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なぜか俺のヒザに毎朝ラスボスが(日替わりで)乗るんだが?  作者: 逢坂 蒼
新氏族と新ヨメと面倒臭い晩餐会編!
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修繕と3人目の婚約者(☆イラスト有り)

本日は第百八話を投稿します!

下賜された屋敷に住むより先に早速トラブルがやってまいります(笑)

 -108-


「はぁ……」


『相変わらず景気の悪い溜め息ですね』


 枕元に座るコーゼストに突っ込まれているが言い返せない…… 。結局あの後、皆んなに氏族(クラン)の話を切り出すタイミングを(いっ)してしまい現在に(いた)る。(ちな)みに屋敷を内覧してから2日経っていた。


「そんな事言ってもなぁ……」


 あれから皆んなワイワイ話し合って二階と三階の部屋割りを決めた。二階の中央奥にある主寝室とその続きの書斎は俺の私的空間(プライベートエリア)になり、その右側の寝室と小さな書斎はアンの、左側の寝室と化粧室(メイクルーム)はエリナの、アンの右隣の部屋はルアンジェのそれぞれの私的空間(プライベートエリア)になった。


 ベルタ達『白の一角獣(ホワイトユニコーン)』のメンバー達は三階の部屋を思い思い自分の部屋に決め、ヤトは何故(なぜ)か二階の一番左端の陽当たりが良い部屋を選んだ。(いわ)く「陽の光で寝起きの身体が温まるから」だそうで、何でもその方がスッキリ目覚められるらしい。半人半蛇(ラミア)ってそうなのか?


「……とりあえず屋敷を見に行くか」


『それが(よろ)しいかと』


 実はまだ『蒼眼(ブルーアイズ)の新月(・ニュームーン)』に泊まっていたりする。(いく)ら定期的に管理されていたとは言え絨毯(じゅうたん)や床板や備え付けの家具は古く、中の魔導照明(ソーサリライト)大燭台(シャンデリア)魔水晶(クリスタル)も魔力が()きているのでそっくり交換しなくてはいけなく、今日明日はその作業を職人ギルドの修繕職人に頼んであるのだ。


 (ちな)みに職人ギルドへの紹介は、ガドフリー武具店のドゥイリオからしてもらったので間違いは無いと思うのだが、まぁ気分転換がてら立ち会って来ようと思い立ったのだ。アンとルアンジェはエリナ達の引越しの準備の手伝いに行っていて留守だしな。


「ん……んむぅ? あ、御主人様(マスター)何処(どこ)かに出掛けるの?」


 俺がベッドから起き上がると、横でゴロンとしていたヤトが気が付いたらしく尋ねて来る。


「ああ、貰った屋敷の方に行こうかと……」


「あっ、それなら私も付いて行くわ! ね、ね、いいでしょ?!」


 金色の瞳を輝かせて懇請(こんせい)してくるヤト。何をそんなに一生懸命なんだ?!


「わかった、わかった! 連れてくよ! その代わりちゃんと大人しくしていろよ?」


「わーい! 御主人様(マスター)大好き♡」


 連れていく事を許可すると抱き着いて来るヤト。そんなに胸を押し付けて来るな!!


 やれやれ──── 。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「どうした旦那? 引渡しの明後日(あさって)まで時間はあるんだが?」


 修繕職人の親方ヴィアーノが俺の顔を見るなりそう言った。そんな事はわかっている。


「あーっとな、その、何か……」


「ごめんね! 私が来たいって御主人様(マスター)に言ったの!」


 何となく気になって来たんだが……と言おうとしたら、何とヤトが支援(フォロー)してくれた。ここに来る道中、幾人かの貴族や神官とすれ違ったが全員が全員、ヤトを二度見していたな。まぁヤトが俺の従魔だと判ると何も言わずに見ていただけだが…… 。


「あはははは! そうかいそうかい、蛇の姉ちゃんが気になったんだったら仕方ねぇなぁ!」


「すまんな。邪魔はしない様にする」


「良いって事よ! 何しろここは旦那の屋敷だ。自由にしてくれ!」


 そう呵呵(かか)と笑いながら仕事を再開するヴィアーノ。それに(なら)って職人達も仕事を再開する。彼等は紹介された初日にヤトに会っても「半人半蛇(ラミア)か?! 初めてお目にかかるぜ!」と物怖(ものお)じしなかった豪気な気質の職人達である。流石は職人ギルドの職人だ。


 それから(しばら)くヤトと2人でヴィアーノ達の仕事を眺めていたが、職人達は古くなって傷みが出てきていた床板や(きし)みがあった階段の踏板(ふみいた)蹴上(けあげ)を交換したり、同じく軋んでいた玄関や部屋の扉を調整したり、備え付けの家具を次々修繕していった。


 一方のヴィアーノは何人かの職人と天井の修繕をしていたが、いつの間にかヤトが足場の下から修理に使う板材を()()()()()()上にいるヴィアーノに手渡す手伝いをしていた。まぁヤトの蛇身は3メルトもあるから高い所も余裕ではあるが。


「すまねえなぁ蛇の姉ちゃん! お陰で助かった!」


 高所での作業を終えヴィアーノがヤトに声を掛ける。


「ラミアって力も強いが、こうした仕事に案外向いているのかもな!」


「ああ、何時(いつ)もより速く終わったからな!」


 他の職人達も口々にヤトを()め称える。


「よし! 蛇の姉ちゃん、ウチで働かないか?! 給金は(はず)むぞ!」


 ヴィアーノがいきなり飛んでもない事を(のたま)う。俺を目の前にして引き抜き(スカウト)をしないで欲しいものである。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「ウィルさ〜〜〜〜〜ん!」


 そんなこんなで屋敷の修繕を手伝っていたら正門から何やら聞き慣れた声が聞こえた。


『あれは……ルピィですね』

挿絵(By みてみん)

 コーゼストにそう言われ良く見ると、朽葉鼠(オターグレイ)の髪はいつもの三つ編みに(まと)め、水色(ペールブルー)の瞳を爛々(らんらん)と輝かせているルピタ・リットンその人が門の前に立っていた。


「お久しぶりです! あの、中に入れてもらえませんか〜〜?」


 良く見ると何やら大きな荷物を持ってきている──何なんだ?


「お、何だ? 旦那のイイヒトか?!」


 ヴィアーノ達がニヤニヤしながら(あお)ってくる。いやいや、あんた達に紹介したアンやエリナの他にはそんなの居ないんだが?!


『マスター。結婚前に浮気ですか?』


 コーゼスト!? 人聞きの悪い事を言うな!?


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 何はともあれ正門を開けルピィを招き入れる。


「ウィルさ〜ん、お会いしたかったです〜♡」


 中に入って来て直ぐに、そう叫びながら抱き着いて来るルピィ──ちょ、ちょっと待て!?


「な、(なん)だなんだ!?」


 いきなり抱き着かれて慌てふためく俺。何が何やらサッパリわからん!


『やっぱり浮気……』

「お前、ちょっと黙ってような……」


 (そば)で浮かびながらボソッと(つぶや)くコーゼストに突っ込む俺。これ以上()き回さないで欲しいものである。


「あ、あの〜ルピィさんや?」


「はい♡何でしょう?」


「これは……一体どういう状況なんだ?」


「えっとですねぇ〜、ウィルさんが伯爵様になられた時から考えていたんです。しかもこのラーナルーに新たにお屋敷を(たまわ)ったと聞いて、これは千載一遇(せんざいいちぐう)好機(チャンス)かと思いましてぇ〜、冒険者ギルドを休ませていただき準備を整えてまいりました! 是非ともよろしくお願いします♡」


 俺の問い掛けに体を離しながら答えるルピィさん。ちっとも全く1ミルトも説明になっていない!


『ルピィ。説明になってませんが?』


 そんなルピィに突っ込みを入れるコーゼスト─ナイスである! するとルピィは「すいません、言葉が足りませんでしたね」と納得して


「それは当然! ウィルさんの第二夫人として嫁入りに参りました!」


 ビシッと背筋を伸ばしながらそんな戯言(ざれごと)を口にするルピィ! (なん)なんだよ、第二夫人って!?


『それってつまり?』


「お・し・か・け・です♡」


 コーゼストの問い掛けに胸を張り声高らかに宣言するルピィ。そんな宣言など要らんぞ、ルピィ!?


『成程、これが世に言う『押し掛け女房』と言うものなのですね』


 コーゼストが腕を組んで納得している。いやいや、そこで納得してどうするんだ!?!


「い、い、いい加減にしろーーーーーー!!!!!!」


 俺は割と切実に叫ぶのだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 妄想を垂れ流すルピィを連れて『蒼眼(ブルーアイズ)の新月(・ニュームーン)』に戻った。丁度良くアン達も帰って来ていたので早速話をする事にした。もちろん事の経緯(けいい)も含めて、である。


 アンとルアンジェは何事があったのか直ぐに察してくれたが、エリナに説明する羽目になった。と同時にルピィにもアンとエリナの2人と婚約した事を話した。エリナは俺の説明に納得してくれたが、ルピィは2人と婚約した事を聞いて「だ、第二夫人の夢が〜〜」と真っ白になっていた。何となくルピィに愚妹(ぐまい)アドルフィーネを幻視したのは俺だけだろうか?


「ウィル、良いかしら?」


 アンとエリナが何やら話し合っていたが、(まと)まったらしくアンが代表して口を開く。


「ひとつ確認させて欲しいんだけど、あなたはルピィさんの事をどう思っているの?」


 そう言うアンの目は真剣であった。俺は居住(いず)まいを正すと


「……ルピィは俺がラーナルー市に来た時から知っている人だ。それこそアンと出逢う前からの知り合いだし、まぁちょっと変わった()()はあるが可愛い子だと思う。実際、他の冒険者達からの人気も高いみたいだしな」


 包み隠さずありのままを正直に言う俺。可愛いな、とは思った事もあるが、恋愛感情はと言うとそんなにあったとは言えない。


「そう…… 。ルピィさんはどうなのかしら? 本当にウィルの事を好きなの?」


 それを聞いたアンは今度はルピィに尋ねる。その問い掛けに即座に反応するルピィ。


「は、はい! 好きか嫌いかと言えば好きです! だって……」


 そこまで言うと頬を赤らめて言葉を紡ぐルピィ。


「だって、ウィルさんがこのラーナルーに来た時に一番最初に話したのは私ですよ? それはまぁ、一番最初に話した時はちょっと取っ付きにくい人かな、と思いましたけど……何度も話していると見た目と違いとても優しくて……ちょっとした事にすぐ気付いてくれるし、何かと気遣いしてくれるし、何より昇級しても変わらず私と接してくれるし……確かにウィルさんが貴族様になったのには魅力を感じましたけど、それ以上に……ううん、気が付いたら私、ウィルさんの事ばかり考えていて……これって多分『愛してる』って気持ちじゃないかと思うんです。ですからもしお嫁さんにしてくれたら……その、嬉しいです♡それが例え3人目だとしても♡」


 そう言うとキャッと頬に手を当て身悶えするルピィ。


「だそうですよ、ウィル。私達としてはあなたがルピィさんを三番目のお嫁さんとして婚約するのに反対するつもりはありません。あなたを愛し支える同志が1人増えるんですもの、歓迎こそすれど反対する理由はありませんからね。ね、エリナ?」


「ええ。私はウィルに一目惚れだったけど、ルピィさんは私がウィルを知る前からウィルを見てきて、時間を掛けて好きになったんだから。そこには(いつわ)る事が出来ない時間が経っている。「好き」が「愛してる」に変わるには充分な時間を掛けたと思うの」


 ルピィの言葉を受けてそう宣うアンさんとエリナさん。2人ともルピィを3人目として(むか)い入れるのに肯定的である。


 それはつまり俺に3人目を(めと)れと言っている訳で、そもそも2人と結婚する気で居る訳なのだから今更1人増えても何ら問題は無い……のか? それにルピィは俺に恋愛感情を持っているのだし結婚出来れば順番は関係無いみたいだし……あれ?! またもや反対する理由が無い!?


 この前にも経験した既視感(テジャヴ)に思わず言葉を失う俺に、コーゼストが肩にちょこんと座りながら


『本当に……女性と言うものは(たくま)しいと言うか(したた)かと言うか…………』


 (なか)茫然(ぼうぜん)として呟く。


「ああ……そうだな…………」


 同じく茫然自失の俺が力無く返事を返した。別に結婚したら男性(だんせい)原理(げんり)(ほこ)るつもりなど無いが、何となく3人の尻に敷かれるのが幻視出来る。



 俺、家庭内序列(ヒエラルキー)が底辺なのか………… ?!



屋敷の修繕工事中に現れたトラブルはルピィでした! 世に言う ” 押し掛け ” ですね。そして流されるまま3人目の嫁候補が決まってしまったウィル。家庭内での立場は恐らく底辺です(多分)

しかしまぁ流されていますねぇ…… 。


☆☆ルピタ・リットンのイラストをmanakayuinoさんに描いていただきました!manakayuinoさん、素敵なイラストをありがとうございました!

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