New Buddy 〜決して后宮要員ではありません〜
本日は第百十三話を投稿します!
無事にクランのメンバーになったスサナを連れて屋敷に戻ったウィル達。大きなお屋敷を見たスサナの反応は…… 。
▽本日はもう一話、第百十四話も投稿しています△
-113-
「ふわぁ〜、大きなお屋敷ですねぇ〜」
猫耳を頭の高い位置でピンと立て、大きな瞳を零れるほど見開き、スサナはぽかんとした面持ちで俺の屋敷の前に立っていた。尻尾の先をピクピク振っているのを見ると、どうやら興味津々らしい。
あれからグラマスと打ち合わせした後、新しく仲間になったスサナを連れてラーナルー市に戻ってきた。
「そんな所で何時までも見てないで入ったはいった」
スサナを促し皆んなと屋敷の中に入る俺。玄関ホールでは、ルピィとうちのパーフェクト家令シモンと使用人達が出迎えてくれた。王都ギルドを発つ前にルピィに連絡しておいたのだ。
「おかえりなさい! ウィル、皆んな!」
「おぅ、ただいまルピィ」
帰宅の挨拶もそこそこに俺に駆け寄り抱き着いて来るルピィ。どうでもいいがアンとエリナの顔が引き攣っている様に見えるのは気の所為か?
「お帰りなさいませ旦那様、アン様、エリナ達、皆様方」
続けてシモンが迎えの言葉を口にする。ルピィは抱き着いたままである。
「ただいまシモン。彼女が新しくうちのメンバーになったスサナだ」
俺はそう言うと驚いて猫耳と尻尾をピンと立てたまま硬直しているスサナを紹介する。そらまぁいきなりルピィに抱き着かれているからな、俺が。
「お初にお目にかかります、スサナ様。当屋敷の家令を務めるシモンと申します。何卒よろしくお願い致します」
それを受けてシモンがスサナに歓迎の挨拶を口にする。俺の状態を無視するとは流石である。一方のスサナは「さ、さ、様だなんて……」とワタワタしている。その光景は微笑ましいのだが、何時までも話が進まないので手助けしてやる。
「スサナ、君からも挨拶してやってくれないか?」
「?! あ、えと、こ、こちらこそよろしくお願いしますシモンさん!」
俺の言葉に慌てて返事を返すスサナ。
(まぁこればかりは慣れてもらうしか無いんだが)
俺は軽くパニックになっているスサナを見ながら頑張れと頭の中で声援を送る。
嘗ての自分の事は棚に上げて。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
スサナを迎い入れてから10日──グラマスから応募者の選定が終わったとの連絡が入った。それにしてもギルドを介した連絡は些か不便である。
そんな事を言ったら『そのうち王都ギルドとの直通連絡網に魔道具を製作しますのでお待ちください』とコーゼストが胸を張りながら宣っていた。やたら偉そうである。
「そこは専門家のコーゼスト先生にお任せします」
そんなこんなをコーゼストと言い合いながら、いつもの如く王都ギルドにやって来た。当然皆んなも一緒である。
「やぁ、いらっしゃい」
変わらぬ笑顔で出迎えるグラマス。偶にこの人の怒る顔を見たいと思うのは俺だけか?
「例の募集の件だけど、漸く応募者を絞り込めたよ」
挨拶も早々、執務机の上に7枚の皮紙を広げるグラマス。それを皆んな一斉に覗き込むと、それぞれを手に取り色々見比べ始めた。選考に残ったのは格闘士が1人、拳闘士が2人、弓士が2人、回復役が2人であった。
「勿論ウィル君の希望通り、男性も含まれているから安心して欲しい。まぁ2人だけなんだけどね」
「済まなかった、グラマス。恩に着る」
皆んな何のかんの言っているのを横目で見ながらそんな会話をする俺とグラマス。
『マスター、そろそろマスターもあちらに参加しても宜しいのではないですか?』
肩の上のコーゼストが皆んなの方を見ながら俺を促す。
「形式美はちゃんとしておかないと。形だよカタチ!」
そうコーゼストに言い返しながら俺もアンから皮紙を受け取り、そこに書き込まれた履歴に目を通す。
「それでどうするんだい? ウィル君達の方で何か試験をするのかい?」
「それは勿論。その為に修練場を借してもらいたい」
グラマスに聞かれたので要望を告げる。書類だけでは無く、実際にどれだけのモノを持っているのか確かめないと、安心して背中を預けられないからな。するとグラマスは
「そう言うだろうと思って修練場は押さえてあるよ。勿論この7人にも来て貰っているから安心してくれたまえ」
とドヤ顔で宣う。まるで子供が悪戯を成功させたみたいな顔である。
「お、おぅ」
グラマスのちょっと珍しい一面を見て、驚いて言葉に詰まってしまった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「そこまで!」
俺の声が修練場に響くと、ベルタ達と一緒に戦っていた7人が大きな息を吐きながら臨戦態勢を解く。中にはしゃがみ込む者もいた。
「もうお終い? つまんな〜い!」
「ヴァンヴァン!」
「…………ヴ」
片や相手を務めていたヤト達は余裕である。新メンバーに応募した7人にはヤト達と模擬戦闘を行ってもらったのだ。ただいきなりSランクの魔物であるヤトと彼等彼女等のみで戦わせるのは危険なので、ベルタ達に支援してもらったのは言うまでもない。同時にベルタ達との連携も見ているんだが。
「どうだった? アン、エリナ、ルアンジェ」
俺はアン達3人に意見を求めると「そうね……」とそれぞれ自身の私見を述べてくれた。続けてベルタ達にも、実際に戦ったヤトにも率直な感想を聞く。ベルタ達は共に戦った者としての、ヤトは直接対決した者としての感想を色々言ってくれた。どうやら皆んなの意見と俺の意見には相違は無いみたいである。
とりあえず7人には新メンバーとして選ばれた人に改めて声を掛ける旨を伝え、別室で一旦待機してもらう事にした。そして改めてメンバー全員と意見を擦り合わせた結果、執務室に呼び出した3人は──
「よ、よろしくお願いします!」
先ず1人目は回復役として神官を選んだ。名前はアリストフ・ジュリヴァ、17歳の男性である。銀髪の短髪、灰色の瞳で、少しひょろっと見えるが中々しっかりしている様である──見た目何となく頼りなさげだが。
何でも小さい頃から神殿で修業していて、成人して直ぐに冒険者になったとの事だった。以前所属していたパーティーでは待遇が悪く、脱退して直ぐに今回の募集を知り応募したとの事である。現在のクラスはスサナと同じBクラスである。そして──
「レオナだ。まぁよろしく頼むよ!」
2人目は近接戦闘の専門家として女性の拳闘士を選んだ。名前はレオナ・シャルリム、俺と同い年の25歳である。赤褐色の髪を総髪にし、黒瑪瑙の様な黒い瞳で、所々から見える身体は筋肉質で引き締まり、胸のボリュームはヤトにも匹敵する。本人はそんな事は気にもしてないみたいであるが。
今までは無所属であちこちのパーティーを渡り歩いていたらしい。それで今回の募集を聞きつけ「そろそろ腰を落ち着けたい」との想いで応募したのだそうだ。現在のクラスはAクラスとの事である。あとは──
「えと、よろしくお願いしますっ」
3人目は弓士を選んだ。この人も女性である。まぁ男性の募集が少なかったから仕方ないんだが…… 。名前はルネリート・ノーフェン、マルヴィナと同じ19歳である。褐色のミディアムヘア、菫青石の様な深い蒼色の瞳で、体付きは痩せ過ぎず肥り過ぎずと言う、ほどよい体格をしており胸はスサナと仲良く出来るみたいである。何と言うか、彼女の第一印象は『うさぎみたいな娘』であった。
両親が猟師の彼女も成人して直ぐに冒険者になったとの事で、以前所属していたパーティーはリーダーが借金まみれで解散を余儀なくされ、今回の募集を知り一も二もなく飛び付いたらしい。現在のクラスはAクラスである。正に三者三様である。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
グラマスにきちんと礼を述べてから断りをいれ、王都からラーナルー市に転移して戻って来た。あそこで何のかんのしているより、屋敷で話した方が落ち着いて話せるからである。尤も3人はスサナ同様、屋敷を見て絶句していたが。とにかく宥め透かして大広間に移動し、改めて自己紹介を始める。
「改めて氏族『神聖な黒騎士団』にようこそ。俺が頭領のウィルフレド・ハーヴィーだ。よろしく頼む」
3人の新メンバーに先ず俺が代表して挨拶し、そのまま横にいるアンやエリナの方に手を向ける。
「彼女はアンヘリカ、涅森精霊で俺の婚約者でもある」
「アンヘリカ・アルヴォデュモンド、こう見えて300歳よ。この氏族では弓士と魔法士と剣士を熟しているの。よろしくね」
「そして彼女はエリナベル、彼女も俺の婚約者だ」
「エリナベル・セルウィンよ! 元『白の一角獣』のリーダーで22歳、この氏族では魔法騎士を熟しているわ! よろしく!」
「それとこの娘はルアンジェ、一応うちの氏族では最年少だ」
「私はルアンジェ、立ち位置は遊撃を熟す。こう見えて自動人形。一応13歳と言う事になっている。よろしく」
そのままベルタ達に手を向けると紹介を続ける。
「さっき一緒に戦った彼女達はベルタ、ユーニス、フェリピナ、マルヴィナと言う。エリナとベルタ達は元Sクラス冒険者パーティー『白の一角獣』だ」
「「「「よろしく!」」」」
紹介を受けて挨拶をするベルタ達。
「それとこいつはコーゼスト、有知性魔道具だ。見た目に惑わされるなよ」
『ですから何でそうした紹介をするんですか? 皆さんに誤解を招く様な言動は差し控えてください。改めまして、コーゼストと申します。以後お見知りおきを』
そして何時もの様にコーゼストを紹介する。ジト目で抗議の声を上げたあと、3人に会釈するコーゼスト。
「あとは……先程の戦いの相手をしていた俺の従魔だ。ヘルハウンドのファウストとゴーレムのデューク、そしてラミアのヤトだな。今はヤトだけ顕現しているが」
「御主人様の一の僕、ラミアのヤトよ! さっきは楽しかったわぁ〜、またやりましょうね!」
ヤトはヤトで物騒な挨拶をしているんだが、3人の反応が無い。よく見ると3人共に固まっており、口々に「こんな娘が自動人形だなんて……」とか「ふ、2人も婚約者が……?!」とか「……(アワアワ)」とブツブツ呟いている──大丈夫か?
『どうやらあまりの情報量に軽くパニックになっているみたいですね』
コーゼストが3人の様子を見てそう評する。その気持ちはわからなくも無いが、俺も通った道なので是非とも頑張って欲しいものである。
やがていち早く立ち直った年長者のレオナが
「……な、何と言うか、あまりの事に気が遠くなっちまったが、こりゃ慣れるしかないんだね……」
と苦笑いを浮かべながら素直な気持ちを吐露する。
「まぁ気持ちはわかるがな……」
俺もつい釣られて苦笑いをしてしまう。するとレオナは徐ろに何かを思い付いたらしく話してくる。
「そんでだね、ウィルフレドさん。あたし達はあんたの事を何て呼べばいいんだい? やっぱりリーダーかい?」
「ん? そこは普通にウィルで良いぞ? 今居る皆んなもそう呼んでいるしな」
俺の答えを聞いてニカッと犬歯を剥き出しにして破顔するレオナ。何となくファウストに似ている──ヘルハウンドじゃ無くヒトだけど。
「そうかい! そんじゃあ、あたしはウィルと呼ばせてもらうよ! あたしの事もレオナで良いから!」
そう言いながら右手を差し出して来るレオナ。俺はその手をガッチリ握ると笑顔で答える。
「ああ、そうさせてもらうよ」
そのまましっかりと握手を交わすとアリストフとルネリートも「私達も呼び捨てで構いません!」と握手を求めて来た。それぞれと改めて笑顔で固い握手を交わす。
「さてと、とりあえずこんなもんかな? あ、あと1人婚約者が居るんだが……ギルドの職員なんだが後で紹介するよ」
俺が徐ろにそう告げると再び硬直する3人──何なんだ?
「さ、さ、3人目とか……ま、ま、まさかあたし達もウィルのハレムに入らないと、だ、駄目なのか?!」
レオナが大声でそんな事を宣う! いやいや、何でギルドを使って后宮のメンバーを募集せにゃならんのだ!? と言うかそもそもそんな気は無いし! 第一アリストフは男だろが!?!
俺は割と本気で絶叫したくなった。
すったもんだの末(笑)、残りのメンバーも無事に決まりました! ウィルの希望通り男性も1人入り、ウィルも一安心(笑)!
今後はこのメンバーと共にクラン『神聖な黒騎士団』が活躍する……予定です(笑)
*アリストフ・ジュリヴァ…………17才。神官を熟す。銀髪の髪、灰色の瞳。ひょろっとして頼りなさげだが芯はしっかりしている。ちゃんとした男性(笑)
*レオナ・シャルリム…………25才。拳闘士を熟す。赤褐色の尻までの髪を総髪にしている、黒瑪瑙の様な黒い瞳。筋肉質の引き締まった体、性格は豪快でやや大雑把。胸はFカップ(笑)
*ルネリート・ノーフェン…………19才。弓士を熟す。褐色のミディアムヘア、菫青色の様な深い青色の瞳。第一印象は兎、意外と寂しがり屋。胸はCカップ。
△今日はもう一話、百十四話も投稿しています。そちらもお読み下さい▽
お読みいただきありがとうございます!




