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オレとご主人サマ  作者: 来宮悠里


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オレとご主人サマとパンツ

乗り遅れたパンツの話

 脱衣所までの移動は屋敷内ということもあって、お互い全裸である。

 やばい、歩く度に、ゆっさゆっさと揺れるリディのおっぱいマジヤバイ。


「そういえば、ソーマの下着不思議な形状ね」

「ああ、これなあ……ご主人の知り合いの服飾屋の一点物らしい」


 オレの着替えをリディはしげしげと眺めていた。

 うーん、女だとやっぱりこういうの気になるのは万国共通なのか。


 ちなみに、オレのパンツは伸縮する。

 この世界の縫製技術にストレッチ技術とかそういうのはないから、基本的には伸びない。パンツも、紐で止める物が主だ。

 故に、オレのこのオーバーテクノロジーに近い、パンツは割と珍しがられる。


 オレの女性物パンツってこういうのしかないんだけどな!

 現代日本で良く見た、足を通してはけばぴっちりするやつだ! 変態マスクが被る物でもあるな!

 いや、幻想魔獣の素材の中にどうやら伸縮するやつがあったらしく、それで結構な枚数あるんだよ……。デザインの全部違う奴。


 正直、オレ、リディが穿いてるような市販の砂時計型で、三角の端から紐が伸びてるタイプでいいんだけど。

 どうせ汚すし……。色々緩いからさ……。

 なのに、なんだ、この、リボンとか、レースとか、フリルとか、技術の粋を集めた伸縮するパンツ……。


「気になるなら穿くか? 穿いてない奴いくつかあるし……」

「……いいの!? あ、でもお尻のサイズあうのかな?」

「しらん。つーか、胸以外はどっこいじゃねーの? 後で揉むか」


 おう、揉むの単語で顔赤くしないでくれ。

 お前それ以上に激しいことしてんだろうが……。


「あ、そうだ、リディお願いが」

「何、改まって……」


 あれだ、男のロマンをやり忘れていたことに気付いたんだよ!

 是非やりたいことがある!


「風呂入る前か入った後ででもいいから、その紐パンの紐を解かせてくれ!!」


 そう、紐パンの紐を解くという神聖な行為をすっかり忘れていた!

 何で忘れてたんだよ昨夜のオレ!

 大事だろ……夜の熱に浮かされて上気した気持ち、溢れるおもいの結晶が引く糸。それを見るのが大事だって、死ぬ前に悟ってただろ!? なんでやり忘れてたんだよ!!


「……えっと……、なんか目が怖い」

「う、うるせえ! 大事なんだよ! そこは譲れねーんだよ! 男の子には譲れない物が絶対あるんだよ! 紐パンの紐解く! その神聖さ! 女には分からないだろうけどな!!」

「ソーマだって女の子じゃん……」

「オレは男なの!! 見た目は女だし、子供もできるけど男なの! 信じて!!」


 くしゅくしゅに丸まったパンツが足首引っかかってるのもいいし、膝くらいで引っかかって伸びてるパンツもいいんだけど、やっぱり一番いいのは紐パンの紐を解くことだよ。

 男が能動的にできる唯一無二の背徳行為。

 なんで、ほんと、オレはアレを忘れてたんだ……。

 ご主人にたまにやられるのに、なんで忘れてたんだ!!


「別にいいけ――」

「いよっしゃあああああ!! さすがリディ分かってる! 男のロマンに寛容な女はモテるぞ! 最高だ!!」

「……そんなにやりたいなら、いつでもしてもいいけど。たかが下着の紐解くだけなのに大げさね……」

「わかってねえ、分かってねえよリディ……でかいおっぱいを後ろから揉みしだいたり、わざわざ勃起したチンコを女の腰にすりつけたりとか、男のロマンは色々あるんだよ……。お腹を撫でたりとか、太股の間に手を突っ込んだりとか、膝枕したりとか、ワカメ酒飲んでみたりとか、胸で扱いてみたりとか……。色々あるんだよ……」

「そ、そう……」


 オレにとってのロマンが、紐パンの紐を解くように、男のロマンにも色々種類があるのだよ……。


「なんか、凄いわね、男って。不潔だわ」

「ばかな!? それがいいんだろうが!?」

「……なんでソーマが庇うのかホント分からないんだけど」

「だから、オレが男だからだよ!!」


 信じて貰えない辛い。

 いやでも、オレは力説を続けるぞ。

 男のロマン。それを追求せずして何が男か。

 体は女になったし、ご主人とヤルのも満更じゃないけど、それでもオレは男のロマンを追求する者でいたい……。


 だから、リディのでかいおっぱいでアレを挟めないのが凄く残念だ……。

 どこかに生やす魔法とか薬とか無いかな。ファンタジーならありそうなものだけど。生やしたら、一発やるんだ……。リディにスィエにミセリ……。

 周囲にいい女がたくさんだからな……。ふたなり薬探すか……!


「まあ、それはおいといて、えっとソーマ、そのパンツは穿かせて貰ってもいいの?」

「ん、ああ、いいぞ。使ってないの後で持ってくるから試しに穿いてみれば」

「それじゃあダメ! ソーマが使ったのじゃないと!」

「え……いや、流石にそれは……。汚れてるし……」


 割と染み付いてたりするからな……。流石にそれを人様に貸すのはなんか違う。というかやりたくない。


「ソーマ風に言うと、それがいいのよ!」

「ええ……。流石に引くわ」

「なんで!? 散々あたしが引くような話しておいて、それはないんでしょ!?」

「だってなあ……流石に身につける物の使用済みは……うん……リディは嫌じゃ無いのか?」

「むしろ喜ばしい」

「ガチかよ。オレ、リディとの付き合い方考え直そうかな」


 服ならまだしも、パンツはない。

 うん、いや、ほら、嗅いだり舐めたりとかそう言う性癖があるのはしってるけど、残念ながらオレにそう言う性癖はないからなあ。

 身につける物は自分だけのものでありたい。

 脱がすしたり穿かせたりは心躍ろるものはあるけどな!


「酷いわ……。折角仲良くなれたと思ったのに」

「……まあ、そのでかいおっぱいに免じて許してやろう」


 立ち話もなんだし、早く風呂に入りたい。

 そろそろ冬なのかね。全裸でいると意外と肌寒く感じるのだ。


「というわけで、風呂入ろう! 寒いぞ!」

「そうね!」


 折り合いの付かないところは目を瞑るに限る!

 流石にオレのパンツをリディが持って行くと言うことは無いだろうしな!

 安心しよう。

 ……安心していいよね?

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