。
「「「「「おおっ!」」」」」
それを周りで見ていた観衆から歓声が上がる。特にゴーレム6体が整列した状態で空中に浮かぶ魔法陣から地面に姿を現すと、その歓声に混じって「あんな大きな物まで入る収納庫魔法を持っているのか」と言う羨望の声もちらほら聞こえて来たりする。これは収納庫魔法じゃなくて無限収納なんだけどな。
その一連の様子にひとり満足そうにほくそ笑んでいるのは誰であろうオルガ本人。
どうでも良いが、そのドヤ顔はヤメレ。
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だいぶ大騒動になったが、無限収納から全ての魔道具類を無事出し終えた。次はコレ等の仕分け作業となるのだが…… 。
「よしっ! えーっと君、手の空いている職員と魔法士を何人か仕分け作業の為に集めて来てくれないかい? 無論手当は弾むからと言ってね」
オルガが手近に居た職員にそう指示を出して、ヒトを集めさせる。その辺はやはり伊達に最高統括責任者の職に就いている訳じゃないな、ヒトの使い方が上手い。その辺は俺も貴族として見習わないとな。
そんな事を考えていると観衆を掻き分けてさっきの職員が他の職員や魔法士、総勢20人ほどを連れて来た。
「さてと、それでは仕分けを始めるとしようか? それではコーゼスト殿、宜しく頼むよ」
そうコーゼストに声を掛けるオルガ。この場合、コーゼストが主に担当するのは「この魔道具は○○の魔道具」とオルガや職員達に種別を伝える役目だ。それを聞いてオルガが王国に提供する物、自分が保有しておく物、そして俺に提供してくれる物、と仕分けし、それを職員や魔法士が木札に書き留めて魔道具に紐で縛り付けて行く。
その中にはコーゼストの自動人形やルアンジェの魔法生命体が安置されていた密閉容器も有ったりする。そういやコレも無限収納に仕舞って来たっけな。それにしても一体全体幾つ魔道具があるんだか。
「ゴーレムも含めて大小合わせて537個ですね。そのうち97%は完動品です」
俺の思考を読んだコーゼストが律儀にも詳しい数を教えてくれた──と言うか、これが全部無限収納に入っていたのかよ?! 流石、伊達に『無限収納』と銘打っている訳じゃないな、等と驚きと共に半ば呆れる俺。
そもそも無限収納を無限収納たらしめているのは、俺の魔力なんだけどな!
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そんなこんなで進む仕分け作業。こうした魔道具類を初めて目の当たりにするマーユはともかく、師匠までもが瞳を輝かせて見ていたりする。そんなに珍しいのか?
「へぇ、私が居た迷宮の奥深くにはこうしたモノが眠っていたのねぇ」
セレネもセレネで何やら興味深そうである。事実セレネの場合、ヤトさんよりかなり賢いみたいだしな。
「……御主人様ァ、何か失礼な事を考えてない?」
そんな事を思っているとヤトから真逆の抗議が来た。ちょっと待て、お前はいつ読心能力を使える様になったんだ?! ヤトの台詞に内心戦きつつも、表情には出さずに「気の所為だ」と言い切る俺。ここは無表情を装うに限る!
ヤトの追求をポーカーフェイスで躱しながら仕分け作業に注視する俺。まぁ実際質問を受けて答えているのはコーゼストだし、指示をしているのはオルガだし、正直俺の出番は無いな。
因みに周りの観衆はいつの間にか更に増えているが、俺達の所為では無い──と思う。たぶん!
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それからたっぷり3時間を掛けて回収した魔道具類の仕分けが終わった。その内訳は──オールディス王国に提供する自動人形や魔法生命体の密閉容器2基とゴーレム2体を初めとする魔道具233品、オルガが個人的に所有する事にしたゴーレム2体を初めとする魔道具204品、そして俺がその残りの100品を貰う事になった。無論残り2体のゴーレムも含まれている。
とりあえず貰う事になった魔道具類を再びコーゼストの無限収納に収納していると
「ウィル、お願いがあるんだけど……良いかな?」
仕分け作業をした職員や魔法士達に労いの言葉を掛け終えたオルガが声を掛けて来た。まだ周りに残っている職員や冒険者の視線が痛い…… 。
「ん? どうしたんだオルガ?」
とりあえず周りの視線は華麗に無視してオルガに何事かと尋ねる俺。
「うん、実は私の分の魔道具やゴーレムも一旦預かっておいて欲しいんだけど……駄目かな?」
そう言って上目遣いで此方を見てくるオルガ。はっきり言って小聡明いが──可愛いから許す! 俺は笑顔で快諾するとオルガの分の魔道具もインベントリに仕舞い込んだ。これらはオルガの分であると、彼女の魔道具類に「紐付け」してあるから直ぐに取り出せるしな。
むしろその様子を見ていた周りの観衆から聞こえてくる「私も玉の輿を狙おうかしら」との不穏な文言の方が凄まじく気になるんだが!?
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「えっと、実は──ウィルにあと1つお願いしたい事が有るんだけど……」
彼女の分の魔道具をインベントリに仕舞い終えてから、再び口を開くオルガ。何だか申し訳無さそうにも見える。但しまたもやの上目遣いであるが──キミ、俺がそう言うのに弱いの知っててやってない?
「……まぁ、俺に出来る事なら良いんだが……」
少し身構えながらオルガに尋ねる俺。正直言って嫌な予感しかしないんだが?
「実はね……エリンクス国王陛下から話があってね。今回の一連の出来事を、当事者の1人である君の口から直接聞かせて欲しいそうなんだよ」
勿論私との婚約についてもなんだけどね、とはオルガの談である。見事に嫌な予感的中である。正直ソレが面倒なのでオルガに丸な……一任したのだが、功を奏さなかったみたいである。
だがまあ、曲がりなりにも侯爵であるオルガと結婚するのだから、やはり国王陛下にはちゃんと話を通しておくべき……か。それに国王陛下は「話を聞かせて欲しい」と言って来たのだ。本来なら下知されても俺は文句も言えないのにも関わらず、にだ。
それはつまり国王陛下の心遣いに他ならないと言う訳で、それだけ俺を信頼してくれている事に他ならない。
流石にそこまで信頼されていると無下には出来ないし、俺もそんな事したくはない。「真に成功する者は「富と名声」よりも「信頼」を大切にする者である」とはうちの師匠の言葉である。それに悖る訳にも行かないか……はァ。俺は小さく溜め息をつくと
「……わかった、わかりました。俺が直接国王陛下に報告して差し上げれば良いんだろう?」
オルガに対してそう了承の言葉を口にするのだった。
予め断っておくが別に自棄になった訳では決して無い。信義に悖る事をしたくなかっただけである。
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オルガに国王陛下と謁見する旨を伝え、王国に提供する分の魔道具類も俺が直接王城に持って行った方が色々と手間が省けると言うので、それ等もコーゼストのインベントリに仕舞い込み直した。
結局インベントリから出したり入れたりの繰り返しになってしまったが、仕分けが出来た分だけマシと言う物である。勿論今仕舞い込んだのも「紐付け」してあるので直ぐに取り出せる様になっているので何ら問題は無い。
どちらにしてもこれで今回するべき事は一応終えたので、俺達は一旦ラーナルー市に戻ろうとすると
「ウィル、出来れば私の分の魔道具を私の屋敷に届けて欲しいんだけど……駄目かい?」
三度の上目遣いで俺に頼み込んで来るオルガ。君もかなり甘え上手のお強請り上手だな?! 後ろからはアンやエリナやレオナが「私も見習おうかしら」と言う声が聞こえて来る。やめなさいッ! マーユの教育に大変宜しくないぞ?!
俺は本日二回目の溜め息をつくと
「はァ、わかったよ。乗りかかった船だ、ちゃんと運んでやるさ」
頭を掻きながらそう答える。その答えを聞いたオルガは満面の笑みを浮かべると
「そうかいッ! それじゃあ早速行こうじゃないか!」
とやたら楽しげに声をあげる──チョットマテ。
「──行くって何処に?」
「勿論私の屋敷にさッ! 決まっているじゃないか! 今日は皆んなを私の屋敷に招待するよっ!」
思わず行先を尋ねる俺にこれまた破顔一笑で答えるオルガ──やっぱりかよ?!? 後ろではアンさん以下のメンバーが「まぁ、そうなるわよね」と納得しているし!
こうして期せずして俺とアン達、師匠とマーユはオルガの屋敷を突撃訪問する事になってしまったのである──やれやれ。
何処に行っても目立っているウィルとその仲間達! 王都ギルドでも注目の的ですね! まあ今回はいつものは別の意味で、ですが! そして意外とあざといオルガさん! 本当にオネダリ上手になりました! むしろコレが地なのかも?!
☆manakayuinoさんに描いていただいたメロウ族のマーユちゃんのイラストを第137部百二十九話に掲載しました! manakayuinoさん、素敵なイラストをありがとうございました!
いつもお読みいただきありがとうございます。




