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なぜか俺のヒザに毎朝ラスボスが(日替わりで)乗るんだが?  作者: 逢坂 蒼
思えば東方に来たもんだ編!
164/330

そして再び、疑惑の5人目──?

本日は第百五十二話を投稿します!

前回、女性である事が判明したグラマス! そして不可抗力で胸を触ってしまったウィル! さて修羅場になるか?! (笑)

 -152-


 コーゼストに()われるままグラマスの左胸に手を当てたら、グラマスが女性だった事が判明した──何だ、これ?!


「あ、あの、ね。ウィル君? その、早くして貰えないかな?」


 あまりの衝撃に思考が停止した俺の耳にグラマスのそんな声が聞こえ、ハッと気を取り直すとグラマスが頬を赤らめたまま此方(こちら)に向かい話し掛けていた──しまった、つい!


 思考が再起動すると、不意に背後から物凄い圧を感じ、恐る恐る首を後ろに向けると、アン、エリナ、レオナの3人が真っ黒な霊気(オーラ)を体全身から(あふ)れさせながら、こちらをジト目で見ていた──ちょ、ちょっと待て! 不可抗力だっ!


『色々とお楽しみの様子ですがマスター、先ずはグラマス殿の治療に専念して下さいね』


 俺の左肩にちょこんと座るコーゼストが、そう注意を(うなが)してくるが──これが楽しんでいる様に見えるのか?!


 しかしまぁ、何時(いつ)までも女性の胸に手を当てておく訳にも行かず、早く終わらせる為に意識を無理矢理そちらへと向ける俺。意識すると手に伝わるグラマスの胸の感触にドギマギしてしまうが、何とか平静を保つ様にする。


『では──改めて開始します。マスターは手を胸に押し付けていて下さい』


 そう一言告げるとスッ……と目を閉じるコーゼスト。するとその頭の上に何重もの魔法陣が浮かび上がり、それ等が一瞬輝きを放つと宙に消えていく。その途端


「ッ!?」


 グラマスが只でさえ赤らめている顔を更に紅くして小さく声を上げた。


『──はい、終了しました。これで魔力制御不全症は完治した筈です』


 いつの間にか肩から浮遊していたコーゼストが俺とグラマスの2人にそう告げる。意外と呆気なかったな?! 本当に一瞬で終わったんだ。


 俺がそんな感想を考えていると


『マスター? 何時(いつ)までグラマス殿の胸に手を当てているのですか?』


 コーゼストからのまさかのツッコミである。そういやそうだった! 目の前のグラマスに目を向けると、その胸に俺の手がしっかりと押し付けられていて、グラマスが恥ずかしそうにモゾモゾしている──うぉ?! しまった!


 俺は慌てて当てていた手を離し、グラマスと共に大きく息を吐く。


「あーっと、その、済まん、グラマス」


「う、うん、いや、こちらこそ済まなかったね」


 何となくぎこちない言葉のやり取りをしてしまう俺とグラマス──何なんだ、この何とも言えない空気は?


「さ、さてと! それじゃあ早速魔法を使ってみようかな?!」


 何とも言えない空気を断ち切る様に声を上げるグラマス。まだほんのり頬が紅い。


『それならこの先に進んで、また次の魔物を相手にして見ては如何(いかが)でしょうか?』


 そんなグラマスにコーゼストからの提案、実にナイスである! グラマスも「そうだね……うん、そうしようか!」とやる気を見せる。


 何にせよまだこの迷宮(ダンジョン)の探索は始まったばかりなのである、とっとと先に進むべきだな!


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 兎にも角にも本来の目的である迷宮(ダンジョン)黄昏(ムー・グォン・)の城(ズィー・チャヴ)』の探索の為に、先に歩を進める事にする俺達。


「──僕の本当の名前はオルガ。オルガ・ロラ・セルギウスって言うんだ」


 そして次の魔物と遭遇するまでの間に聞いておこうと思い、グラマスに隠していた事を()()()()()()聞いている所である。


「それが何だってオンナをオトコと(いつわ)っていたんだ?」


「ああ、それはね。250年前に冷凍睡眠(コールドスリープ)から目覚めてライナルト子爵に保護されたあと、彼の跡取りとして養子になった話はしたと思うけど、その時に女性では跡取りが務まらないと言われたのでオルガと言う名を封印して、(ラストネーム)のセルギウスを名乗る事にしたんだよ。まぁ元々見た目だけだと男か女かわからなかったからね、僕は」


 俺の疑問に苦笑を交えながら答えてくれるセルギウス(グラマス)殿。いや、本名のオルガ()()と呼べば良いのか。兎に角そうした理由で今から227年前に改名したのだそうだ。

 この事実については冒険者ギルドの総督部(ガヴァナーセクション)の一部の人間と、代々の王族とその側近のみ知っている秘密事項らしい。


「何だか知らなくても良い事を知っちまった訳か……何か済まん、グラマス」


 俺が深く頭を下げるとオルガ女史──グラマスは慌てて両手を顔の前でふるふる振りながら


「いやいや! そんな頭を下げないでいいから! 黙っていた僕が悪かったんだし、それにウィル君達には(いず)れ話すつもりだったんだから。そもそもそんな重大な秘密でも無いんだからね」


 と逆に(かしこ)まられてしまった。そんな必死に言われては更にこちらがいたたまれなくなってしまう。


「ま、まぁ、そこまで言うなら……」


 なので(ようや)く頭を上げる俺とそれを見て大きく息を付くグラマス。


 何か気を使わせてしまったみたいである──済まん、グラマス。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


『お話は済みましたか?』


 話が一段落ついた所でコーゼストがそう発言してくる。その言葉にハッとして後ろを振り返ると、ルアンジェとヤト以外のメンバー達が何とも言えない顔をしてこちらを見ていた──どうやら俺は()()やらかしたみたいである。

 内心焦る俺にアン、エリナ、レオナの3人が声を唱和させ(ハモらせ)


「「「まさかグラマスが5人目の婚約者?!?」」」


 と、とんでもない事を口走っているのが聞こえる──うぉい!?


「うーん、確かにウィル君の事は好きだけど、それは人間的に「好ましい」と言う意味で、恋愛感情としての「好き」とは違うかな。まぁ少なくとも()()()()だけどね」


 アン達の声を受け、苦笑いを浮かべつつそう答えるグラマス。だがちょっと待て、いま不穏(ふおん)文言(もんごん)が無かったか?!? 思わずグラマスの顔を見ると俺に向けて片目を(つむ)る仕草をしたりしている。頼むから混沌を巻き起こさないでくれないか?!


 アン達はアン達でその様子を見て再び真っ黒な霊気(オーラ)を身体から溢れさせ始めているし、既にこの場は混沌(カオス)である。


『皆さんお楽しみの様ですが、進行方向先に魔物の反応を複数検知しました。そろそろ準備をお願いします』


 そんな混沌(カオス)な空気を読む事無く、戦闘態勢を取る様に言ってくるコーゼスト。


 お前は妙に冷淡(ドライ)だな!?


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


『──この先200メルトです。反応から甲虫類人(アンバーハルク)だと思われます。数は3体、(レベル)は65、順位(ランク)はA』


 コーゼストが相手の魔物の詳細な情報を告げてくる。気が付くとファウストも低い唸り声をあげていた。


「アンバーハルクって、確か……」


「体高2メルト程の亜人系の魔物だね。硬い甲殻に覆われた体を持ち、見た目は直立した甲虫(ビートル)だね。強い力と鋭い鉤爪(かぎづめ)を持ち近接戦闘に特化した魔物で、中には角や大顎(おおあご)を持つ個体も確認されているね」


 俺が答えようとしたらグラマスに先を越されてしまった。だが、まぁそう言う事である。

 これは(タンク)役である前衛に抑えてもらってから、後方から高火力の魔法なり遠距離からの武技(アーツ)で一気に叩くと言う形が良さそうである。


 なので皆んなの隊列を一部変更し、即応出来る様に態勢を整える俺。前衛はデュークと配下(サポーター)ゴーレム2体による文字通りの「壁」、2列目に俺とエリナとレオナ、その後ろにファウストとヤト、更にその後ろにアンとフェリピナとグラマス、ルアンジェとスサナはマルヴィナの直衛、殿(しんがり)はゾラに務めてもらう事にした。

 勿論グラマスを一時的にコーゼストの組織網(ネットワーク)に組み込んだ上で、である。そして程なくして──


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


『意外とデカいな』


 コーゼストの言う通り、進んだ先にはアンバーハルク3体が通路を彷徨(うろつ)いていた。だいたい体高2.3メルトぐらいか? 3体のうち1体は2.6メルト程あり更に40セルトほどの角が頭から1本生えていた。


『確かに──随分と大きな個体だね。恐らくはあの1本角が群れの統率者(リーダー)だと思うよ』


 俺の念話の(つぶや)きに、同じく念話で答えるグラマス。一時的にせよネットワークに組み込んだので念話も使えたりする。


『──再確認しました。あの1本角のアンバーハルクはレベル67あります。ランクはA+。残り2体は共にレベル64、ランクはA』


 コーゼストが更に精査した情報をここに来て提示する。どうやらこの迷宮内に展開されている()()()()の結界の影響でコーゼストの探知も本来の性能を発揮できないみたいである。


『だそうだグラマス。どうやらアンタが言った通りみたいだな』


『うん、冒険者ギルドに蓄えられた情報(データ)だったんだけど、覚えておいて良かったよ!』


 やたら自慢気なグラマスの声色(こわいろ)を聞いて、少し(おだ)ててみる俺。


『流石はグラマス、恐れ入ったよ』


『そうかい? えへへへへっ』


『んんッ、それでっ! この後どうするの?!』


 グラマスと念話で会話していたら急にアンの念話が割り込んで来た──何をそんなに怒っているんだ? 俺は疑問に思いつつも


『基本的には作戦に変更は無いな。デューク達が奴らを押さえ込んで、アンとエリナとファウストは向かって右側のを、レオナとフェリピナとヤトは真ん中のをそれぞれ頼む。俺とゾラとグラマスは左の1本角を倒す。スサナとルアンジェはマルヴィナを(まも)れ。マルヴィナは俺達全員に防御用の聖魔法を頼む』


 アン以下のメンバー達に念話で指示を送る。こうした時は念話なら一瞬で会話が成立するから便利である。因みにゾラには手話(ハンドサイン)だが。


『……わかったわ』


『ええ、任せて!』


『あたしらは真ん中だね?! わかったよ!』


『『『『了解!』』』』


『任せなさいっての!』


 それぞれがそれぞれの言葉で返事を返してくる。何だかアンだけ不機嫌な気がするのは気の所為(せい)か?


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 手早く指示をし終えると、静かにアンバーハルク達に接近する。魔導照明(ソーサリライト)仄暗(ほのぐら)い灯りが、その硬質な甲殻にぬらりと映り込んでいるのが見える。

 そうして10メルト程接近すると流石に此方に気付いたらしく、ガシャガシャと言う(アーマー)同士が()れる様な音を立てながら向かって来た──だが(すで)にコチラも準備万端である!


 3体のアンバーハルクの目の前に立ち塞がるデューク達ゴーレム3体! そのままガッシリと組み合うとアンバーハルク達の動きを封じる! 動きが封じられたアンバーハルク達にエリナとレオナが、それぞれ長剣(ロングソード)拳鍔(ナックルダスター)で攻撃を仕掛ける!

 それは飽くまでも相手の戦闘能力を(けず)る為の攻撃であって、そこにヤトとファウストが加わり更にアンバーハルク達の戦闘能力を()いで行く!

 俺も1本角のアンバーハルクの立派な角や鉤爪の付いた腕を切り落とす! そして!


「アン、フェリピナ、グラマス、今だ!」


「「「雷撃槍(ボルテックスランス)!」」」


 俺の掛け声と同時に3人とも虚空(こくう)に生み出した雷を(まと)った雷撃の槍をアンバーハルク目掛け解き放つ!


「デューク、退避だ!!」


 続けての俺の声に即座に反応して組み合いを解き、その巨体を()()()()()デューク達!

 そしてがら空きになったアンバーハルクの比較的柔らかい腹部や胸部に正確に突き刺さり、周囲に電撃を撒き散らす雷撃槍(ボルテックスランス)

 その虫の様な身体の肉が焦げる嫌な臭いと、白煙を上げてその場に(くずお)れるアンバーハルク!


 やがて電撃が止むとそこには、硬い甲殻と魔核(コア)のみを残しその身を灰にしたアンバーハルクの残骸だけが残ったのである。


「ふぅ……やれやれ」


 その姿を目の当たりにして(ようや)く戦闘態勢を解く俺。意外とあっさり倒せて良かったな…… 。


「ウィル君! やったよ! 僕、思い通りに魔法を制御出来たよ!」


 残心を解いた俺にそう喜びを爆発させながら感極まって抱き着いて来るグラマス──オルガ女史。ちょ、ちょっと待て!?! 抱き着かれると軽鎧(ライトアーマー)越しにグラマスの身体の柔らかい感触が伝わって来て、落ち着いていた鼓動が跳ね上がるんだが!?


「「「「「「「あああーーー!?」」」」」」」


 その様子に見事に声を重ねて(ハモらせて)叫び声を上げるアン達と何故かヤト!


『これは──修羅場決定ですね』


 ふよふよ浮遊しているコーゼストが何らや楽しげにそう(のたま)う。


 何だよ、修羅場って?!?



何とか最初の修羅場は回避出来ましたが、結局修羅場が巡って来るウィルなのでした! 含みのあるグラマスの台詞が更に拍車を掛けて……これって収拾が付くのでしょうか?!


*オルガ・ロラ・セルギウス…………グラマス(セルギウス・ライナルト)の本名。


甲虫類人(アンバーハルク)…………体高2メルト程の亜人系の魔物。硬い甲殻に覆われた体を持ち、見た目は直立した甲虫(ビートル)。強い力と鋭い鉤爪(かぎづめ)を持ち近接戦闘に特化した魔物で、中には角や大顎(おおあご)を持つ個体も確認されている。通常は単体で行動する個体が多い。


☆manakayuinoさんに描いていただいたラファエル家の毒舌メイド、ノーリーンのイラストを第21本編二十話に掲載しました! manakayuinoさん、素敵なイラストをありがとうございました!


いつもお読みいただきありがとうございます。

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