オレとノービス達とスライムキング
「うわああああああ!!」
ああ? なんだ、なんの騒ぎだ?
迷宮に到着するなりかなりの人数が悲鳴を上げながら出て行ったんだが……。
「おーい、中で何かあったのかー?」
「お、おお、そ、ソーマちゃん! で、でで、でたんだよ!」
「おう、いいからオチつけ」
問答無用で、ひっ捕まえた冒険者に水を掛ける。
後ろで四人がうわあって声をだしてたけど、お前等にも水引っかけちゃうぞっ☆
女の子達の濡れ透けが見たいのである。ショタの濡れ透けも悪くはない……。
「す、すまん。上層に出たんだよ、スライムキングが」
「はあ? なにそれ。スライムが八体合体でもしたのか?」
「ちげえよ! 強力な核持ちのスライムのことだよ!! アイツなんでも吸って瞬時に溶かすから、冒険者、特に物理寄りの奴らには天敵なんだよ!!」
なるほどなあ。普通のスライムでも微妙に強敵だからな、ここじゃあ。
服溶かすエロイやつもいるけど、そいつらが出てくるのは中層から。
上層に居るスライムは、そこら辺の小石とか草とかを食って溶かして生命力維持してる雑魚だからなあ……。
あー、つーか、スライムの細胞使って、もしかしてアレ作れるんじゃね。ちょっとひやっとするかもだけど……。持って帰って試してみるか。上手く行けばオムツの代わりにもなりそうな……。シーツを汚すのも出し、ちょっとしたことで漏らすのも何とかしたいからなあ……! 切実な悩みだ!。
「ういうい、重討伐指定でてる?」
「スライムキングはいつ発生するかわからないから、常に出てるに決まってんだろ!」
「ほう……、おーい、今日はスライムキング倒して報酬山分けなー」
オレは後ろで青ざめてるノービス達に声を掛けた。
だって、別に取り込まれなければいいだけだしな。
「いやいや、待ちなさいよ! あんたが凄腕なのはわかるけど、スライムキングとか無理に決まってるじゃない!?」
「えー、そうかー? 多分余裕だぜー。簡単に倒したら、一晩オレと良いことしてくれるか?」
「ばっ、ばっかじゃないの!? 女同士でって!!」
「はあ? オレは男だって言ってんだろ!?」
「うそっ、ちょっと確認させて」
「んっ、ひゃん!」
おう、ノータイムでスカートに手を突っ込んで股間触ってくるのは無しだろ、変な声出たじゃねえか……。つうかピンポイントで敏感なところ見つけてくる当たり、恐るべしリディ。もしかしたらガチなのか……?
「やっぱりついてないじゃない……」
「お前なー! 確認するとしてもやりようがあるだろ……それで、もしかしてお前そっち方面?」
最後は小声で確認する為に聞いた。リディはオレをキッと睨み付けると悪いかと言わんばかりに、
「そうよ!」
と盛大に答えた。ふうむ……なるほど、だからノータイムでいけた訳か……!
「ようし、なら、スライムキング倒したらオレと良い事しようぜ!」
「な、なな、何を言って!?」
「別にいいだろー、減るもんじゃねーし」
「まあ、あんたがいいならいいけど」
「よっしゃあ、決まりだ! じゃあ、悪いけど、倒しに行こうぜ!」
オレが先頭で迷宮の中を進んでいく。
道中に魔物の姿がなく、奥へ進むに連れて、強力な気配が近づいてくるのだけがわかる。
魔物もその気配に怯えて隠れたか、それとも取り込まれたか。
「あ、あの……ソーマさん、本当に僕達だけで倒せるのでしょうか……?」
「ああん、スライムってのは粘性だから、凍らせれば動きが鈍る。ちと寒いかも知れないが、細胞分裂を抑止してシバリングで熱もたれる前に凍らせて砕く、それだけだぞ。まあ、軟体生物がシバリングするのかは謎だけどな」
「さいぼうぶんれつ……? シバリング?」
「あー、難しい事は気にするな」
そうだった、こいつらの教養の無さ舐めてたわ。
ご主人ですらしらねー知識だしな、これ。
スライムの核は一つだけど、それ以上に微細な粘性の単細胞の塊だ。
単細胞が分裂して元のサイズに戻ってるって感じだろう。多分魔力核にそうやって姿を維持する指令が込められてるんだと思ってる。
「よくわかりませんが、わかりました。僕達は何をすれば?」
「あー、後ろで見とけ。何れ大魔道士の名をほしいままにするソーマサマの手腕をとくと見せてやろう!!」
「か、格好いいです!」
「まじか! じゃあ、明日オレと一緒にいいことしようぜ。ショタ童貞の筆下ろししたい……」
「な、何を言って!!」
おうおう、顔が真っ赤だぜ。初心だなあ、可愛いなあ。性的に食べたいなあ。
「やべえ、想像しただけで濡れてきた」
「なんて事言ってるのよ!! いいから早く倒してよ! 怖いんだから!」
「了解了解。さて、ご対面だ」
のそりのそりと巨体をぷるぷると揺らしながら、こちらに向かってくるでっかい粘性の塊。
中には溶かしてる最中だろうと思われる様々な武器や防具。後女物の衣服。
羨ましいぞ!! ああでも、捕まるならスライムより触手生物がいい。そっちでごりごりしてほしい。
「いいか、絶対オレより前に出るな」
魔力操作が向上したこともあって、目の前に設置型の盾……スクトゥムをバリケード状に生成する。どれだけ酸度が高かろうと、コイツは溶かすのに時間が掛かるぞ?
右手に炎の因子を、そして左手には冷気の因子を灯し、絶対零度の冷気からノービス達を守る炎の壁を作り維持する。
目の前のスライムの遅い動きが更に遅くなり、ついには止まった。
だけど、これで油断してはいけない。中が凍り付くまでには時間が掛かる。
所謂、外気温を下げて凍らせているから、中が凍り付くまでにタイムラグがあるのだ。だから、そのために、じわりじわりと攻めていかねばいけない。
「時間掛かるなあ……。つーか、試すか」
スライムの上空に剣を生成し、それを落とす。
凍った体を砕き、ぷるんとしたゼリー状の体が現れては凍っていく。
それを何度となく繰り返す。
凍っては削ぎ、凍っては削ぎ、繰り返すこと何百回。ついにスライムを削ぎ終わり、当たりには淡雪の塊が出来上がっていた。
シロップ掛けて食ったら美味そうだなあ……。
「おう、終わったぞ、誰が魔力核砕く?」
「いやいや、ソーマ、あなたが砕きなさいよ!!」
「えー、いいのかー? 魄力は一番弱い奴に分けた方がいいと思うけど」
しかし誰も手を上げない。
流石に放置してると復活しちゃうしなあ。
「じゃあ、もうオレが貰うからなー」
そう言って魔力核を砕く。うむ、オレの肥やしになれよ。スライムキング。
「なっ、簡単だったろ?」
「ホント、あんた何者なのよ」
「んー。奴隷かな……悲しいことに」
「そ、そう。大変なのね」
「おう、察してくれや、というわけで、リディ今夜いいことしようぜ」
「しょ、しょうがないわね!! 約束だものいいわよ!!」
強気の裏に見える嬉しそうな顔がいいねえ。そそるねえ!
今夜はよがらせてやるからなー!!




