海辺の休暇、色とりどり
本日は第百三十九話を投稿します!
今回は何も言いません!お読みいただければ(笑)
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紺碧の空に湧き上がる白い雲。何処までも澄んでいて何処までも高い。そして目の前に拡がるのは一面の蒼い海と白い砂浜。水面で砕けた波に太陽がちかちかと反射している。
「良い天気だな、正に行楽日和」
『まあ単に余暇なだけなんですけどね』
「うるせぇぞ、コーゼスト」
仕方ないだろ、する事が無いんだから!!
実の所『伍の群島』からオーリーフに帰って来て、視察(笑)の状況をマディとジータそしてセルギウス殿に説明した俺達は、『大海の剣』への補給が終わるまでの間、休暇にさせられた。
まぁ船の事はさっぱりなので慣れている人に任せるべきだし、何よりグラマスから「たまには何も考えず羽根を伸ばして来なよ」と半ば追い出される格好になってしまったのである。と言うかグラマス、アンタは何時休んでいるんだ?!
兎にも角にもそう言う訳でやる事が無い俺達はオーリーフ島にある王族の管理する海岸で1泊しながら遊ぶ事にしたのである。因みに暇なので皆んなで戦闘訓練をしようとしたらグラマスに笑顔で止められたのは言うまでもない。
あの笑顔は物凄く怖かったのを今でも思い出す。
まあ考えたら今までも折角の休みの日にギルドの修練場か屋敷の裏庭で戦闘訓練をしていたのだし、この際何年か振りに本格的な休みを取っても構わないだろう──留守番組には申し訳ないけど。
「綺麗な海ね、風が心地良いわ」
傍に立つアンがそんな感想を漏らす。精霊を認識する事が出来る彼女は小さな声で何かを話している様である。
「ここに住む精霊達もとても穏やかな子達だわ」
ひと通り話したあと、そう嬉しそうに言葉を零すアン。
「やっぱり水精霊や風精霊なのか?」
それを聞いた俺の問い掛けに首をふるふる振ると
「ううん、シルフと海精霊よ。2人ともとても良い子なの」
そう言いながら本当に楽しげに話すアン。そこはやはり精霊と縁が深い涅森精霊なのだと思う俺なのであった。
「そんな事より泳ぎましょうよ、ウィル!」
俺の思考を断ち切る様に腕を取り、そうせがんで来るアン。
俺は若干の苦笑いを浮かべるとアンと腕を組んで、皆んなが居る宿泊施設に向かうのだった。
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コテージで水着に着替えて浜辺に改めて出る。勿論アン達も着替えているのだが……確かに向こうで準備していた時に女性陣は色々と水着の話に花を咲かせていたな。お陰で横で聞いていた俺はすっかり詳しくなってしまったが。だけど準備の際には水着など無かった筈だが? と聞けば「レーヌで貴方にこっそり買った」のだとはアンの台詞である。
そのアンだが深緑色の水着を着ている。筒状の胸押さえの上に、少し布面積が少なめで脚の付け根の部分のカットが深い下、何でもバンドゥビキニと言うらしい。正直アンの美しいスタイルと丁子色の肌に合っていて、何と言うか眼福である。
「ねぇどう、似合っているかしら?」
「あ、ああ、とても似合っているよ。綺麗だ」
黙って見詰めているとアンが上目遣いで尋ねて来て、思ったままの事を答える。するとアンは「うふふっ、嬉しい♡」と笑顔を見せ、そのまま撓垂れ掛かって来る。その仕草にドキッと胸が跳ねる俺。
「ウィル♡」
アンとそんな風にしていたら背後から声が掛けられ振り向くと水着に着替えたエリナが少し恥ずかしげな面持ちで立っていた。トップスの紐が首の後ろで結ばれているホルターネックのトップスと、やはり布面積が少なめでカットが深いボトムスとのセットの臙脂色のビキニを身に纏っているエリナ。金髪の金色と白い肌が際立っていて、しかも大きめの双丘が程よく自己主張している。
「ど、どうかしら? へ、変じゃない?」
「う、うん、良く似合っているよ。素敵だ」
恥ずかしげに頬を赤らめ尋ねて来るエリナにドキッとしながら返事を返すと、「うふふふっ♡」ととても嬉しそうな顔を見せ俺の腕に自分の腕を絡めるエリナ。こちらも色々眼福である。
「ウィルーーーッ!」
2人の艷麗な姿態に胸が高鳴っているとコテージからもう1人凄いのが手を振りながらこちらに駆けてきた。言わずと知れたレオナである。
黒い布地が縦長で首から胸、そして臍の横を通ってボトムスまで左右に二分割され、横につながる部分が首と腰しか無い。まるで投石器みたいである。隠す部位がトップスもボトムスもギリギリな感じの水着で駆け寄って来るので、自己主張の激しい双丘が色々揺れていて色々危ない。危ないと言うより危険である──等と駆け寄って来るレオナを見て思わず冷静に解説をしている自分が居て、思わず自分に突っ込みを入れる俺。アンもエリナもレオナを見て顔が引き攣っている。
「はぁ、はぁ、はぁ、ど、どうだいウィル、あたしの水着姿は?」
「あ、ああ、何と言うか……破壊力抜群だな」
「ん?」
「あ、いや、その、だ、大胆な水着だな。レオナに良く似合っているよ」
レオナの問い掛けについ正直に答えてしまう俺。怪訝そうな顔をするレオナに慌てて言い直す。するとレオナは「えへへへへぇ♡」と一転ご機嫌な様子になり抱き着いて来る。
そんなレオナの肢体をチラ見する俺。何と言うか眼福を通り越し、このまま天に召されそうである。
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「ウィル」
3人の婚約者の水着姿に見蕩れていると、またもや背後から声が。振り向くとそこに居たのはルアンジェだった。トップスとボトムスが繋がった所謂ワンピースの白い水着を着ている。下のカットが事の他深く、意外とボリュームのある双丘が自己主張している。それでも色気より清楚な感じがするのはルアンジェだからか?
「──こうしたのは初めて着たけど、上手く着れている?」
そう言って小首を傾げるルアンジェ。その仕草はもう殆どヒトである。
「ああ、良く似合っているぞルアンジェ」
「ん」
素直な気持ちで褒めながら頭を撫でると嬉しそうに顔を綻ばせるルアンジェ。こうして見ると普通の年頃の女の子と大差ないと感じる。アン達もそんなルアンジェを微笑ましく思っているらしく優しげな目を向けている。
実際に親になったらこんな気分なのか……な。
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「「「ウィルさぁーーん!」」」
そんなほのぼのとした空気感の中、今度はフェリピナとマルヴィナとスサナの3人がコテージからこちらに駆けてくるのが見えた。何と言うか、あの3人は何時も一緒に行動している気がするんだが? そんな事を思っている間に駆け寄って来た3人。
「ど、どうですか? 私達の水着は?」
「あの、似合っていますか?」
「あっ、あのぉ、これでも頑張ったんですよぉ?」
順番にフェリピナ、マルヴィナ、スサナが口々に自分達の水着の感想を俺に求めて来る。
因みにフェリピナは浅葱色のカットが少し深い、背中にリボンがあるワンピースの水着、マルヴィナはトップスとボトムスが前で上下繋がっていて、一見普通のワンピースかと思うと背中側から見ると上下別れたビキニに見えるモノニキなるこれまたカットが少し深い白い水着、スサナは短いタンクトップみたいなトップスと浅股上のボトムスとの桃色のセパレートなる水着と、正に三者三様である。特にスサナは尻尾がある関係上仕方ないのだろうが、お尻が見えそうなんだが?!
そんな思いも知らず期待に満ちた目で見て来る3人。何と言うかワンコが褒められるのを待っているみたいである──スサナは猫だけど。
「あーっと、3人とも良く似合っているぞ。うん」
とりあえず当たり障りの無い言葉を掛ける俺。それを聞いて「キャーッ♡」と歓喜の声を上げる3人。女3人と鵞鳥1羽で市が出来るとは良く言ったもんである。
『しかし本当に詳しくなりましたね、女性の水着に』
定位置の左肩の上でボソリと呟くコーゼスト。
「そんな事言われてもなぁ……流石に何十回と聞かされると覚えるもんだゾ? 「聖人の侍女は聖句を口ずさむ」とも言うしな」
『上手い言い訳ですね』
何だ、その言い草は?!
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「お兄ちゃーーーん!」
「御主人様ーーーッ!」
そんな姦しい3人とコーゼストを相手にしていたら、三度後ろから声が。振り向くとマーユがヤトと一緒にコテージからこちらに向かって手を振りながら来る所だった。
マーユは肩口や裾回りにフリルが付いた橙色のワンピース、ヤトは何時もの赤いトップスから黒のトップスに替えている──と言うかヤト、お前も水着を買ったのか?!
「えへへっ、似合ってるかな、お兄ちゃん?」
俺の目の前に来るとくるりと回って見せ、感想を聞いてくるマーユ。
「うん、とっても似合っているな。可愛いぞマーユ」
そう言ってマーユの頭をくしゃりと撫でる俺。青緑色の髪の毛がさらさらである。
「えへへへへぇ」
一方撫でられるマーユは御満悦である。うちの女性達も「キャーッ、可愛い♡」と歓声をあげている。と言うか君達、いつもそれ言ってません?
そんな事をチラリと思ったりしながらマーユを撫でていたら
「ねェ御主人様〜、私も〜!」
そう言って頭をこちらに差し出して来るヤト──お前は何を張り合っているんだ? そうココロの中で突っ込みを入れながらもマーユに続きヤトの頭も撫でてやる。赤金色の髪の毛は意外と触り心地が良い。撫でられるヤトは金色の瞳を気持ち良さそうに閉じていたが
「ああ〜ん、御主人様。大好きよぅ♡」
何やら感極まって抱き着いて来る。何と言うか航海中はあまり呼び出して無かった分、甘え方が半端ない気がする。
これは後でファウストやデュークも呼び出しておいた方がいいな…… 。
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「と、とにかくだ。これで全員揃ったな」
ベッタリ抱き着いていたヤトを何とか引き剥がし、皆んなに一応確認する俺。皆んな口々に「はーい!」と元気良く答える。
因みにマディは摂政のヨエルさんから「ちゃんと女王としての仕事をしてください」と言われ、宮殿に軟禁状態になっている。そらまあ約ひと月も公務を放り出して西方大陸に渡っていたのだ。その間のヨエルさんの苦労は察して余りある。そしてジータは『伍の群島』で監督をしている。
『2人とも自業自得と言うんですけどね』
「いや、お前がそれを言うか?!」
自分の事を棚に上げそんな事を宣うコーゼストに突っ込む俺。お前は一度自分を省みた方が良いと思うぞ?!
『では私もレジャーとやらを楽しむ事にしたいと思います』
俺の突っ込みを無視するコーゼスト。何をする気かと思っていたらコーゼストの妖精姿の身体が輝き出した! その輝きは見る間に160セルトの大きさになり輝きが薄れると──
『この姿も久しぶりになりますね』
本来の姿になったコーゼストが立っていた。しかも濃紺色のカットが浅いワンピース水着を着て。
「な、な、何なんだ、その格好は?!」
『何をって……泳ぐんですが? その為の水着です』
何を言っているみたいな顔で当然の如く宣うコーゼスト。無駄に大きな双丘の胸元には大きく『こーぜすと』と書いてある布が貼り付けてある。
「泳げるのか、お前?」
『そこは当然、私の行動範囲は半径2メルトなのでマスターに海に入っていただかないといけませんが、泳ぐ真似なら出来ます』
「アア……サイデスカ」
一連のやり取りにどっと疲れを感じる。そういやコイツはこう言う奴だった! どんよりしながら後ろを振り向くとアン達が顔を引き攣らせてこちらを見ていた。頼むから少しぐらい支援して欲しいものである。
俺は少し落ち込みそうになるが気持ちを切り替え
「よ、良し! それじゃあ皆んな泳ごうか?!」
と大きな声を張り上げる。その声に我に返ったアン達も「そうね、楽しまないと!」と身体を軽く解すと銘銘に海に入って行った。
俺は少し遅れて海へと歩みを進める。海の中ではアンやエリナやレオナが手招きしている。折角の休暇なんだ、俺も楽しまないとな!
それにしても……少しはコーゼストの奇行に耐性が付いてきたのかね?
今回はウィル達のバカンスの一日でした! 色々とサービスショット満載でしたが、お楽しみいただけましたか?
*女3人と鵞鳥1羽で市が出来る…………女三人寄れば姦しいと同じ例え。
* 聖人の侍女は聖句を口ずさむ…………門前の小僧習わぬ経を読むと同じ例え。
☆次回投稿より投稿時間が午前10時から午前8時に変更します。お間違えの無いように!
☆第96部本編九十一話にウィルの2人目の婚約者、manakayuinoさん作のエリナベルのイラストを掲載しました!
お読みいただきありがとうございます。




