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なぜか俺のヒザに毎朝ラスボスが(日替わりで)乗るんだが?  作者: 逢坂 蒼
思えば東方に来たもんだ編!
166/330

諸々の事情と蛇姫の慧眼と

本日は第百五十四話を投稿します!

何だが色々と皆んながある意味殺気立っていますが、まだ迷宮探索は半分程を消化しただけ。

この先、ウィルを待つ試練(?)は!

 -154-


 色々諸々(もろもろ)(はら)みながら迷宮(ダンジョン)黄昏(ムー・グォン・)の城(ズィー・チャヴ)』の探索は続く。


 何と言うか何人かの──正確にはアン・エリナ・レオナ・フェリピナ・マルヴィナ・スサナ、そして何故かルアンジェが(まと)う空気が()()

 まぁとりあえずは各々(おのおの)が各々の()()をちゃんと(こな)してくれているので問題は無いのだが、何と言うか精神衛生的に宜しくは無い。うむむ…… 。


『そこはマスターの決断ひとつでどうとでもなりますが?』


『ゔっ?!』


 頭の中で色々と考えを巡らせていたらコーゼストからズバリ核心を突かれてしまった──もちろん念話でであるが。

 それはそうなのだと解っているのだが、俺の決断ひとつで誰かが傷付くのでは無いか、と言う思いが頭に浮かぶとつい及び腰になってしまうのだ。


『まぁマスターの苦悩は()()()()()分かりますが、今は戦闘に集中してくださいね』


『わかっているよ……』


 そう念話で言い合いながら刀剣(セイバー)を振るう手は止めずに、襲い掛かって来る(つる)を斬り落とす俺。実は貴殺人植物(グレーター・キラープランツ)と戦闘中だったりする。


 俺とエリナとレオナとスサナ、それにファウストとヤトは、貴殺人植物(グレーター・キラープランツ)が俺達を捕らえようと盛んに送り出してくる蔓をセイバーや長剣(ロングソード)拳鍔(ナックルダスター)短剣(グルカナイフ)薙刀(グレイヴ)そして鋭い爪で次々に叩き落として行く!


『?!?』


 声にならない声を上げる貴殺人植物(グレーター・キラープランツ)目掛け、後列から2本の火炎槍(フレイムランス)と1本の豪炎槍(グレーター・フレイムランス)と1条の輝光十字射(クロスレイ・ランサー)が飛来し、貴殺人植物(グレーター・キラープランツ)の太い幹や歩行根に命中し激しく炎上させる!

 因みに火炎槍(フレイムランス)はフェリピナとオルガ女史(グラマス)が、豪炎槍(グレーター・フレイムランス)はアンが、輝光十字射(クロスレイ・ランサー)はマルヴィナが放ったものである。


『〜〜〜ッ?!』


 またしても声にならない声を上げて、その燃える体を悶絶させてのたうち回る貴殺人植物(グレーター・キラープランツ)! 抵抗(むな)しく、やがて全身全てを猛火に包まれ、燃え尽くされるのであった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 炎が収まると貴殺人植物(グレーター・キラープランツ)の居た場所には、かなり大振りの魔核(コア)が残されていた。


「結構大きいな」


『まぁ(レベル)62で順位(ランク)A+ならこの位はあるかと』


 それを見ながら軽口を叩き合う俺とコーゼスト。()()()()()()、いつも通りのコーゼストの態度に少しホッとする。


 今の戦闘で怪我をした人はマルヴィナとアンが回復魔法を掛けて回復させているし、とりあえず魔核(コア)を回収しようとしたら


「はいっ、ウィルさん! 回収してきましたよぉ♡」


 私の役目だと言わんばかりのスサナが、サッと魔核(コア)を取ってきてくれた──何だか何時(いつ)もより声が上擦(うわず)っている気がするんだが?


「あ、ああ、ありがとうスサナ」


 そう言って受け取ろうとする俺の、差し出した手に魔核(コア)を持たせると、スサナはそのまま自分の両手を添えてギュッと握って来る──ちょっと待て、何故にそんなに強く握り締める?!

 思わず声を掛けようとすると、パッと手を離し「えへへへぇ〜」と笑ってフェリピナ達の所に戻るスサナ。戻って行った先からは「スサナ(ずる)い〜!」と言うフェリピナとマルヴィナの声が聞こえてくる。()もありなん。


「さて……と、先に進むとするか」


 そのやり取りを無視(スルー)し全員が落ち着いたのを確認すると、俺は再び迷宮(ダンジョン)の奥へと歩を進めるのだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「ところでコーゼスト。オルガ女史(グラマス)達のレベルはどの位になっているんだ?」


 迷宮(ダンジョン)の5階層目を突破し6階層目へと下りた時、全員の今のレベルが気になったので先に進む前にコーゼストに確認してみる。


『はい。マスターウィルはレベル76と変わらず、アンがレベル75、エリナもレベル75に、レオナはレベル73へ。ルアンジェはレベル75相当、フェリピナはレベル70、マルヴィナはレベル71へ、スサナはレベル50に。グラマス殿はレベルが47へと上昇しました。参考までにゾラ殿はレベル75ですね。従魔(フォロー)達はファウストとデュークがレベル77、ヤトはレベル77と変わらず。マスターとヤト以外は順調に上がっています』


 俺の問いに即座に答えるコーゼスト。わざわざゾラのレベルまで計測する辺りは流石である。まぁ俺とヤトは今回は(ほとん)()()()を刺して無いからな、そうなると()()()()()()()()()()()は出来ない訳で、仕方ないと言えば仕方ないのだが──この先はもう少しトドメ刺すのにも関わるとするか。


 そんな事を思っていると、コーゼストと俺の話を聞いていたオルガ女史(グラマス)(そば)に寄ってきて色めき立つ。


「へぇ!? 僕はそんなにレベルが上がったのかい?! コーゼスト殿の共生化と言うのは本当に凄いものだね!」


 物凄い饒舌(じょうぜつ)だな、グラマス(オルガ女史)! だがまぁ興奮するのはわかるぞ、何せうちのメンバー達の特にレベルが低かった人も、コーゼストの共生化の組織網(ネットワーク)に組み込まれた当初はそうだったからな。


「むぅ、何だいなんだい、その何とも言えない眼差しは?」


 そんな事失礼な事を考えていたら、不服そうなオルガ女史(グラマス)の声が耳に届く。どうやら俺は、気付かないうちに彼女に生暖かい視線を送っていたらしい。視界に(とら)えたのは口を尖らせ不満げなオルガ女史(グラマス)の顔であった。


 その表情を見て一瞬ドキッとしたのはアン達には秘密なのは言うまでもない。


『私はしっかり確認しましたが?』


 すんませんコーゼスト先生、そこは黙っていてください!


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 そんなこんなをしながらも6階層目を奥に進む俺達。何と言うかここまで下りて来ると出現する魔物のレベルも高く、かなりの強さで油断が出来ない。それに遭遇率も上がっている気がするのだが?


『その感覚はあながち間違っていません。1階層目と比べるとレベルが4ないし5レベル上がっていますし、遭遇率も20%ほど上昇しています』


 俺の推測を裏付ける様に状況を報告して来るコーゼスト──お前はまた人の考えを読んだのか?

 だがまぁ『魔王の庭』でもそうであったみたいに、やはり深い階層に下りると魔物は強くなるのか。ただこの『黄昏(ムー・グォン・)の城(ズィー・チャヴ)』ではそれが顕著(けんちょ)になっているんだな。


 それならばと改めて気を引き締める様に全員に声を掛けて、俺達は更に下の階層を目指して歩を進めるのだった。そして8階層目──


 目の前に立ちはだかるのは黒くぬらりと輝く甲殻に無数の脚──暴君百足(タイラントセンチピード)である!


「キチキチキチッ」


 体長は大きく5メルトはあるか? 大蛇が鎌首を(もた)げる様に頭部を起こし、大顎(おおあご)を鳴らして威嚇(いかく)して来る!


『──再確認完了しました。この暴君百足(タイラントセンチピード)のレベルは70、ランクはA+です』


 暴君百足(タイラントセンチピード)を再計測した結果を告げるコーゼスト。レベル70か……Sランク一歩手前だな。更にそのレベル70の奴の傍には体長3メルトほどの一回り小振りな暴君百足(タイラントセンチピード)が3匹、同様に頭を擡げながら威嚇している! コイツらはコーゼストの計測の結果、レベル62のランクAの個体らしい。しかし──


「──前の「混沌の庭園(カオティックガーデン)」の時もそうだが、古代魔導文明(イディアル)人ってのは魔虫(まちゅう)系を使うのを好むのか?」


 思わず愚痴(ぐち)が口を()いて出る。だが西方(俺達の住む)大陸で攻略した迷宮(ダンジョン)混沌の庭園(カオティックガーデン)」を思い()さざるを得ない。

 そこは古代魔導文明(イディアル)が創った魔導人工頭脳(マギア・コンピュータ)が作り上げた迷宮(ダンジョン)で、最下層の手前から兵刃蟷螂(ブレードマンティス)から大椿象(スティンバグ)暴君百足(タイラントセンチピード)までと見事なまでに魔虫系(そろ)いだったのである。


『推測の域を出ませんが、恐らくはそうなのでしょう──ところで前にも言いましたが戦闘に集中してくださらないと困ります』


 俺の意見に同意すると共に注意を喚起(かんき)してくるコーゼスト。


 何か、色々すまん。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 とにかく迎撃態勢を取るべくゾラ以外のメンバーには念話で編成(フォーメーション)を伝える俺! それに呼応して瞬時に動くメンバー達! ゾラにはもちろん手話(ハンドサイン)を送って指示を出した。


 先ず前衛は(タンク)役としてデュークと配下(サポーター)ゴーレム3体が立ち、その後ろに俺とエリナとレオナ、そしてゾラとファウストが、更にその後ろにはアンとフェリピナとマルヴィナとオルガ女史(グラマス)とヤトが立ち、ルアンジェとスサナは遊撃としてアン達と俺達の間に位置を取る。


 それ等があっという間に終えられたのと同時に、暴君百足(タイラントセンチピード)の群れが俺達目掛け押し寄せて来た! だが既に準備は整っている!


 押し寄せて来た4匹の暴君百足(タイラントセンチピード)とガッチリと組み合い、動きを止めるデューク達ゴーレム!

 次列の俺達はデューク達の後ろを回り込む様に動き、暴君百足(タイラントセンチピード)尾節(びせつ)側へと向かう!

 そこには歩兵剣(ショートソード)みたいに鋭い剣尾(けんび)と呼ばれる部位があるのだが、先ず前衛で動きを封じたらその物騒な剣尾を折るのが定番(セオリー)となっている。

 奴等は獲物に対して毒霧(ポイズンミスト)を吐いて動きを封じたり、組み付いて猛毒のある大顎で噛み付いて毒を注入してトドメを刺したり、巻き付いて締め上げ尾節の剣尾で突き刺したりと、意外と多彩な攻撃をして来るのだ。


 とにかく剣尾側に回り込んだ俺は、奴がデューク達に巻き付く前にセイバーで、剣尾を2本纏めて叩き折る! 一方でエリナは炎を纏わせた長剣(ロングソード)で、レオナは星銀(ミスリル)拳鍔(ナックルダスター)で、ファウストはその鋭い爪と牙で、ゾラは鮮やかな槍(さば)きで、4匹の剣尾をそれぞれ叩き折っていた!


「──キチキチッ、カカッ」


 剣尾を叩き折られた暴君百足(タイラントセンチピード)は大顎をガバッと開けると毒霧(ポイズンミスト)を吐き出した! だがそれも──


「『エスプ・デュ・ヴェン・シルヴォ・リ・ボントデゥ・ラ・プロテクション──風の精霊よ、守りの風を吹かせて』風壁(ミゥ・ディ・ヴォン)!」


 アンの精霊魔法による風の()で押し(とど)められる!


「今だっ!!」


 俺はそう叫ぶとセイバーに炎を纏わせて、一番大きい暴君百足(タイラントセンチピード)目掛け炎精斬波(サラマンドラ・スラッシュ)を、オルガ女史(グラマス)雷撃槍(ボルテックスランス)を、同時に放つ!

 その刹那のタイミングで()()()()デューク! 炎の斬撃波と雷撃の槍は寸分(たが)わず、その巨体を縦に両断し頭部を吹き飛ばし暴君百足(タイラントセンチピード)は、その巨体を痙攣(けいれん)させながら床にその身を倒すのであった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 ()()()暴君百足(タイラントセンチピード)(たお)れ伏したのを見届け、他の方に注意を向けると、各々(おのおの)が各々の相手にトドメを刺していた。そして──


「──豪炎鉄槌(パイロハンマー)!」


 ──ヤトが豪炎で形作られた巨大な(ハンマー)の様なモノを頭上に振り(かざ)し、最後の1匹を頭から叩き(つぶ)す所だった。と言うかこうした魔法──魔術も得意なんだな、ヤト?


 そんな事を思いつつ残心を解いて大きく息を吐き出すと、不意に背後に衝撃を受ける俺! 何だなんだ?!


御主人様(マスター)ーーーッ! どうだった、私の働きはっ!?」


 同時に背中越しに聞こえて来たのはヤトの声。どうやら暴君百足(タイラントセンチピード)を叩き潰すと、直ぐに()い寄ってきてそのまま抱き着いて来たみたいである。


 どうでも良いが緋緋色金(ヒヒイロカネ)軽鎧(ライトアーマー)で突撃しないで欲しいんだが?! 馬車の衝突並に衝撃が来るんだぞ!?


()っっっ、お前はいつも元気だな?!?」


「そりゃそうよ! 私はいつも通りだもの!」


 そう言うと後ろから両腕を回してくるヤト。()れを俺が苦く笑いながら見ていると、何故(なぜ)かヤトが俺の顔を背中越しにジッと覗き込んで来た──何だなんだ?!


「ねぇ御主人様(マスター)、何か悩み事?」


「!?」


 ヤトにそう聞かれ一瞬にして鼓動が早くなる!


 何でヤトは俺の()()()()に気が付いたんだ!? その質問に思わず押し黙ると


「ん〜、御主人様(マスター)って結構無理しているわよねぇ。何をそんなに我慢しているのかしら?」


(!?!)


 更にズバリ核心を突く言葉を(つむ)ぐヤト! 内心焦りながら


「……何でそう思うんだ?」


 と辛うじて言葉を発する俺。するとヤトはキョトンとした顔をして


「えっ? だって我慢してるんでしょ? 御主人様(マスター)の事は何でもわかるわよ!」


 何を当たり前の事を言っているんだ、と言わんばかりの表情をしながら、然も当然の様に云って来る。近くで俺とヤトの会話を聞いていたアン達も驚いた顔をしている。


『ヤトはマスターと、私の固有能力(アビリティ)の共生化──より正確に言えば高次元(こうじげん)魂魄(こんぱく)連結術式(れんけつじゅつしき)比翼連理(メリトゥル・バウス)』により魂が連結していますからね。それでマスターの心の声に気付いたのかも知れません』


 コーゼストの冷静()つ的確な指摘が入り、俺は思わず言葉を失うのだった。



まさかのヤトからの指摘が入りました! やはり魂で繋がっているからわかる事もあるのでしょうか?!

そして次回はこの蛇姫様が色々やらかします!


貴殺人植物(グレーター・キラープランツ)…………全高2メルト、全幅4〜5メルトになる植物系の魔物。肉食で人や動物等動く物なら手当り次第捕食する。鋭い歯が並ぶ口状の触手と相手に絡みつく触手で攻撃して来る。自力での移動は歩行根でゆっくりと行う。


暴君百足(タイラントセンチピード)…………第43部四十話後書き参照


風壁(ミゥ・ディ・ヴォン)…………アンの風系統の精霊魔法。パーティー全体を風の膜で覆い、毒ガスや毒霧から守る。


豪炎鉄槌(パイロハンマー)…………ヤトの火属性魔術。炎の巨大な(ハンマー)によって対象を叩き潰す。


◆現在、第一話から十話にかけて改訂作業を行っております。改訂版差し替え時期はまた通知しますので、その時は何卒よろしくお願いいたします。


☆manakayuinoさんに描いていただいたラファエル家の毒舌メイド、ノーリーンのイラストを第21本編二十話に掲載しました! manakayuinoさん、素敵なイラストをありがとうございました!


いつもお読みいただきありがとうございます。

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