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なぜか俺のヒザに毎朝ラスボスが(日替わりで)乗るんだが?  作者: 逢坂 蒼
新氏族と新ヨメと面倒臭い晩餐会編!
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晩餐会支度 〜身拵えは高くつく〜

本日は第百十九話を投稿します! 屋敷を賜ってようやく生活が落ち着いてきたウィルを襲う新たな危機(?)


▽本日はもう一話、第百二十話も投稿しています△

 -119-


「──はいっ、これで受諾(じゅだく)されました!」


 受付帳場(カウンター)のルピィが笑顔を見せる。今日は久しぶりにラーナルー市の冒険者ギルドを訪れていた。ギルドにコーゼストの口座を作る為である。


『ありがとうございます。ルピィ』


「済まなかったな、ルピィ」


「いいえ、どういたしましてっ! これくらいお安いい御用ですよ、ア・ナ・タ♡」


 何故コーゼストの口座を作ったかと言うと、それは勿論フォールスェン・ジニアの収入の為である。


 ラファエルとの共同開発者として作ったフォールスェン・ジニアと言う謎の技術者(と言う通名)で得られる魔道具の利益を受け取る為にはコーゼストが自分の口座を持っていた方が良いからだ。それと今まで俺の口座に振り込まれていた発毛薬の利鞘(マージン)も今回からコーゼストの口座に振り込まれる様に手続きもしたのは言うまでもない。


 どうでもいいが俺とルピィの一連のやり取りを見ている他の冒険者達の視線が痛いんだが?


「ねぇウィル! 一緒に帰らない?」


 そんな視線を(わず)わしく感じていると、ルピィが目を輝かせながら甘える様な言葉を掛けて来る。


「ん? もう終わりなのか?」


 (すで)午下(ごか)もだいぶ過ぎてはいるが、仕事はいいのだろうか?


「今日は早出だったからね、もう大丈夫よ! ね、一緒に帰りましょう♡」


 ルピィの並びに座っているギルド職員の方に顔を向けると笑顔で頷いていた。


「わかった。それなら帰るとするか」


「ちょっと待ってて! 直ぐに支度して来るから!」


 そう言うが早い、近くにいた職員に二言三言(ふたことみこと)声を掛けると更衣室に向かい、着替えて急いで出てくるルピィ。


「お待たせ♡」


「いや……(ほとん)ど待っていないが」


『物凄い速度で着替えましたね』


 俺とコーゼストの突っ込みなど何処(どこ)吹く風、俺の右腕に自分の腕を(から)めて来るルピィ。


「さぁ、帰りましょ? ア・ナ・タ♡」


 周りの何とも言えない視線を物ともせず、ルピィが甘い声を出して(うなが)してくる。猛烈に魅惑(アピール)して来るルピィと共にギルドを出て俺は帰路についた。


 あとから聞いた話だと、あの(あと)何人かの冒険者が血の涙を流していたらしい──何かすまん。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 その(のち)迷宮(ダンジョン)に潜る事を繰り返し、レオナ達も順調に(レベル)を上げていき、スサナとアリストフの2人も無事にAクラスに昇級(クラスアップ)する事が出来た。そして俺が屋敷を(たまわ)ってから半年になろうとしていた時── 。


「お披露目会?」


『ああ、そうなんだ』


 遠方対話機(テレ・チャット)の向こうからそう教えてくれたのはセルギウス(グラマス)殿。コーゼストが作製したテレ・チャットはちゃんとグラマス殿とギルマス(ヒギンズのおっさん)に渡してあるので、こうした時には便利である。あとはたまたま屋敷に居た時で助かった。


『元々貴族の社交の一環として、新しく貴族となった人は先達(せんだつ)の貴族と親睦を深める為に、社交会(パーティー)を最低でも年1回開催しないといけないんだけど、ウィル君みたいに屋敷を(たま)っている場合は自身の屋敷のお披露目会──展観会(アナウンスメント)も兼ねるんだよ。そしてその展観会は屋敷を賜ってから半年と言う暗黙のルールがあるのさ。あとふた月で半年になるし、主要な貴族に案内状を出しておかないといけないからね』


 丁寧な説明をしてくれるグラマス殿。しかし貴族とは本当に面倒くさいものである。給金を貰っていて言うのも何だが。


「そんな事があるのか……」


『まぁウィル君は生家が伯爵家だけど、そうした事にはウィル君自身縁が無かったみたいだし知らなくても当然かな?』


「なんにせよ貴重な情報をありがとうグラマス。正直助かった」


『なんのなんの、僕も曲がりなりにも先達なんだし何よりもギルドの最高統括責任者(グランドマスター)だからね、そうした支援(フォロー)もしないとね』


 グラマスはなんの事は無いと笑うが、こちらとしては大助かりである。正直貴族の知り合いなんて国王陛下とアドルフィーネとグラマス以外だと、ネヴァヤ女史とギルマス(ヒギンズのおっさん)ぐらい……って結構いるのか?! そこまで考えると1つの疑問に思い(いた)り俺はグラマスに聞いてみる事にした。


「グラマス、ひとつ質問なんだが……国王陛下に案内状を出しても良いんだろうか?」


『伯爵位以上の貴族なら基本、国王陛下にお越しいただくのは(なん)ら問題は無いね。と言うか陛下はキミからの案内状を待ち望んでいるからね』


「えっ……?」


 グラマスの言葉を聞いて絶句する俺。何となくだがエリンクス国王陛下が満面の笑みで催促している絵が頭に浮かぶ。


『まぁ陛下には僕から手渡しておくし、関係する貴族の名簿(リスト)も提供するから案内状を書くのを頑張ってくれたまえ』


「お、おぅ……」


 そう言って話を終えるグラマス。リストはこの(あと)直ぐにギルドの転移陣(ポータル)で送ってくれるらしい。早速うちの完璧家令(パーフェクト・スチュワード)のシモンと相談するか………… 。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「国王陛下をお招きしてお披露目会?!」


 アンが驚いて(たず)ねて来る。氏族(クラン)の皆んなも驚いているみたいである。グラマスから連絡があった日の午下、夕食で食堂に皆んな集まったのを見計らって展観会の事を話して聞かせた結果、この様な反応になった。そんななかルピィだけは


「それで今日、グラマスから書類がウィル(あて)に送られて来たのね」


 と1人納得したみたいである。


「ああ、その書類はグラマスが(まと)めてくれた関係する貴族のリストだったんだよ。そのリストは既にシモンに渡してある」


「はい。旦那様からお預かりしたリストから早速案内状を書き始めておりますし、ご近隣にお配りする案内状も同様に進めております。それに併せ饗応(きょうおう)の準備も進めております」


 ルピィの言葉に俺は状況を答え、シモンはそれに補足説明を続ける。因みにシモンは貴族の()()()()()()()知っていたらしく事前準備を整えており、俺から話しがあれば直ぐに対応出来る様にはなっていた。(もっと)も国王陛下を招く事は流石に想定していなかったらしく驚いていたが。


「まぁ兎にも角にもふた月後に展観会を兼ねた晩餐会だから、皆んなも準備をしておいてくれ」


 俺がそう言うとエリナが手を挙げ


「そうすると私達もドレスとか新調しないといけないんじゃない?」


 と意見を述べ、それを聞いたメンバー達がざわめく。


「そうか、それがあるな……何処(どこ)かそうしたドレスとかの(たぐ)いを扱う店が有ればいいんだが……」


 あいにく俺はそうした店には(うと)いからどうしたもんだか…… 。


 俺が思いを巡らせていると給仕をしていた侍女(メイド)のフィリスがおずおずと手を挙げた。


「あの旦那様」


「フィリス、どうした?」


 俺はフィリスに手を向け発言を(うなが)す。


「は、はいっ! あの、私の家が大きな服飾店をやっているんです。もしよかったら両親に頼みましょうか?」


 詳しく聞いてみると──フィリスの家はスィームシルキーと言う服飾店(ドレスショップ)を営んでいるのだそうだ。本店は王都にある老舗でフィリスの両親の店は支店なのだそうだ。腕の良い縫子(ぬいこ)も大勢居るらしく、この屋敷がある第三層区画(高級住宅地)のご婦人達の御用達なのだそうだ。


「『スィームシルキー』なら知っているわ! 王都でも有名なお店なのよっ! いつかは行ってみたいと思っていたのよね〜」


 フィリスの話を聞いてルピィがやや興奮したみたいに言ってくる。


「そうか……それならフィリスの店にお願いするか。フィリス、頼めるか?」


「は、はいっ! お任せください!」


 俺の依頼を聞いて少し緊張しながらも元気良く返事を返すフィリス。善は急げと言う事でフィリスには早速家に戻って話をしてきてもらった。


 これは(しばら)くダンジョンに潜っている暇が無くなりそうである。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 翌日さっそくドレスショップ『スィームシルキー』に出向いた。女性メンバー達は勿論、フィリスも(ともな)ってである。


「ようこそいらっしゃいました、ウィルフレド様。私がフィリスの父のガヴィーノ・オーダムです」


「初めまして、私がフィリスの母のセシルです。いつも娘がお世話になっております」


 店の中に案内されるとフィリスの両親が挨拶をしてきた。2人とも壮年の働き盛りと言った所だろうか? なかなか腰が低く好印象を受ける。だが次には


「おおフィリス! 良くぞ奉公先の旦那様を紹介してくれた!」


「ええ、こんな大口の取引は滅多に無いわ!」


 と俺達に挨拶もそこそこにフィリスに声を掛ける2人。なかなかの商売人夫婦である。フィリスは「と、父さん母さん!」と顔を真っ赤にしながらワタワタしていたが。


「あーっと、早速だがパーティードレスを仕立てるのは彼女達なんだが」


 とりあえず親子の会話は無視(スルー)して、後ろにいるアン達に手を向ける。今回ドレスを仕立てるのは……アン、エリナ、ルピィ、レオナ、ルアンジェ、ベルタ、ユーニス、フェリピナ、マルヴィナ、スサナ、ルネリートの全部で11人なのだが、改めて全員(そろ)うと結構な人数である。


「わかりました! おーい、皆んな来てくれー!」


 ガヴィーノが手をパンパンッと叩くと、店の奥から縫子と(おぼ)しき女性がワラワラと出てきてアン達に貼り付き、手早く皆んなの三位寸法(スリーサイズ)を採寸する者、それ等をキチンと記帳(メモ)する者、アン達1人ひとりに幾つかの色味の布地を合わせる者、アン達の要望を余すこと無くメモする者とに分かれ、あっという間に話しが纏まっていく。流石はその道の専門家(プロ)である。


 やがてガヴィーノの手元にメモが纏められた採寸表が渡され、それ等に目を通したガヴィーノは予定を口にする。


「ふむふむ、これなら……4人の方は特別誂え(スペシャルオーダー)として、全ての仕立て上がりはひと月と言う所でしょうか?」


 4人とは勿論俺の婚約者達の事である。


「ああ、それで構わない。お願いする」


「はい! 確かに(うけたまわ)りました! こちらこそよろしくお願いします!」


 俺は改めて仕事を依頼し、ガヴィーノとセシルが意気込んで返事を返す。店員の縫子達も声を揃えて「よろしくお願いします!」と元気の良い声を上げる。


 俺はコーゼストの無限収納(インベントリ)から前金として金貨30枚を出して支払いを済ませる。あとはドレスが完成してから支払う事になっている──その額、金貨40枚。改めて思うのだが、女性の服飾はやたら(かね)が掛かるものである。


 またそれとは別に俺とアリストフも『スィームシルキー』でそれぞれ燕尾服(テールコート)正装(フォーマル)のローブを仕立てる事にしてあり、明日改めて来店する事になっている。因みに其方(そちら)の金額は合わせて金貨7枚──如何(いか)に女性陣が掛かるか判ろうと言うものである。まぁ一応は掛かるだろうと思い、多めに準備して来たので慌てる事は無いが。


 因みに──ギルドでコーゼストの口座を開設した時に自分の口座も確認したのだが、国王陛下から毎月貴族としての給金を受け取っているので、冒険者としての収入と併せて信じられない程の金額が預けられていた! 正直冒険者を辞めても大丈夫な程──辞めたりはしないけど。


『マスターは楽隠居出来ない性格ですね』


 コーゼストが俺の肩の上でボソリと(つぶや)く。


 俺はまだ若いぞ、コーゼスト!?



新たな危機は屋敷のお披露目会の事でした! それにしてもいつの世も女性の身拵えには出費がかさみます。

そして意外と稼いでいたウィル。まあ冒険者としての収入に貴族としての給金が加算されていますからね!


△今日はもう一話、百二十話も投稿しています。そちらもお読み下さい▽


☆第64部本編六十話にてイラストレーターnyazさん作のサブヒロイン(?)の1人、ラミアのヤトのイラストを載せました! 過去作品を振り返る意味も込めて是非見て下さい!


☆「魔法と銃との異界譚 〜Tales of magic and guns〜」をなろうとノベプラにて連載中!

近未来の地球の民間軍事会社の傭兵クリスと異界から来た大魔導師のルーツィアの2人が主人公の冒険活劇です!


なろう→http://book1.adouzi.eu.org/n0259fr/


ノベルアッププラス→http://novelup.plus/story/529278724


こちらも是非御一読下さい!



お読みいただきありがとうございます!



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