オレとご主人サマと日常回帰
朝日が目にしみる。知らない空気に知らない、知らない天井。硬い枕……枕? ああ、いや腕だこれ。
横向けば裸の男。クッソいい胸筋してやがる……。
えーとここはどこだ……? 体がクソだるい……。
思い出せ、昨日何があった?
いや、あれだ、普通にオレから求めたんだったな。やり過ぎた感が酷い。つうか、あれだ、ヤッてる最中に泣き出すとかやばすぎる。
ああ、でもなんだこれ。今のこの状態がすげえ安心する。今日くらい二度寝してもいいんじゃね。ご主人も呑気に寝転けてるし。
色々垂れてたり、シーツが濡れてたりで不愉快だけど、安心するからなあ……。
「ソーマ、起きて、ソーマ!」
「んあ……」
ご主人の声で目が覚める。えーと……二度寝したんだっけ。気持ちよかった。スィエのおっぱいもみしだく夢見た。幸せだった……。
「おはよう……クソご主人、人の良い夢をぶち壊してくれやがって」
「なんで起きて早々怒られないといけないの!?」
「スィエのおっぱい……」
「幸せな夢を見てたんだねえ……」
「おう……」
男臭いのと、アレのニオイと、あの後さらに漏らしたニオイと、なんかすげえな……。酒場の主人マジ済まん。かなり粗相をした……。
「昨日のソーマは可愛かったなあ」
「う、うるさい……」
「ねえ、ちゅーしよーよー」
「はあ? しょうがねえなあ……」
唐突な提案だったが、まあ断る理由もないし、寝起きのキスをする。口の中がからからに乾いてるせいで、流石にディープなのはする気がしなかったけど……。
「これでいいか?」
「えへへー」
「はあ、ヤッてる時はオレもキスはしたいが、流石に朝っぱらからはなあ……」
「でもしてくれたから嬉しい!」
「ああ、そうかい……」
呆れた。まあ、別にいいや。
つーか、風呂入りたい。体べたべただし。屋敷じゃないからここでざばーっと行くわけにも行かない。
「ご主人、屋敷に戻ろうぜ、風呂入りたい」
「え、お風呂でするの!?」
「してもいいけど……」
流石絶倫……。いや、オレもちょっとしたりないなあ思ってたし。しょうがない。赤玉出るまで付き合ってもいいか。
今日くらいまでは付き合ってやるか。一日ヤル通すのもいいかもなあ……。
「やったあ!! じゃあ、早く戻ろう! すぐ戻ろう! なんだったら、僕がソーマ抱えて戻る!」
「元気良すぎだろ……。せめて朝飯くらい食ってから……」
「そうだね、そうしよっか」
最低限の身だしなみと、汚れを落として……後から後から出てくる物はとりあえず我慢だ。あれだ苦節半年程度にしてやっと女物のパンツを穿くことに抵抗がなくなったお陰で、男のアレが伝うことはなくなったけれど……まあ、気持ち悪いな……これ。
一階に降りると、真っ赤な顔をした二人と、相変わらず済ました顔の小悪党がいた。
どうしたんだろうと思って、覗き見ると、スィエとミセリの二人が太股をすり合せてるじゃあないですか!
えっとその挙動ってあれだよね……。つまり、オレ達のアレでそれが筒抜けてたってことだよな……。
「ソーマ……凄いね」
「お、おう」
「夜中目が覚めてずっと声止まらないんだもん。気になって眠れなかった……」
「おう……」
うわあああ、スィエにばっちりオレの喘ぎ声聞かれてんじゃねえか!! 最悪だ! まじで最悪だっ!!
「流石はクリスとソーマですね……相性ばっちりな様子で……」
「なんていうかその、まじですまん……」
「いえ、お気になさらずに男と女ですもの一緒の床に入ればそうなるのは自然です!」
「いらんフォローだ!!」
うわ、恥ずかし。何が恥ずかしいって、全て筒抜けなのが、恥ずかしい。何が防音ばっちりだ!
「ええ、中々に良い声でしたよ」
「おう、マーク。お前もアレか、ご主人と同類か」
「はてさて、どうでしょうかね」
「もういいよ、おまえ、これ全部お前の仕込みだろ……気まずいにも程があんぞ」
だけど、オレの脳内にはこれをばっちり解決する一言が存在する!
「なあ、スィエ、ミセリ!」
「なに?」
「なんでしょう?」
「オレと一発やらないか!!」
そうだよ。恥ずかしい思いをしたってことは興味があるんだから、誘っちまえば問題無いんだ! きっとこれでうまく。そうに違いに。
「あ、うん……ちょっと気になったから、考えとく」
「わたくしもその……はい……」
そして返ってきた二人の答えは、考えておくという事だった。
よっしゃああああ!! 言質取った!! オレ大勝利じゃん!
ガッツポーズ! なんだよ、最初から身を削っておけば良かったんじゃん!!
「ソーマ、よかったねえ」
「ご主人、お前はそこ悲しむところじゃねえの?」
「だって、僕一人阻害されるのもいけるし。三人で組んずほぐれつの所に放置プレイでも全然いいよ!!」
「まじでNGねーんだな、おまえ」
相変わらずのご主人で困ったものだ。




