エピローグ
修徳高校の屋上で、先生や生徒から隠れるようにタバコを吸うアルキ。本来なら屋上に入ること自体出来ないが、今ではすっかりアルキの喫煙所になっている
「あっアルキ!またここでタバコ吸ってる」
「……おう、杏子!お前の基地は、今では俺の居場所になったぞ!」
「うむ、入隊を許可します!」
「ふっ……隊員2号かな?」
「アルキは隊員5号!」
「――?梅に聖だからせめて4号にしてくれ」
「ターキーがいるでしょ?」
「アイツの次かよ!」
「カハハハ!少しは分かってるようだな!オンナ!」
「――!びっくりしたぁ……ターキーって学校でも出てくるの?」
「カハハハ!……隊員の前だけ、だけどな!」
「うっ!ターキーもカッコいい……」
「おい、勝手に出てくんな!」
「なんだと?アルキ!オレがいなきゃこのオンナに押し潰されるぞ!」
「ぐっ……たしかに……杏子!早く一華の訓練を受けてくれ」
「えぇ?だって制御出来たら……アルキがいなくなっちゃいそうだから……」
「……」
「そのことだが、あとで「探求科」のみんなの前で、伝えなきゃいけないことがある」
「――え?何?……いやだよ……いなくなったらわたし暴走するよ……」
杏子は目に涙を浮かべて、縋るようにアルキの肩を揺らす
「ねぇ、忙しいのは分かるけど……行かないでよ……せっかく授業にも出れるのに……わたしもアルキの授業受けたいよぉ……」
揺らされるアルキのタバコの灰が落ちるように、杏子の涙もポロポロと落ちていく
「杏子……教室で待ってろ!「探求科」副顧問七面歩、最後のホームルームだ!」
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帰りのホームルーム、静まり返る教室は、初めてアルキが来た時の静けさとは違う
杏子が泣きながら教室に戻って来たので、心配した皆が理由を聞いたのだ
探求科の生徒達にとってアルキは恩人だ。全員で「兎角隠し」を行っていたことを帳消しにし、加賀見亜里珠や田邑舞、相沢二斗も救われた。百地杏子と伊倉梅を教室へ戻してくれようともしてくれている
その先生がいなくなる
聖がたまらず声を掛ける
「アルキ先生!僕達を置いて行くんですか?」
生徒達の中には、すでに泣いている者、行かないでと叫ぶ生徒もいる。杏子は机に突っ伏して子供のように泣いている
アルキは、聖の問いに笑顔で頷くと、皆の顔を一人ずつ見るように教室を眺める
「……お前たちは天才だ、将来を約束された勝ち組だ。と世間は思っているだろう……だが俺から見ればお前たちは、友人思いの優しい子供達だ……「国」の法律を破ってでも仲間を守るためにした行動は、世間で言うところのバカげた行動かもしれない。だがお前たちはまだ子供なんだ!子供なんだからバカげた行動して「はみ出して」もいいんだ!怒られたら謝ればいい……今のうちにどんどんバカをやれ!謝っても許されないことをした時に、俺たち「大人」がいる……「仲間」を助けたいと思い、私欲無く行動したお前たちを誇りに思うし、俺はカッコいいと思う……どうか、そのままのお前たちで大人になって欲しい……これが「探求科」副顧問七面歩の最後のホームルームとする!」
静まり返る教室内、アルキの言葉を聞き、すすり泣く生徒達、突っ伏していた杏子も顔を上げて前を見る
「……では改めてまして明日から探求科「顧問」になります七面歩です!よろしく!」
「「「は?」」」
生徒達の笑顔のブーイングが響き渡る
聖は呆れて言葉を失う、安心してチカラが抜けたのか、皆がアルキの周りに集まるなか、その光景を眺めるだけだ
「ア〜ル〜キ〜!コラ〜!暴走するぞ〜!」
言葉とは裏腹に笑顔の杏子は、アルキの胸に飛び込んでいくのだった
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「聞いてよ梅!アルキがさぁ……」
「ふふ、そうなんだ……」
「一華さんも聞いて下さいよぉ」
「杏子ちゃん、アルキってそういう奴よ!平気で嘘つくし、美人な女性を見たらすぐに声を掛けるし」
「いや〜すまん!なんか青春ドラマみたいな雰囲気になってたから……つい」
「カハハハ!コイツは、ほとんど詐欺師みたいなもんだからな!」
「おい、俺が詐欺師ならターキーは悪漢だな!」
「なんだとアルキ!テメェはいつかオレが乗っ取る!」
「やれるもんならな!」
「ああ!?」
「なんだよ!」
梅は「antenna 」でバイトをしている。始めは「兎角制御訓練」のため、一華を訪ねていたが、いつのまにか期間限定で働いているのだ
アルキは学校帰りに杏子を連れて「antenna 」に寄り、梅と杏子が仲良く一緒に帰るという流れになっている
アルキがおもむろにタバコを咥えると一華がそっと火を付ける……透き通った白い肌、揺れるボルドーの髪、吸い込まれそうな碧眼にゴクリと息を呑むアルキ……
一華がいつものように耳元で囁く
「次は……「バビロンの空中庭園」よ」
「は?」
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END
最後まで読んでくださりありがとうございました。
「オールドターキーと学校の七不思議」はいかがだったでしょうか。
シリーズものっていいなぁと思って、憧れで書いてみました。
もし次があったらまたチャレンジしてみようと思います。いちおう、構想はあるんですよ。
つぎか....次のタイトルはやっぱりこうなるでしょうね!
「オールドターキーとバビロンの空中庭園」
カッコいいでしょ?.....でも意味の分かんないタイトルだから誰も読んでくれないかも.....いつも変なんで.....
エッセイの「わたしはシャンプーマン」も良かったらどうですか?
最後に、ブックマークや評価、感想など頂けると次回作への励みになります
よろしくお願いします
では、またお会い出来ますように♪(^人^)




