迷宮探索、現るは4人目の嫁候補?
本日は第百十六話を投稿します!
久しぶりに「魔王の庭」に潜ったウィル達。でもいつものチーム分けではありません。そしてその事が波乱を…… ?
▽今日は第百十五話も投稿しています△
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鬼族の群れが錆びた両手剣や棍棒を振りかざし襲い掛かって来る! その後ろには魔法を準備している女鬼族の姿が!
「デューク! スクルド!」
俺の叫びに2体のゴーレム、デュークとスクルドが前に出てオーガを押し留める!
「レオナ、スサナ、行くぞ!!」
「おぅ!」
「は、はい!」
俺はカイトシールドと剣を構え先頭に立ち、デューク達が押し留めているオーガに突っ込んで行く! その後ろにはレオナとスサナが!
レオナの両掌には拳鍔が握られ星銀の蒼い輝きを放ち、スサナの両手には刀身が「く」の字の様に湾曲した短剣が握られ、同じく蒼い輝きを放っていた! レオナのナックルダスターもスサナのグルカナイフもドゥイリオ謹製であるのは言うまでもない。
後方ではフェリピナが詠唱を終え、ルネリートが弓に矢を番え何時でも放てる様に待ち構えている。更にその後ろではマルヴィナが強化魔法『大地加護』を、アリストフが聖魔法『光の神壁』をそれぞれ発動させていて、強化と護りの輝きが俺達全員を包み込む!
「うおおおおぉ!」
「せいや!!」
「えぇい!」
「ゴガァァァァ!?」
俺のロングソードがオーガを一撃で斬り伏せ、レオナの拳と蹴りがオーガの骨を急所を打ち砕き、スサナのグルカナイフがオーガの首筋を深く切り裂く!
その後ろにいるオーガはフェリピナの炎槍を受け、胸や腹に大きな風穴を穿かれ絶命し、更にその後ろのオーグレスはルネリートの放った矢を身体や額に受け倒れ伏していた!
そして最後に残ったオーガはデュークとスクルドの繰り出した金属槍に貫かれ断末魔の咆哮を上げ、光の粒子になる!
斃されたオーガ達が全て光の粒子になり消えていくのを確認して、俺は構えを解いた。他のメンバー達も緊張を解いていく。
「ふぅ、皆んな怪我は無いか?」
「あたしは大丈夫さ!」
「はぁい、私も大丈夫ですよぉ」
「あ、私も怪我してません!」
「えと、私もっ!」
「私達も問題ありません。ね、アリストフさん?」
「は、ハイ! ぼ、僕も大丈夫です!」
俺の安否確認に各々答えるメンバー達。今回は何時もの分隊では無く、俺はレオナ、フェリピナ、マルヴィナ、ルネリート、スサナ、アリストフの6人とデューク、スクルドとチームを組み「魔王の庭」の第六階層に潜っていた。勿論格上げを優先的にする為である。因みに残りのメンバー、アン、エリナ、ルアンジェ、ベルタ、ユーニスのチームにはファウスト、ヤトを付け別行動を取らせていた。
「そうか……なら魔核を回収して……」
そう言おうとしたら視線の先でスサナが既にコアを回収して回っていた。まるでコアにじゃれついている猫みたいに見え、うちで飼っていたフェルロットを思い出す。
「はい、ウィルさん。コアは全部回収しましたよぉ」
そんな失礼な事を考えていたら、あっという間に集めたコアを抱えて持って来るスサナ。
「あ、ああ、ありがとうスサナ」
にぱぁと笑顔を浮かべるスサナの頭をつい撫でてしまう。こうして見ると猫と言うより犬っぽい──本人には言えないが。
そんな事をしながら、後ろにいる他のメンバーの生暖かい視線を感じる!
「よ、よし、先に進むぞ!」
俺は受け取ったコアを無限収納に仕舞いながら、敢えて大声を出して先に立ち歩き始めた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
それから暫く経ち、不意に遠方対話機が呼び出し音を鳴らした。急いで腰袋から取り出し、釦を押して話し始める。
「ウィルだ」
『ウィル、聞こえる? アンよ』
テレ・チャットから聞こえて来たのはアンの声であった。
「何だ、どうしたんだ?」
『ええと、定期連絡よ。こちらは第五階層を順調に探索中。今の所は特に問題無し。全員元気よ、ヤトは貴方に会いたがっているけど……其方はどうかしら?』
「こっちも今の所は順調だな。皆んな良くやってくれている。とりあえずあと1週間程したら近くの転移陣で一旦地上に戻る予定だ」
『わかったわ。では私達も其方に合わせて1週間後に帰還するわね。転移陣に着いたら連絡して』
「了解。必ず連絡する。そっちも何かあったら直ぐに連絡してくれよ?」
『ええ、それじゃあまた。次の定期連絡の時まで一旦お別れね』
「──アン」
『なに?』
「気を付けてな」
『貴方もね♡』
やがて会話が終わりテレ・チャットから淡い輝きが消える。
「あっちの方も順調みたいだね」
いつの間にか俺の後ろからレオナが近付いて来て、背中越しに話し掛けて来た。どうでも良いんだが何か近過ぎないか?
「ああ、向こうは皆んなレベルが高いメンバーだからな。それにファウストと、何と言ってもヤトが居るから余程の事が無い限り大丈夫の筈だ」
そう言いながらそっと距離を置く俺。
「つまり、ラミアのお姉ちゃんは保険って訳か」
「勿論アンもエリナも強いけどな。何も無ければそれに越したことはない」
「まぁ、ね。冒険者なんてのは少し慎重なのが長生きするとも言うしね。その辺、ウィルなら間違いなく長生きするかもね!」
そう言うと俺の肩をバシッと力強く叩くレオナ! 拳闘士の力で叩かれると物凄く痛いんだが?!? ひとこと文句を言おうと振り返ると、黒瑪瑙の様な黒い瞳の鼻筋が通った少し日焼けした顔が超近接で目の前に!?!
「!? うぉい?! 近いよレオナ!」
「? あ、ああ、ごめんごめん」
謝りながらも、ジーッと俺の顔を覗き込むのをやめないレオナ。
「な、なんだ……?」
「いや、ウィルって良く見ると中々いいオトコだなぁ、って思って」
「な、な、何言ってる!」
そんな事を面と向かって言われても反応に困るわ! こちとら言われ慣れていないんだよ!!
俺が自分でも判るくらい慌てふためくと「あはははは!」と笑いながらレオナは離れていった。巫山戯るにしても大概にして欲しいものである。
正直言って心臓に悪い!
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『前方150メルト先に魔物の反応有り。反応から推測して斧嘴鳥だと思われます。数は5』
「魔王の庭」を更に進み数度の戦闘と幾つかのパーティーと会合して、そろそろ第六階層も3分の1の行程に達したと思われる頃、コーゼストが魔物を発見した。
「150メルトか……その辺には避難所があるみたいだが……」
水晶地図板に表示される地図に目を通し、コーゼストに確認する。
『はい。魔物の反応の先18メルトにセーフエリアがありますね。そろそろアンとの約束の1週間ですが、そこから戻りますか?』
「ああ、時間的には丁度良いだろう」
『わかりました。「魔王の庭」に潜ってほぼ1ヶ月経過していますし、宜しいかと思います』
コーゼストとのやり取りを終え、皆んなの方を振り向き
「聞いての通りだ。この先の魔物を倒したら一旦地上に戻るぞ。皆んな、最後まで気を抜くなよ?」
俺はそう言葉をかける。それを聞き皆んなは一様に頷き、戦闘態勢を取ると先に歩を進めた。そして──
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「クケェェェェェ!」
斧の様な嘴を振り翳す様に襲い掛かる斧嘴鳥! 体高2メルトから振り下ろされる嘴の一撃は要注意であるが!
「デューク、スクルド! 抑えろ!!」
俺の掛け声にデュークとスクルドは左右に別れ突っ込んでくるアックスビークを抑え込む!
中央を突出して来るアックスビークの嘴の一撃を俺がカイトシールドで受け止めると、背後からルネリートの放った矢がアックスビークの無防備な眼や太い脚に突き刺さる!
「グゲゲッ?!」
「──猛き風よ、刃となれ『烈風斬刃』!」
矢を受け怯むアックスビーク目掛け、フェリピナの魔法が解き放たれる! 可視化されるほどの空気の刃がアックスビークの首を跳ね飛ばす! 頭を失って噴き出した血が俺の身体を汚していくが、そんな事など構わず次のアックスビーク目掛け走る! 左右のアックスビークはそれぞれ、レオナとスサナがデュークとスクルドと連係して斃していた、あと残り2匹!
俺はロングソードを構えると、奇声を上げ嘴を振り回す2匹のアックスビーク目掛け武技を放った!
「『断兇』!」
放たれた一閃がアックスビークの嘴を切り飛ばす! だがもう一度!!
「クキャアァ?!」
「クコォォォ!?」
自身達の身に何が起きたか理解出来ず混乱するアックスビークに、レオナの拳とスサナのグルカナイフがそれぞれ深手を負わせる!
「「──光輪よ、罪深き者を断ぜよ『光輪断罪刄』!」」
強化魔法と聖魔法を唱え終わっていたマルヴィナとアリストフが神官職が使える数少ない攻撃魔法を同時に発動させる! それぞれが掲げる槌矛の先端が光り輝き、光輪が放たれアックスビークの首を跳ね飛ばした! そのまま身体を大きく痙攣させると音を立て倒れ伏すアックスビーク!
今まで常時回復しか使えなかったアリストフも、コーゼストと先輩冒険者のマルヴィナからの薫陶を受け数種類の聖魔法を熟せる様になっており、その成果は御覧の通りである。
やがて全てのアックスビークの死骸が光の粒子になって消えると
『お見事です』
コーゼストが短く賞賛の言葉を発して、皆んなは各々戦闘態勢を解いて息をつく。残されたコアはスサナが手早く回収してくれている一方で、俺はマルヴィナから清浄魔法を掛けて貰い、アックスビークの返り血を落としていた。
「ウィルさん、これで全部ですぅ」
「ああ、ありがとうスサナ」
俺の汚れ落としを待ってスサナが集めたコアを持って来た。俺はそれを受け取るとインベントリに仕舞いながら、ふとスサナの方を見ると何故か頭を俺の方に突き出す姿勢を取っているのが見えた。
『マスター、どうやらスサナは褒美を御所望みたいですよ』
肩の上でコーゼストがニヨニヨしながら俺の耳元で囁く。その言葉で気付いた俺は今まで何度かしていた通りに、スサナの頭に手を乗せると優しく撫でてやったのだ。するとスサナから「にゃー♡」と御機嫌みたいな声が聞こえ、尻尾を見るとピンと立っていた。どうやら御機嫌なのは間違いないみたいである。
とりあえず一頻り頭を撫でるとスサナは「ありがとうございますぅ」と満面の笑みを見せた。何度も言うが母さんが飼っていたフェルロットを幻視するのは何故だろう?
「そっちはもう終わったのかい?」
視線を感じ振り向くと、ニヤニヤしたレオナと何とも言えない顔をしているフェリピナ達がこちらを見ていた。しまった! つい撫でるのに夢中になっていた! レオナ達の所に戻ったスサナは皆んなから何事かを聴かれているみたいである。やがてスサナを解放するとレオナが徐ろに
「ねぇウィル、あたしも頑張ったんだからさ、何かご褒美もらえないかな?」
と宣って来る。
「……何だよ、ご褒美って?」
何を言われるのか警戒しながら問い質す俺。するとレオナはにこりと笑顔を見せ「手間は取らせないからさ」と言い、俺の方に近付いて来る。そして再び超近接で俺の顔に自分の顔を近付けると、俺の両頬に両手を添え、そして──
────ムチュッ♡
「ムグッ?!」
!? いきなり俺の唇に自分の唇を重ねて来た!!!
あまりの突然の出来事に俺が硬直しているのを尻目に顔を離すレオナ。その顔は紅潮していた。
「へへへへへぇ、ご馳走さま♡」
悪戯が成功した満面のドヤ顔で微笑むレオナさん。
「「「「「ああああああぁぁぁ!?」」」」」
一呼吸遅れフェリピナ達の絶叫が迷宮の中に響き渡る!
いやいやいやいやいや?! 何をしてくれるんだ、レオナさん!!?!
アン達と別行動をしていたらいきなりレオナにファーストキスを奪われた(笑)ウィル! コレは次回、間違いなく修羅場ですね!
*斧嘴鳥…………分厚く重い、斧のようなクチバシを持つ体高2メルトの肉食の大型走行鳥。クチバシを振り下ろして攻撃して来る。
*光輪断罪刄…………数少ない聖属性の攻撃魔法。光の輪を生み出し相手に投擲、切り裂く。いわゆるウル○ラマンの八つ裂き光輪(笑)
△今日はもう一話、百十五話も投稿しています。そちらもお読み下さい▽
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☆「魔法と銃との異界譚 〜Tales of magic and guns〜」をなろうとノベプラにて連載中!
近未来の地球の民間軍事会社の傭兵クリスと異界から来た大魔導師のルーツィアの2人が主人公の冒険活劇です!
なろう→http://book1.adouzi.eu.org/n0259fr/
ノベルアッププラス→http://novelup.plus/story/529278724
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