造られしモノ達の刷新、そして真誠(☆イラスト有り)
本日は第161話を投稿します!
今回は前回の続き、新しく自動人形の身体から魔法生命体の身体へと乗り換えたルアンジェの様子からスタートです!
-161-
俺の合言葉で目を覚ましたルアンジェ。瞼を開けたあと瞬きひとつもしないし、何より瞳に輝きが全く無い──大丈夫か?
俺とアンに一瞬不安が過ぎる。すると次の瞬間、頭上に光輪が浮かび上がる! 同時に口から紡がれるのは機械的な声!
《個体識別番号──Ω1000ーZ99──筐体新規更新を確認──制御体系を新規構築──筐体各部異常無し──全神経接続──筐体各部との同期確認──主記憶装置に制御体系を記録、完了》
不意に光輪が消え、それと同時に瞳に輝きが生まれる。それと共に白かった髪が根元から薄桃色へと、白かった瞳も青紫色へと変化して行く。そして数回瞬きをすると、身体を起こして辺りを見回し、俺とアンの姿を確認すると
「ウィルッ! アンッ!」
横たえられていた密閉容器から凄い速さで飛び降りると、文字通り飛ぶ様に抱き着いて来るルアンジェ──うぉっと!? そんなルアンジェの行動に驚きつつもしっかりと抱き留める俺。以前の軽い感覚より結構ズッシリとした感覚を感じる。
「あーっと、大きくなったな、ルアンジェ」
思わず間抜けな台詞がつい口を衝いて出てしまう。それを聞いて俺の胸に埋めていた顔を上げて
「うん、私、またひとつヒトに近付いた!」
と顔を上気させて答えてくるルアンジェ。何と言うか、自動人形だった時よりホムンクルスの方が表情や感情表現が豊かに見えるのは気の所為か?
俺がそんな事を思っていると俺から身体を離し、今度はアンに抱き着くルアンジェ。以前は154セルトだった身長もホムンクルスの身体を得て160セルト程に高くなっていて、以前は対比でアンの子供に見えなくもなかったルアンジェも、今は妹と言っても差し支えが無いぐらいの身長になっている。
「アン……!」
「ルアンジェ……!」
美人と美少女の抱き合いは傍から見ていても良いものである。暫しお互いの感触を確かめ合うアンとルアンジェの様子を見ながら、俺はそんな事を考えるのだった。
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若干の興奮状態から漸く落ち着きを見せたルアンジェに、アンが自分の替えの服を着させる事になった。コーゼストが仮に着させていた一枚布服は色々と露出が高めで色々と危ないし、何より身丈だけならほぼほぼアンと変わらないからな──ある部分を除いて。
もちろんルアンジェが着替える時は反対を向いていたのは言うまでもない。
「どうかしら、ルアンジェ? 丁度良いと思うんだけど……」
「大丈夫。ただちょっと胸が苦しいけど」
「えっ…………」
ルアンジェの台詞に言葉を失うアン。ルアンジェの胸と自分の胸を交互に見比べると、その顔に絶望と言う名の影が差す。大丈夫だアン、俺は大きくても小さくても気にしないから。
『兎に角、ルアンジェの方はこれで宜しいかと。続けて私の番になりますね』
そんな微妙な空気にも鷹揚なコーゼスト。お前は少し空気を読め。
「はぁ……全くお前は……そんじゃあ今度はどうするんだ?」
『はい、この自動人形の制御頭脳に魔力接続して遠隔で使える様にしたいと思います』
俺の問い掛けにスラスラと答えるコーゼスト。と言うか自身の想像と違っていた事に少し驚く。
「何だ、お前が直接入るんじゃ無いのか? それに何だ、その魔力接続ってぇのは?」
『はい。私の本体はマスターの左腕に置かれているのが一番座りが良いですから。それと魔力接続と言うのは魔力を使ったある種の通信及び操作制御手段です。マスターがお使いの遠方対話機にも使われている魔法工学ですよ』
更なる俺の質問に無駄に大きい胸を張って講釈を垂れるコーゼスト先生。正直言って鬱陶しい。
「そんな講釈より早くその魔力接続をしろよ、いや、お願いだからしてください!」
この状況を一刻も早く纏めたい俺としては手っ取り早くコーゼストに請願する。
ここまでただでさえ蔑ろにしているオルガ女史に、これ以上は申し訳なさ過ぎる!
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『そこまで仰るなら──』
だが俺の説得(?)は功を奏したらしく、一言答えると妖精体が不意に消え、同時に自動人形がガバッとカプセルから起き上がる──いきなり起きるんじゃない! 魂消るだろ!
「──魔力接続、同期確認。各部異常無し──お待たせしました」
「いや、全然待たされていないんだが……と言うか早過ぎて逆にびっくりだわ!」
そんなにサッサと出来るのならとっととやれば良いのに──ってぇ!?
「ちょ、おまっ、は、裸──!!」
お待たせしましたと宣うコーゼストは一糸纏わぬ姿で無駄に大きい胸を張っているのである。正直言って目の保養──げふん、目の毒である。いつの間にか白い瞳は紺碧の瞳で、腰までの白い長い髪と眉と睫毛は翡翠色に艶やかに輝き、色の無かった唇は淡紫色の艶やかな唇となっていて、と、ほぼほぼ魔導擬似肉体でいた時と同じ仕様である。因みに胸も相当なモノであるが。
「本当に──こんな事で果たしてアン達とちゃんとした結婚生活が送れるのか……不安になりますね」
「お前に心配されたかぁ無いわぁーーーっ!」
思わず声が上擦る俺と顔が紅くなるアン。そんな俺達の様子を見てカプセルの中に置かれていたキトンをサッと羽織るコーゼスト。
「ではこれで如何ですか?」
これはコレで少し動くと色々と見えそうなのだが、この際、贅沢は言ってられないのも確かである。
「……まぁ、それしか無いしな……はァ」
とりあえず妥協と言う名の納得をする。コーゼストはそんな俺の葛藤など気にもしないみたいに
「しかし、下に何も着けないと風が通り抜けて落ち着きませんね」
等と言いながら下半身の布をヒラヒラとさせる。
お前、絶対わざとだろ!?!
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「えーっと、其方はもう良いのかな?」
とりあえずはルアンジェもコーゼストも落ち着いたのを見計らってオルガ女史が声を掛けて来る。
「あーっと、何かすまんグラマス」
俺はそう言うと深く頭を下げ、アンとルアンジェも同様に頭を下げる。
「グラマス殿、有難くこの身体を使わせていただきます」
締め括る様にコーゼストが口を開く──と言うかお前は随分偉そうだな!?
「うん、喜んでもらえた様で何よりだよ。ルアンジェさん、コーゼスト殿、その身体を大切に使ってくれたまえ」
コーゼストの上から目線の台詞にも笑顔を崩さないオルガ女史。ある意味ヒトが出来ている。
「それでひとつ確認だけど、無限収納はその身体になっても使えるのかい?」
「それは全く問題ありません」
オルガ女史の質問にそう返すと自分の目の前に魔法陣を展開するコーゼスト。見慣れたインベントリの魔法陣である。そしてそのままルアンジェだった腕無しの自動人形を収納する。
「それは重畳。ならウィル君とコーゼスト殿には暫く僕と行動を共にしてもらいたいな。ここにはかなりの数の魔道具が保管されているみたいだし、何より頼みたい事もあるしね」
コーゼストの返答に満足げに頷くと、一言そう頼み込んでくるオルガ女史。まぁ別に構わないが……
「了解した。それじゃあアンとルアンジェはさっき自分達が調べていた続きを頼む」
「ええ、わかったわ。ルアンジェ、一緒に行きましょう。向こうで皆んなにも貴女の事を教えないと」
「ん、わかった。それじゃあウィル、またね」
オルガ女史の言葉を受け了承の意を伝えると共に、アンとルアンジェに指示を伝える。アンとルアンジェは連れ立って他のメンバーが調査をしている所に向かっていった。恐らくは向こうで皆んなと姦しくするのだろう。
2人の後ろ姿を見送りながらそんな事を思ったりする俺なのだった。
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「さてと、早速だけどウィル君とコーゼスト殿にさっき言った通り頼みたい事があるんだけど……良いかい?」
2人を見送ってからオルガ女史が口を開く。
「? わざわざ改まったりして、どうしたんだグラマス?」
「うん……君達にもう1つ僕のと同じカプセルが無いか探して欲しいんだ。僕の本当の目的はそのカプセルの有無なんだよ」
ここに来てやっと真の目的を話すグラマス。まぁ大体、目的は別にあるんじゃないかと思っていたんだが。
「それでカプセルの形状以外に探す為の手掛かりはありませんか?」
こう聞いたのはコーゼスト。そうなのだ、この部屋の中央に置かれているオルガ女史が冷凍睡眠していたカプセルは、ルアンジェのホムンクルス体やコーゼストの自動人形が寝ていたカプセルとは少し形状が違っているだけなのである。なのでそれ以外に目的のカプセルを探すとなると、手掛かりは必然的に必要となるのだ。
「うん、『Erich』と書かれた名札が付いている筈なんだけど……」
そこまで言うと何だか自信無さげになるオルガ女史──何なんだ、一体?
「わかりました。それでは早速探す事に致しましょう」
「……ったく、それでお前には探し出す算段はあるんだろうな?」
オルガ女史の頼みを安請け合いするコーゼストに突っ込む俺。こう言う時に限りコイツは既に幾つかの算段を考えているからな。
「ええ、この部屋に入ってから一度綿密に走査しましたので。それで凡その当たりは付いています」
ほらな、コイツはこう言う奴なんだ。だがまぁ良いか、何にせよ仕事が早くて助かるのは確かだしな。
「はァ……そんじゃあその当たりを付けている所に連れて行ってくれ、コーゼスト」
「では──此方の方にお越し下さい。マスター、グラマス殿」
俺の言葉に答える様にコーゼストは先導して歩き出すのだった。
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コーゼストが俺とオルガ女史を連れて来たのは部屋の中央、正確に言えばオルガ女史の冷凍睡眠カプセルの所である。
「さて、一番怪しいのはここかと」
「いやいやいや、ここにはこのカプセル以外何も無いだろ!?!」
思わず突っ込む俺。それはそうだろう、ここにはオルガ女史が入っていたカプセル以外には何も無い置かれていないのだから。
だがコーゼストは自信満々に「まあ見ていて下さい」とオルガ女史のカプセルの横にある操作盤に手を掛ける。同時に操作盤の上に魔法陣が浮かび、それと共に今あるカプセルの後ろの床に魔法陣が展開される──何だ?!
「やはり──このカプセルの操作系には隠しコードがありました。恐らくはそれとわかる者では無いとわからない仕様になっていたようです」
コーゼストは1人で偉そうにドヤ顔をしているが……まさかこんな仕掛けがあるとは思わなかった!
「これは……記録核にも残されていなかった事だね……必要な情報は全て確認したから気付かない筈は無いからね……」
それはオルガ女史も同じ思いだったらしく少し唖然としている。
「ではグラマス殿、その魔法陣に手を触れて魔力を流して見て下さい」
片やコーゼストは飽くまでも淡々とオルガ女史に指示を出している──お前は本当に空気を読んだ方が良いぞ?!
「う、うん、それじゃあ──」
そう言うとコーゼストに言われた通りに魔法陣に手を触れ魔力を流すオルガ女史。
魔法陣が一際輝きを増すと床が左右に分かれて、床下からオルガ女史のと同じカプセルがせり上がってくる! こんな所に隠されていたのか?! やがてカプセルはせり上がり切ると動きを止め、程なくして床から重々しい音が響く。
それを聞いて恐る恐る近付く俺。ゆっくりとカプセルに手を掛けるとしっかりと固定されていた。俺が確認したのを見て、オルガ女史とコーゼストも近付いて来る──頼むから俺を人身御供にして安全を確保しないで欲しいものである。
はぁ、と溜め息をつきながらカプセルの名札を探す。だがそれを最初に見つけたのはコーゼストで、見つけた名札を読み上げる。
「──『Erich』と書かれています。これがグラマス殿のお探しの冷凍睡眠カプセルに間違いありません」
ルアンジェの手続きの時はそれなりに時間が掛かりましたが、コーゼストは一瞬……この差は一体何なんでしょうか?! 終いにはウィルも思考放棄してましたが!(笑)
そしていよいよ明らかになるオルガさんの本当の目的! 次回も目が離せません!
☆第13部本編十三話に掲載のアンのイラストがmanakayuinoさんのイラストに差し替えられました!そちらも是非!
☆manakayuinoさんに描いていただいたウィルの自称唯一無二の相棒コーゼストのイラストを掲載しました! manakayuinoさん、素敵なイラストをありがとうございました!
いつもお読みいただきありがとうございます。




